リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

「デフレ」はそもそも問題設定が間違っていた――2.8%の物価上昇でもデフレ脱却を宣言しない怪

2024-04-22 | 一般
2023年度の物価は前年比2.8%の上昇だったそうだ。月別では日銀が長年果たせなかった物価上昇率「2%」以上がすでに24か月続いたことになるという。その一方、政府はいまだデフレからの脱却を宣言しない。賃上げが物価上昇に追いついておらず、「実質賃金」は23か月連続で前年を下回っているため、現実には多くの国民が物価高に苦しんでおり、政府がデフレ脱却を宣言しても逆に反発を呼ぶおそれがあるようだ。(朝日新聞2024-4-20
市中の物価が上がり始めたころ書いた「食品値上げは待望の「デフレ脱却」なのか?」(2019)と比べると、昨今は物価上昇が当たり前になってコスト上昇を価格に転嫁しやすい雰囲気になってきていることがわかる。それほどまでに物価上昇が蔓延しているのにいまだ「デフレ」の看板を下ろさないのはどういうことか。新聞記事も指摘するように、やはり賃金上昇が追いついていないからだ。
つまり、物価指数を見て「デフレだから金融緩和」と言い続けていたことがやはりそもそも問題の本質を見誤っていたのではないか。問題は、企業が利益を内部留保としてためこんで労働者に還元しないこと、企業が雇用の調整弁として非正規雇用を増やしていること、大学も不安定な身分の有期雇用を増やしていること(そもそもその原因として法人化された大学への交付金が減らされ続けていること)、企業が取引先のコスト増に見合う値上げを受け入れないこと、名ばかりの独立事業者を酷使する働かせ放題の業務委託、社会を支える運輸・保育・介護などの業界で賃金が低いままであること(保育・介護に関しては公定料金が低く据え置かれている)などだ。
この多くは長年、政府が経済界の要望に応えて規制緩和をしてきたこと、あるいは(大学、保育、介護については)十分な予算を割り当ててこなかったことが原因だ。予算については借金漬けの財政事情のなか、単純に予算増を唱えることは慎むべきだが、2.3兆円もの税収減になる法人税優遇が自民党の税調で決められてしまい、効果も検証できず、献金の見返りなのではないかとの報道もあったし(朝日新聞2024-4-19)、アメリカの言いなりに軍事品を買い続けていることなどと合わせて考えると、やはり政府の重点の置き方は間違っていると思えてならない。

以前からうすうす感じてはいたのだが、やはり日本経済の問題は「デフレ」ではない。「デフレ」などと言うから金融政策で経済が上向くような気がしてしまう。支払われるべきところにお金が回るようにすることこと大切なのではないか。

追記:そういえば2021年度の倒産件数は1965年以来56年ぶりに最低を更新した(帝国データバンクasahi.com)。2021年といえばコロナ禍の真っただ中だ。倒産は少ないほうがいいという声も出そうだが、やはり効率の悪い、市場淘汰されるべき企業が政府のばらまきのおかげでゾンビのように延命してしまったというケースが多いのだろう。もちろん、コロナに直撃されて困窮していた事業者は多く、大規模な支援が必要だったことは間違いないが、過去ブログ2022-02-23でも書いたように、倒産件数がここまで減ったというのはやりすぎだったと思えてならない。
コロナなど緊急な必要性があって導入された支援策がその後もずるずると廃止されずに続いているというケースもある。国による支援が必要なケースはあるが、ばらまきは慎まなければならない。

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