活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

未来の あたりまえをつくる。

2015-11-01 07:54:01 | 活版印刷のふるさと紀行

 

 この1週間は読書週間であったり、「文字・活字文化の日」があったりしているのに、ハロウィーンの百万分の一ほども盛り上がりがありません。当然といえば当然ですが、私のように印刷文化の研究者にとっては歯ぎしりしたいような気持ちです。

 ところで、最近、DNP、大日本印刷の未来のあたりまえをつくるというテレビコマーシャルにときどき遭遇します。1.知とコミュニケーション2.食とヘルスケア3.住まいとモビリティ4.環境とエネルギーという4つの領域でDNPは未来のあたりまえをつくっていきたいという企業のありようを標榜しているのです。

 大日本印刷の創業は1876年、明治9年です。おそらくこの140年の社歴の中でほぼ100年は活字や画像を紙の上に印刷する「印刷」が同社の主要業務でありました。それがシャドウマスクやフォトマスクで代表される印刷技術を応用した領域への進出に始まって上記のような「未来のあたりまえをつくる」企業に変身しつつあることは頼もしいと思います。

 ところが現在、印刷産業は企業数も出荷額もかなり下降線をたどっております。メディアの変貌がどうしてもいわゆる従来型の「印刷」に影響を及ぼしてしまったからです。統計で見ますと、日本でもアメリカでも印刷機の稼働率は30パーセントくらいです。稼働率をあげるために通販印刷の会社から仕事を受注する方策をとっている会社もありますが、そうすると自社の営業力が低下するという悩みが出てきてしまうようです。

 いまや印刷産業全体で将来ビジョンに真剣に取り組むところにさしかかっています。未来のあたりまえをつくるコマーシャルをみながら考えさせられます。

 


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