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河鍋暁翠展 一宮市三岸節子記念美術館


今回の美術展レビューは、一宮市三岸節子記念美術館で開催中の奇想の画家として知られる河鍋暁斎を父に持つ「河鍋暁翠展」です。

幕末から明治にかけて活躍した河鍋暁斎(きょうさい)は浮世絵師歌川国芳や狩野派に学びその独特な画風から北斎や若冲と並び奇想の画家として知られています。今回の展覧会は娘である暁翠(きょうすい)初の本格的な展覧会です。父から画業を学び内弟子として父の作品にも関わった暁翠、思えば北斎の娘の応為と似た境遇のように感じます。彼女の生涯を描き直木賞を受賞した澤田瞳子の「星落ちて、なお」では、彼女の波乱に満ちた生涯が伺い知れます。

今回の展覧会で作品を観るにつけ、父であり師匠でもあった暁斎から絵師として学び取る姿勢や画風や表現力に父に劣らない一面が伺い知れ、父とは違う女性ならではの表現も感じ取れました。作品は歴史画や古典、七福神などの縁起ものに、美人画、浮世絵やポスターと幅広い作品が並びますが、とりわけ七福神をお多福を題材にした個性的な作品や会場を飾る猫と遊ぶ二美人などは浮世絵の艶と日本画の流麗さを併せ持った豊かな表現力が光ります。

暁斎の陰に隠れ、女子美術学校初の女性教授となるも控えめな性格のためにあまり表に出ることのなかった暁翠、今回の展覧会を通して一人の女流画家として再評価されることを願ってやまないです。暁斎ありて暁翠あり、そして暁翠ありて改めて暁斎の凄さを知る展覧会でもありました。

 

※こちらの展覧会で紹介された作品も多数展示されています。参照:東京富士美術館「河鍋家伝来・河鍋暁斎記念美術館所蔵 暁斎・暁翠伝」


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