野球小僧

結構毛だらけ猫灰だらけ / 車寅次郎

結構毛だらけ猫灰だらけ、お尻の周りはクソだらけってねぇ。
タコはイボイボ、ニ­ワトリゃハタチ、イモ虫ゃ十九で嫁に行くときた。
黒い黒いは何見て分かる。
色が黒くて貰い手なけりゃ、山のカラスは後家ばかり。
ねぇ。
­色が黒くて食いつきたいが、あたしゃ入れ歯で歯が立たないよときやがった!

映画「男はつらいよ」 / 車寅次郎の口上の一節より

「男はつらいよ」は、通称、「寅さん」シリーズと呼ばれる、渥美清さん主演、山田洋次さん原作・監督(一部作品除く)のTVドラマおよび映画シリーズです。

テキ屋稼業(縁日や盛り場などで露店や興行を営む業者のこと)を生業とする「フーテンの寅」こと車寅次郎(寅さん)が、故郷の東京・柴又(葛飾区)に戻ってきて、大騒動を起こす人情喜劇です。毎回旅先で出会う「マドンナ」に惚れるものの、失恋するか身を引くかして、恋は成就しません。ある意味、寅さんの恋愛ドラマでもあります。

1968年~1969年にフジテレビが制作・放送したTVドラマが最初ですが、このときは柴又は舞台ではなかったそうです。ちなみに、最終話で(蛇の)ハブ酒を作ってひと儲けしようとした寅さんが、鹿児島・奄美大島にハブを取りに行ってハブに咬まれて死んだという結末に抗議が殺到して、映画化につながっています。そして、1969年8月27日に映画化第1作が公開され、1995年までに48作、1997年と2019年に特別編が公開された、国民的映画の1つです。

「結構毛だらけ猫灰だらけ・・・」は、商売の啖呵(たんか=品物を売るときの口上)から派生している、寅さんの口癖です。主に投げやりになったり、すねているときに使っています。実際に青年時代にテキ屋体験がある渥美さんならではの口上も面白い場面です。

さて、寅さんの実家は東京・葛飾柴又の帝釈天門前にある老舗の団子屋「本家とらや老舗」(40作以降は「本家くるま菓子舗」)です。14歳の時に中学校を中退し、お父さん(平造=演者はいないと思います)とケンカをして家を飛び出し、放浪の果てにテキ屋となり、それから20年後の1969年、柴又帝釈天(経栄山題経寺)の庚申(こうしん)の日(帝釈天の縁日)に柴又に帰省して実家の団子屋に戻って来て以来、年に数回ふらりと帰って来ては家出を繰り返すというパターンです。

葛飾柴又、帝釈天題経寺と門前は寅さんのふるさとであり、映画になくてはならない舞台です。山田洋次さんが柴又を知ったのは、1963年に公開された「下町の太陽」という映画を監督する際、作家の早乙女勝元さんを訪問し、すぐそばにあった帝釈天を案内されたのがきっかけでした。戦災で東京の下町が焼け野原になるなかで、「あの一帯は奇跡的に残ったでしょ」と、昔ながらの街であり、戦後の経済主義に染まらず、人情が残る街として気に入ったそうです。以降、1968年から27年間、お盆とお正月の前の年2回、山田洋次さんは俳優やスタッフたちを引き連れてそれぞれ2ヶ月近くかよっていたそうです。

私が柴又を訪問したのは2018年11月下旬でした。京成電鉄の柴又駅から帝釈天までの約200mの参道には、明治から昭和に建てられた町屋が並び、映画の風景そのままです。

文化庁は地元葛飾区の申請を受けて2018年、参道や寺社、旧家など一帯131ヘクタールを、「風景の国宝」といわれる重要文化的景観に選定しました。ちなみに、北海道沙流郡平取町「アイヌの伝統と近代開拓による沙流川流域の文化的景観」、群馬県邑楽郡板倉町「利根川・渡良瀬川合流域の水場景観」、和歌山県有田郡有田川町「蘭島及び三田・清水の農山村景観」、あの鳥取県八頭郡智頭町には「智頭の林業景観」、福岡県豊前市「求菩提の農村景観」、そして長野県には千曲市「姨捨の棚田」と飯山市「小菅の里及び小菅山の文化的景観」など、全国70ヶ所が選定されています。

一方で、2018年に東京都は帝釈天参道に交差する都道(柴又街道)580mの区域を現在の幅11mから15mに広げようと、事業説明会を地元で開きました。もともと、この拡幅計画は戦後間もない1947年に当時の戦災復興院が立て、ずっと実現しないままでしたが、今ごろになって東日本大震災後の防災強化もあって進められることになりました。

(ちょうど、この場所になります)

「お前、さては(さしずめ)インテリだな?」
(寅さんが言い合いで負けたときや、自分が理解できないことを言われた時によく使用しますが・・・)

東京都は、「大型車がぎりぎりすれ違える程度の幅しかない。拡幅して安全性を向上させるとともに、電柱を地中化して景観をよくします」としています。電線の地中化はともかくとして、街道に面した建物は削るか、後退して建て直すことになります。そして、帝釈天参道と柴又街道が交差する付近は高さ16m、容積率400%までの建物を建てることができるようになり、景観には配慮されるとは思いますが、3~4階建てのビルが並ぶ可能性も指摘されています。

「相変わらずバカか?」
(柴又に帰ってきた寅さんが、顔なじみと交わす挨拶ですが・・・)

文化庁は、「建て替えられるたびに中層の建物が建ち、いままでの低層木造の街並みが変わってしまうのではないか」と心配しています。そもそも、柴又駅前については商業施設が建設され、古い飲食店が並んだ駅前を圧迫するように建物が建ってしまい、寅さんと見送るさくらの像が小さくなってしまっています。

「聞くも涙語るも涙、見上げたもんだ屋根屋のふんどし、たいしたもんだ蛙の小便」

次に訪問させていただいたときには、どのような景観に変わっているのか。それとも変わらずに残っているのか・・・。

本日も、私のブログにお越しいただいてありがとうございます。

今日はどのような一日になるのでしょうか。または、どのような一日を過ごされたのでしょうか。

その一日でほんの少しでも楽しいことがあれば、それを記憶にとどめるように努力しませんか。そして、それをあとで想いだすと、その日が明るくなる、それが元気の源になってくれるでしょう。

それを見つけるために、楽しいこと探しをしてみてください。昨日よりも、ほんの少しでも、いい一日でありますようにと、お祈りいたしております。

また、明日、ここで、お会いしましょう。

コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。

コメントありがとうございます。

TVや映画で観た場所へ行ってみるのが、私の「死ぬまでにやりたいこと」の一つです(たぶん、挙げていなかったと思いますが)。

おまけを記しておきます。

七つ長野の善光寺。
八つ谷(や)中(なか)の奥寺(おくでら)で、竹の柱に萱(かや)の屋根、手鍋(てなべ)下げてもわしゃいとやせぬ。
信州信濃の新そばよりも、あたしゃあなたのそばがよい。
あんた百までわしゃ九十九まで、共にシラミのたかるまで、と、きやがった。
どうだチキショウ。

おあとがよろしいようで。
まっくろくろすけ
びこさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。

一時期、寅さんにはまりました。以前入院したときも、暇つぶし用に寅さんの漫画本を持って行ったくらいです。

ある意味、時代劇と一緒で、オチがわかっている分、安心して観ていられるますしね。
eco坊主
おはようございます。

寅さんの口上は最初の一行しか覚えていない(知らない)ですね~
ぴこさん同様ここで寅さんのこと色々知った次第です。
ありがとうございました。
鳥取県智頭町もご紹介いただき町長金兒英夫に成り代わりお礼申し上げます。
ありがとうございました。


みんなにありがとうと言える一日を過ごし
大切な人を守るために、本当の笑顔のために!
びこ
寅さんのこと、詳しく解説していただきまして、ありがとうございました。お陰でよくわかりました。
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