活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

丸加醸造所の紙袋

2015-06-17 12:08:30 | 活版印刷のふるさと紀行

 1週間に2度も豊田市へ行って来ました。トヨタとサッカー・スタジオで町のたたずまいはすっかり変っていましたが、昔のまま変っていないものを1つだけ見つけて「万歳」です。

 それがこれ。ある味噌屋さんの紙袋のデザインです。中央に5弁の花びら、多分、ウメでしょう、そして正円の中の肉太のカの文字、これで社名のマルカをあらわしております。あとは左右シンメトリーに見えるのですがデザイン素材は別々です。左の葉っぱは山ゴボーの葉っぱでしょうか、右は麦の穂でしょうか。

 三河の味噌の原料は大豆、いくら山ゴボーの味噌漬が自慢のお店でも、ゴボーの葉っぱはもっと大きいはず、ウメではなくサクラなどと考えていると私の想像はまったく違うのかもしれません。

 そして「商標登録」の4文字が図柄の右と左に2字ずつ縦に配されていて、社名が一番下に左から右に置かれています。それぞれの書体が全く異質ですが、それが妙に味を出しております。そして目とをこらすと、◎昭和2年創業当時の商標ですとありました。

 昭和2年だと紙袋ではなく包装紙はあったのでしょうか。としたら「印刷」は? 案外、描き版で、それとも。まあ、いいや。もうちょっと想像を楽しむことにします。それに、もっとうれしかったのは東京に戻っておみやげとしてこのデザインの紙袋を黙って渡したら友人が「マルカの山ゴボーかうれしいな」と、いってくれたことです。彼は豊田市出身でデザイナー、それも紫綬褒章をもらったような大物です。

 昔の商標登録をそのまま紙袋に使っているセンスに乾杯です。そして、中身の山牛蒡と菊芋の味噌漬けの味はサスガでした。


 




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