活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

チョコレート博物館

2007-06-23 15:17:14 | 活版印刷のふるさと紀行
 サラマンカ大学まで足をのばしましたから、スペイン番外編といきましょう。
帆立貝の巡礼路の標識に注意しながらレオンをめざす途中、アストルガというローマ時代に栄えた町にさしかかりました。

 ガウディが設計した司教館が、あまりのモダンさからか1度も使用されないまま、「巡礼博物館」になっていますので、観光客はみんな、そちらをたずねます。
 私のおすすめは、この「チョコレート博物館」。

 チョコレートの起源はアメリカ大陸を発見したコロンブス、あるいは、ご当地の
スペイン人コルテスのカカオ豆との遭遇説が通説のようです。
では、アストルガとのかかわりはということになりますが、実はチョコレートの製品化を世界最初に手がけた町ということでした。

 博物館といっても、チョコレートの製造販売店のサイドビジネス、余技といった格好で、とにかく、店内せましと、時代がかった製造器具、原料豆、販促ツールが
ならんでおりました。

 愛想のいい店主が自慢げに売ってくれるチョコレートは大ぶり、厚めで、色が濃く、甘め抑え目ではあるが、濃厚な味で、ちょっと日本ではお目にかかれないもの。ただ、若干、土臭いというか、カウントりー調でした。

 ところで、このコワクてきな少女をモデルにした、ポスターはいかが。
私たちが大正時代のビールなどの大判ポスターに接するときと同じように、ノスタルジックな雰囲気をもたらしてくれる印刷でした。
1930年代の「描き版」と見ました。ポスターにしろ、チョコレートにしろ、ゆったりと時間が流れたころの良さが味わえるシロモノです。
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サラマンカ大学の壁

2007-06-19 19:23:28 | 活版印刷のふるさと紀行
 ご覧になりにくいかも知れませんが、ここに掲げた白っぽいスペインのサラマンカ大学の壁には、日本の天皇陛下と美智子妃殿下のお名前が赤文字で記されています。 1985年とありますから、20年以上も前のご訪問記念でしょうか。
 
 サラマンカというのは、マドリッドから西北約200km、カルタゴ時代の「サラマンティカ」が由来といい、この大学は1215年創設、ヨーロッパ最古であり、いまもパリパリの国立大学です。
 ここの図書室は蔵本数こそ、4万冊くらいで、決して多くありませんが、古いものでは6世紀ごろの写本もありますし、フィリップ5世のもとで繁栄した18世紀前後の活版印刷本には見るべきものがたくさんあります。
 
 現在、夏休みを使った日本人留学生の短期受け入れせいどもありますし、木製の鍾乳石風の天井の下で、きれいな手彩色のイラスト入り古書のページを繰るのも悪くありません。楽譜本もあります。
 
 サラマンカ大学のお隣の帆立貝の装飾で有名な「貝の館」も、現在、公立図書館です。
 帆立貝といえば、このサラマンカも前出のグアダルペとおなじく、サンチャゴ・デ・コンポステラを目指す巡礼の道にありますから、ぜひ、訪ねてみたいですね。
 


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音符の印刷

2007-06-15 13:54:09 | 活版印刷のふるさと紀行
 今年も憂鬱な梅雨入りのシーズンがやってきました。
こんなときは好きな音楽で気を引き立てるに限ります。昨日はロス・インディオス・タバハラスのCDを流しっぱなしにして、お気に入り「マリアエレーナ」で
学生下宿時代を思い出しました。いったい、何十年前などといわないで下さい。

 さて、音符の印刷といえば、1605年に長崎で印刷された「サカラメンタ提要」が、日本の活版印刷の音符印刷の嚆矢とされていますが、二色刷りで19曲が見事に印刷されております。たしか、ホンモノが上智大学にあります。

 1592年ですから、セミナリオが八良尾にあったころのイエズス会の報告書に前年のクリスマスに、生徒たちが巧みに楽器演奏をこなした記述がありますが、おそらく、みんなで、こうした楽譜とにらめっこしてのことだったでしょう。 
 
 写真の音符本はスペインのグアダルーペの僧院で私が撮影したもので、17世紀のものです。この僧院には天正少年使節も訪れております。聖歌隊で遠くからでも読める大きな譜面も展示されていましたが、羊皮紙に印刷されていましたが、撮影は許されませんでした。

 実は今日、目白で「天正少年使節と音楽」と題して、450年前の日本の少年たちと西洋音楽との出会いをテーマの音楽会があります。楽しみです。

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