「BAD LANDS バッド・ランズ」（ネタバレ注意）

2015年発行の黒川博行の長編小説「勁草」の映画化。
原作小説は、オレオレ詐欺の実態をリアルに描いた作品で、生々しさが半端なかった。

大阪を舞台にしているところは原作通りだが、一部、場所が変わっているのは、撮影許可が下りなかったのだろうか。
仮想通貨が出てきたり、原作からバージョンアップされているところもある。

主人公のオレオレ詐欺犯は、原作小説では男性だが、女性に変わっている。
安藤サクラが熱演しているが、どうしてもいい人感が出てしまっているように感じた。
詐欺師になりきれない主人公と重なるところはあるが、いい人でここまでやれるだろうかという疑問は残った。

そういう意味では主人公の血のつながらない弟を演じた山田涼介は、犯罪者の底の浅さをほどよく表現しているところに、リアリティを感じた。

最底辺を生きるために手段を選べない哀しさだったり、その中でも仲間に報いようとする人間の性を描くのが、原田眞人監督らしい。

大阪のイメージダウンが少し心配だが、天童よしみや宇崎竜童の演技も楽しめて満足。

点数は、8点（10点満点）。

タイトル：BAD LANDS　バッド・ランズ
製作年：2023年
製作国：日本
配給：東映、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
監督：原田眞人
主演：安藤サクラ、山田涼介
他出演者：生瀬勝久、宇崎竜童、吉原光夫、江口のりこ、サリngROCK、天童よしみ、大場泰正、淵上泰史
上映時間：143分