『印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1 9 5 7 - 1 9 7 9』 国立工芸館

国立工芸館
『印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1 9 5 7 - 1 9 7 9』 
2023/12/19〜2024/3/3


右:井田照一『The Spy Surrounds the Spy』 1974年 京都国立近代美術館蔵

国立工芸館にて『印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1 9 5 7 - 1 9 7 9』が開かれています。

これは1957年から1979年までの間、ほぼ2年に1回のペースで11回開催された「東京国際版画ビエンナーレ展」への受賞作や出品作を通し、戦後日本における版画やグラフィックデザインの動向を追うもので、あわせて当時のデザイン界たち巨匠による展覧会ポスターも紹介されていました。


左:田中一光「第3回東京国際版画ビエンナーレ展」ポスター 1962年 国立工芸館蔵 右:加納光於『星・反芻学』 1962年 東京国立近代美術館蔵

1957年にはじまった「東京国際版画ビエンナーレ」とは、世界各国より作品を集めた国際的な規模の版画展で、東京国立近代美術館や京都国立近代美術館などを会場に開かれると、当時の気鋭の版画家らが数多くの作品を出品しました。


左:池田満寿夫『夏 1』 右:宮下登喜雄『作品B』 ともに1964年、東京国立近代美術館蔵

そのうち29カ国が参加した第1回展では、読売会館と国立近代美術館の2つの会場にて829点(日本:160点)の作品が公開され、日本にいながらにして世界の美術の動向を感じられる貴重な機会として人気を集めました。


榎倉康二『二つのしみ』 1972年 東京国立近代美術館蔵

そして同ビエンナーレでは、池田満寿夫に加納光於、また高松次郎や榎倉康二などの作家たちが、時に現代美術の最前線に近いような作品を手がけ、版画表現のあり方そのものを問い直しました。


左:勝井三雄「第11回東京国際版画ビエンナーレ展」ポスター 1979年 国立工芸館蔵 右:石岡瑛子「第10回東京国際版画ビエンナーレ展」ポスター 1976年 国立工芸館蔵

今回の展覧会でとりわけ魅惑的なのは、同ビエンナーレの展覧会ポスターが全11回分すべて展示されていることで、田中一光や永井一正、それに横尾忠則らによる斬新ともいえるグラフィカルな表現を見ることができました。


杉浦康平「第8回東京国際版画ビエンナーレ展」ポスター(銀) 1972年 国立工芸館蔵

そのうち杉浦康平による第8回のホイル版のポスターも目立っていたかもしれません。銀地のホイル版が鏡面として機能することで、3次元的な空間が広がっていました。


左:志村ふくみ『紬織着物 鈴虫』 1959年 右:森口華弘『古代縮緬地友禅訪問着 早春』 1955年 いずれも国立工芸館蔵

このほか、特集展示「プレイバック1977年ー工芸館の開館記念展」では、東京国立近代美術館工芸館の第1回目の展覧会をふり返っていて、富本憲吉や濱田庄司、それに志村ふくみらの工芸作品もあわせて楽しむことができました。


新たな「版」の表現に挑んだ気鋭の作家たち。国立工芸館にて開催中の『印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1 9 5 7 - 1 9 7 9』|Pen Online


横尾忠則『責め場 1』、『責め場 2』、『責め場 3』 1969年 東京国立近代美術館蔵

国立工芸館は元日の能登半島地震の影響により一時臨時休館しましたが、1月6日より展示が再開しました。



一部を除いて撮影も可能です。3月3日まで開催されています。

『印刷/版画/グラフィックデザインの断層 1 9 5 7 - 1 9 7 9』 国立工芸館@ncm2020
会期:2023年12月19日(火)〜2024年3月3日(日)
休館:月曜日。(ただし1月8日、2月12日は開館)、年末年始(12月28日〜1月1日)、1月9日、2月13日。
時間:9:30~17:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般300(250)円、大学生150(70)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体。
住所:石川県金沢市出羽町3-2
交通:いずれもJR金沢駅東口(兼六園口)から。路線バス3番乗り場より乗車し、「広坂・21世紀美術館(石浦神社前)」下車、徒歩7分。6番乗り場より乗車(「柳橋」行を除く)し、「出羽町」下車、徒歩5分
。8番乗り場より乗車し、「広坂・21世紀美術館(しいのき迎賓館前)」下車、徒歩9分。
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