かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 56 アフリカ⑥

2023-09-19 11:04:16 | 短歌の鑑賞
 2023年度版 馬場あき子の外国詠 ⑦(2008年4月実施)
    【阿弗利加3 蛇つかひ】『青い夜のことば』(1999年刊)P171
    参加者:泉可奈、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、藤本満須子、
        T・H、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:T・S  司会とまとめ:鹿取 未放

 
56 夕日濃きフナ広場にはじやらじやらと人群れて芸なしの蛇もうごめく

     (レポート)
 フナ広場はマラケシュにあるジャマ・エル・フナ広場のことである。ジャマ・エル・フナとは死者の広場という意味で、昔は罪人の処刑場だった。広場と言っても街の一角が商業地で、多くの店が集まっています。ここには多くの人が集まるので、見世物や街頭芸人がいろいろな出し物を演じて、客からお金をもらいます。蛇遣いも有名です。コブラを笛を吹いて踊らせる芸はよく知られています。「じやらじやらと人群れて」硬貨の音にも聞こえ一層の賑やかさの表現。笛を吹いてもなかなか思い通りにいかないこの蛇。「芸なしの蛇」。愛嬌者だろうか、意地っ張りなのだろうか、実に楽しい。     (T・S)
 

         (当日意見)
★じやらじやら、の擬態語が蛇(じゃ)の音に通じる。(可奈)
★蛇も、の「も」がよい。(藤本)
★人群れて、に自分が入っているのか、納得ができない。全て上から見下ろしていると
 いう感じ。 (T・H)
★当然、自分も入っている。群れている人の一員であることを承知し自己批判もありつ
 つ、旅行者としてその雰囲気を楽しんでもいる。フナ広場が処刑場だったというのは
 多くの国で共通するのかな、ロシアの赤の広場も処刑場でしたね。(鹿取)


       (まとめ)
 「夕日濃き」に夕方の華やぎがある。そういう時刻になってますます広場は活気を帯び、「じやらじやらと」人が群れ出すのだろう。濁音を使った擬態語は、自分も含めその場を楽しもうと意気込む無責任な群衆の比喩になっている。「芸なしの蛇」は手厳しいようだが同情の心もこめられているようだ。(鹿取)

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