活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

うれしかった「音訳」の知らせ

2012-10-31 11:26:58 | 活版印刷のふるさと紀行

 寡聞にして「音訳」ということばを私は知りませんでした。10月の最終日に出版社から「読者カードをお届けします」というメールが来て、なにげなく目を通していたらこの「音訳」という熟語にぶっかったというわけです。

 長崎市の書店で私の「ドラードの生涯」を買ったその人は感激して「音訳」を思い立って家事の合間に少しずつ進めて何年かかかって仕上げ、いま、図書館に来る目のご不自由の方に喜んでいただいている内容でした。

 なるべく平易なことばを選んで書くようにはしているつもりですが、耳から聴いてくださる方を意識して書いているわけではありませんし、横文字の名前や地名もたくさん出てくるだけにさぞかし読んで吹き込むことは大変だったと思われました。

 カードにあった電話番号にさっそくお礼の電話をしました。受話器からひかえめで慎ましやかな中年女性の恐縮しきりの声が伝わってきました。やはり、ドラードの生まれた諫早にお住いのかたでした。

 ちょうど来週大阪で「コンスタンチノ・ドラードとキリシタン版」の講演の予定があって、準備をしているときだけにその偶然に驚きながら、こういう読者がおられることに感激し、喜んでいる私です。これは、イラストレーターの杉浦範茂さんの手になるドラードの顔のイメージスケッチです。

 

 

 

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東京は世界に冠たる印刷都市

2012-10-20 11:05:50 | 活版印刷のふるさと紀行

 きょうから東京文京区の印刷博物館で「印刷都市東京と近代日本」が始まりました。オープニングで樺山館長がいみじくもおっしゃったのが、「東京」が世界に冠たる「印刷都市」であるのに、日ごろ、だれもそんなことは意識してない、むしろ海外からの人が驚く程ですと。

 たしかにそうでした。博物館のある文京区もお隣の新宿区も、千代田区、台東区、中央区もまさに印刷関連の企業が蝟集して、町の産業をリードしていた時代が長くありました。江戸末期から明治から平成初年まで、印刷都市東京が近代日本の成長と歩みを共にして来ました。この特別展はそれを見事にビジュアライズしてくれております。

 個人的にはいままで現物を見たくとも見られなかった明治初期の印刷物が「これ見てぇ」とショーケースにザクザク並んでいるのにはびっくり。さすが印刷博物館、所蔵品の見事さにもかぶとを脱がざるを得ませんでした。

 会期はきょう10月20日から来年2013年1月14日まで(月・祝休館)とタップリあります。興味のおありの方はぜひ足を運んでください。あえて、ここでは展示内容には触れません。

 それと、図録の出来がいいこともつけくわえます。いまや電子本の時代がはじまって、この先の東京の印刷がどのような道を辿るか読みきれないときだけに見落とせない「印刷文化史復習展」であり、「東京の印刷綜合回顧展。」でもあるように思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ホーム・カミングデー

2012-10-17 11:46:08 | 活版印刷のふるさと紀行

 今年もホーム・カミングデー、母校に帰る日が近づいてきました。と、いうわけでもないのですが本当に久しぶりに大学構内に足を踏み入れてみましたら、完全に浦島太郎。イヤ、ハヤ。自分が学んだ校舎の所在すらわからないほどの変貌ぶりでした。

 たまたま、会津八一記念博物館の尾崎事務長にお願いごとがあっての訪問でしたが、退出間際に「私の学んだ文学部の四号館もすっかり変わったようですね」と思わず漏らしたら、尾崎さんが「ご案内しましょう」と気軽に連れて行ってくださるではありませんか。

 事務長といっても一級建築士、認定ファシリティマネージャーという尾崎さん、「いまは法学部にしましたが、南門よりの建物と入り口の階段だけに以前の四号館時代のイメージを残しました」とおっしゃるではないか。なんでもキャンパスの新築・改築にも尽力しておられるらしく懐旧の念いっぱいの当方としては感謝感激。

 なるほど、見上げると窓の雰囲気が昔を呼び戻してくれるし、階段に至ってはここに並んで卒業写真を撮った日を蘇らせてくれる。そうだ、この地下が学生生協だった。それにしても、校舎前の立て看板のなんたる平和なことでしょうか。政治色も国際色もいっさいなし。就活の文字がデカデカ。われわれのときは違った。

 いまの危機的状況日本も学生には無関心なのかと思ってしまいました。それと、違うなあと思ったのは構内の木々の大きくなったことでした。高田牧舎のカレーセットも。

 

 

 

 

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