活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

秀英体フォントの講演会を開催

2015-02-28 11:37:36 | 活版印刷のふるさと紀行

 一〇〇年目の書体づくり -「秀英体 平成の大改刻」の記録-  という本を大日本印刷の広報室から送ってもらったのは 一昨年の秋でした。それとあい前後して片塩二朗さんの『秀英体研究』という七〇〇ページもの大冊も入手しました。『一〇〇年目の書体づくり』の方には「書体は生きている」という大仰なタイトルの帯がついておりました。

 たしかに秀英体にはご厄介になりました。ただし、私の場合、鉛活字の秀英体とのおつきあいが長く、、写植文字の秀英体とのおつきあいは浅かったので、いまの編集者やデザイナーのみなさんがイメージされるDTPやデジタル画面で使う秀英体のフォントとはいささか異なるおつきあいであったかもしれません。

 大仰なタイトルといってしまいましたが、その帯の「書体は生きている。」の次に「時代とともに移り変わる。大日本印刷のオリジナル書体、秀英体。誕生から100年目の改刻を経て、いま未来へ。」とあり、かなり惹句としては的確だと思いました。なぜなら、築地体と共に明治から出版文化の支え手であった秀英体を活版印刷が斜陽になる中で、根気よく改刻し続けてきた秘めたる自負が読みとれたからです。

 両書を読んで思いましたことは、書体の改刻、あたらしいフォントづくりの体験談をぜひ関係者の口から聴きたいということでした。これは、日ごろフォントとつきあっていらっしゃる方にも興味ぶかい問題ではないだろうかと考えた次第です。        

  そこで来る平成27年3月7日(土)15:30~17:30に印刷博物館グーテンベルクルームで大日本印刷秀英体開発室の高橋仁一室長をお招きして『100年目の書体づくり━秀英体平成の大改刻』 と題した講演会を持つことにいたしました。主催は私が所属しております神田川大曲塾で聴講費は1000円です。まだ、参加人員にゆとりがありますので参加ご希望の場合はこのブログのコメント欄にご氏名と連絡電話番号をご記入、お申し込みください。 

         

  

 

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英国のポール・ディヴィス

2015-02-08 17:51:36 | 活版印刷のふるさと紀行

 ギンザ・グラフィック・ギャラリーの2月展をのぞいてきました。われながらオッチョコチョイで不勉強ぶりを露呈したことを告白しなくてはなりません。

 ポール・ディヴィスと聞けばかつてこのGGGでも展覧会があったアメリカのポール・ディヴィスを思い浮かべるものですから「さすが再度ご登場か」と思って会場入りしたところ若くて、小柄なポール氏で当然作風もガラリと違うので「なんと迂闊な」と恥じ入りました。

 1962年生まれ、イギリスはサマセット生まれでロンドンでアートとイラストレーションを中心に大活躍の英国のポール・ディヴィスさんでした。これならギャラリー・トークを聞くべきだったのですが後の祭り。

”ライン・イン・ザ・サンド”砂に引かれた線というキャッチ・フレーズは彼が自ら定めた終わりを告げる始まりの境界線とリーフレットに在りました。ちょっと奇抜なアート作品と風刺をきかせたドローイングで会場は構成されていました。上の写真はマッド・ストリーと題したドローイング。いずれにしても展示したのは自分の大の気に入り作品のみとのことでした。

 先日の仏週刊新聞シャルリー・エブト襲撃事件の火種になった、ムハンドの風刺画ほど直截ではなく、ラブと題した男女のイラスト、タイヤド オブ ライフ人生にうんざりと題したイラストなどいずれもじっと見つめているとほのぼのと作者の風刺したいものが伝わってくる感じでした。2月の26日までです。







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秘めやかに「福は内、鬼は外」

2015-02-03 20:35:23 | 活版印刷のふるさと紀行

 きょうは節分。たった今、「福は内、鬼は外」をやり終えたところです。と、いっても高層マンションのベランダだと福サンは入りにくいだろうし、もし、高所恐怖症の鬼サンだったら外へ出たがらないだろうしと家人と笑いあった次第です。

 七草粥、菖蒲湯、盆の迎え火、月見など、我が家は忘れない限り年中行事はマメに実行しています。子どもの小さいときに、なるべく体験させようとやっていたことがかろうじて今も続いているというのが正直なところです。

 最近、東京でも新年早々から「恵方巻き」の宣伝や予約ばかりが目立って肝心の豆まきが隅に押しやられている感じです。あれは土用の丑の日のウナギと同じで大阪の鮨屋さんの販売戦略から盛んになったと聞きます。当方は不慣れで巻きずしの丸かぶりは遠慮気味です。

 思い出すとその昔、節分の日、ホウロクと呼ぶパエリヤ鍋のお化けのような土器で母が大豆を炒ってくれたものです。その大豆を升に移してこぶしいっぱいに握りしめて部屋ごとで「福は内、鬼は外」と大声を張り上げて、兄弟で競って戸を閉めたものです。そして最後に自分の年齢プラス1粒の豆を食べました。

 さきほど撒いた我が家の豆は目黒のしゃれた店で求めたもの。きれいな福娘とかわいい鬼のイラストが印刷された三角の小袋に炒り豆が20粒ぐらい入っていて、それが12袋で1セットになっている仕組み。小さな福娘のお面入りです。これでは豪快な豆まきは望めません。ささやかで秘めやかな豆まき、ついでに齢の数プラスワンも割愛です。

 

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