水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

雑念ユーモア短編集 (66)先読み 2

2024年05月06日 00時00分00秒 | #小説

 (28)でもタイトルにした先読みの別話である。
 どうせ物事をするなら、先読みをしておいた方が賢明だろう。アレコレと思慮しておけば、後々(あとあと)になって後悔することは、まずない・・という寸法だ。この場合の考えを巡らせる内容は雑念とは呼ばない。雑念は、思わなくてもいい雑事を巡らせるから雑念と言われる訳である。
 月宮(つきみや)はようやく芽吹き出した庭の木々を愛でながら、先読みをしていた。
『明日は雨が降ると天気予報が言ってたな…。よしっ! やるかっ!』
 やる‥とは殺菌剤の散布である。展着剤+希釈した溶液を噴霧器に入れ、月宮は消毒を始めた。そして数十分後、事を終えた月宮は、フゥ~っと、し終えた安息の息を漏らした。
 その次の朝は小雨が降っていた。月宮の先読みは見事、的中したのである。
『どれどれ、今日はチョコでも買いに出るか…』
 明日はバレンタインデーだったが、毎年、義理チョコも手に出来ない月宮とすれば、先読みして買いに出るのが常套手段となっていた。
 こういう場合の先読みは、間違いなく雑念です。^^

                   完


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 雑念ユーモア短編集 (64... | トップ | 雑念ユーモア短編集 (67... »
最新の画像もっと見る

#小説」カテゴリの最新記事