活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

歴史資料をデジタルで楽しむ 国立歴史民俗博物館

2017-04-17 01:19:04 | 活版印刷のふるさと紀行

 千葉県佐倉市国立歴史民族博物館は30余年、日本の貴重な文化財の展示と大学などとの共同研究で知られています。常設の方は第1から第6までゆとりのある広いスペースを使っての展示が楽しめます。

 わかりやすい構成ですが、難をいえば、やや大雑把な印象を受けました。商売柄、第2展示室の「印刷文化」のところの印象をいえば、日本の印刷文化の黄金期、明治以降はカットされていましたし、キリシタン版など日本の印刷の創世記についても無視とはいささか残念でした。

 時間の関係で企画展「デジタルで楽しむ歴史資料へようこそ」の方をじっくり見ました。歴博所蔵の屏風とか、絵巻、肖像画などの絵画資料をプロジェクションマッピングなどを使ってデジタルで楽しもうという趣向です。

 ここでも印刷との関連から私が一番熱心にみたのは、浦上天主堂旧蔵の「マリア十五玄義図」を戦前にガラス乾板で撮影したものをデジタルデーター化して画像ソフトでか白黒写真からカラー化にチャレンジしたというものでした。これも難をいえば、印刷業界ではもう30年も前から使っている技術ですが。

 ただ、一般の見学客には江戸名所図絵などから隅田川や日本橋、浅草や本郷などの移り変わりや家康など偉人の肖像画資料を展示物を前にして自分でボタンやマウスを動かしてデジタルで楽しめるので大人気でした。

 

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チューリップと風車 佐倉訪問

2017-04-16 13:57:11 | 活版印刷のふるさと紀行

 知りませんでしたが千葉の佐倉でチューリップフェスタがあると聞き、バス旅行に参加しました。快晴、温暖、オランダ風車のある「ふるさと広場」を会場に70種類60万本のチューリップが今を盛り、さいわい、お隣りの印旛沼沿いの桜がまだ健在だったのでゆっくり春を満喫できました。

 上野から京成で1時間足らず、かねて国立歴史民俗博物館やDICの美術館にはぜひと思っていた佐倉ですが、実際に訪ねてみて歴史と由緒のある町としては関東でも指折りの感を抱きました。

 もともと家康が藩主に信頼の厚い俊才を送り込んだこともあって1600年代から800年代にかけて房総きっての繁栄ぶりだったようです。たとえば、「西の長崎、東の佐倉」は現在の順天堂の祖、佐藤泰然の蘭方医学との結びつき、病院経営と蘭方医養成を指してのことでした。

 余分なことですが、昼食をとった創作料理『一幸』の筍ごはんは最高、思わず,立ち寄った「マルシェかしま」で一株買って、夜、再現にチャレンジした次第です。

 

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花森安治の仕事

2017-04-02 17:03:03 | 活版印刷のふるさと紀行

 4月も2日になってようやくソメイヨシノが3分咲き、世田谷美術館の『花森安治の仕事』もあと残り少なく会期が9日までになりました。美術館催事としてはやや異色といえるかもしれませんが、いい展覧会でした。

 NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」が評判でしたが、たしかに、テレビでは、あの『暮らしの手帖』の花森安治のマルチな仕事を紹介するわけにはいきませんでした。写真・イラスト・文章・エディトリアル・ファッションありとあらゆる領域で編集長として腕をふるった彼の仕事ぷりに≪デザインする手、編集長の眼≫なるサブタイトルがつけられているのも納得でした。

 『暮らしの手帖』の描きだす世界が戦中・戦後の日本人の手近な願望や憧憬と重なったこともあってかとくに高年齢の方々が興味深く観ておられるようでした。会場では時間的制約があるので、花森の仕事をじっくり見ようというのか、会場で売られてい。る「図録」に手を伸ばす人も多いようでした。

 しかし、私にはひとつだけ不満が残りました、花森安治ほど印刷を愛し、印刷を知ろうとし、印刷を試した人はいないと思います。今度の展覧会で印刷をテーマにしたコーナーはありませんでしたし、図録でも安治と印刷を論じたページはありませんでした。暮らしの手帖と親戚づきあいをさせてもらってていたDNPに身をおいていたひとりとして寂しい思いです。

 

 

 

 

 

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