活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

日本人がやってしまうおかしな欧文組版

2011-05-24 15:33:14 | Weblog
 昨年、美術出版社から『欧文組版』━組版の基礎とマナー━という
タイポグラフィーの本が出ました。(写真)
この著者が「嘉瑞工房」の社長の高岡昌生さんです。

 私たちは美術出版社と聞くと『美術手帖』や『みづえ』のような
雑誌やアート関係の本がおなじみですから、いささか毛色が変わって
いるなという印象を受けましたが、デザインのあらゆる分野に欧文組
版は関係するわけですし、内容を拝見して発刊意図がズバリわかりま
した。

 高岡昌生さんは前述の高岡重蔵さんから欧文組版やタイポグラフィの
奥義を徹底的に叩き込まれ、かつての欧文活字による活版印刷と現在の
コンピュータ組版や組版ソフトに通じておられるだけに、思わず「そう
なのか、そうだったのか」と引きこまれてしまい、得難い思いの出来る
本です。

 神田川大曲塾では、研究会に来ていただいて、父上の重蔵さんには
ご自身の長い欧文印刷とのかかわり合いの中からのエピソードを、
ご子息昌生さんには、ネイティブではない私たちがともすると侵しがち
のおかしな欧文印刷の事例をあげながらわかりやすく正しいあり方を
教えていただく研究会にしいと考えた次第です。

 お恥ずかしい話ですが、私も欧文とはかなり付き合ってきたつもり
です。古くは大阪万博のときの英語版や仏語版にはじまって、
企業のアニュアルレポート、英文会社案内、海外向け商品カタログ、
PR誌、あるいは展覧会の説明ネームプレートなどなどです。
しかし、どうしても1にデザイン効果、レイアウト構成などヴィジアル、
2に記述内容の正確さ、翻訳の出来、不出来ばかりを見て、
高岡昌生さんが指摘される「日本人がやってしまうおかしな欧文組版」
のような視点に立つことがありませんでした。
次回、嘉瑞工房の高岡父子にご出講をお願いした研究会のご案内をする
ことにいたします。

  

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