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マスト細胞を抑える抗アレルギー化合物を発見

2024-05-16 10:37:44 | 
アレルギーについてはこのブログでも取り上げていますが、私はタケノコアレルギーがある程度で、それほど問題はありません。

山梨大学の研究チームが、アレルギー性疾患の治療薬になり得る低分子化合物を発見しました。免疫細胞でアレルギー症状を引き起こす根本要因となるマスト細胞を標的として特異的に抑え込むとみられ、薬剤候補として持続的な効果が期待できるようです。

アレルギー性疾患は、花粉やダニなど環境中にあるアレルゲンによってマスト細胞が活性化し、ヒスタミンなどのアレルギー反応を引き起こす分子が放出されて起こります。

現在広く使われている抗ヒスタミン剤や副腎皮質ホルモンなどはマスト細胞などから出る分子を標的とする対症療法に留まります。このため投与を中止すると比較的早い段階で症状が再発するケースが多いとされてきました。

研究チームはマスト細胞自体を標的とした抗アレルギー薬ができれば、根本治療に近づけると考え、マスト細胞の表面にある「KIT」という細胞の活動性や生存を司る受容体分子に注目しました。

タンパク質の立体構造の時間的変化まで考慮した分子動力学シミュレーションを行い、KITの働きを邪魔すると推定できる低分子化合物を数個にまで絞り込みました。

この中から細胞を用いた試験管内の実験でMOD001という化合物が最もKITにだけ結びつくことを確認し、新しい抗アレルギー薬になり得ることを明らかにしました。

蕁麻疹の症状が起きるマウスを用いた実験では、MOD001を油のような液体に溶かして飲ませることでアレルギー症状を著しく軽くできると実証しました。

マウスやヒトの細胞を培養して作ったマスト細胞を用いた実験では、MOD001がマスト細胞の活性化や生存の延長、生体内の移動を著しく妨げると示され、マウスを用いた実験で7週間の投与を経ても副作用はありませんでした。

長期投与でマウス皮膚におけるマスト細胞の減少も確認されています。研究チームは、より強力かつ持続的な抗アレルギー作用、既存の抗アレルギー薬に反応しなかった患者への効果、既存薬の減量が期待できるとしています。

現在は早期の臨床応用を目指し、薬を安全に効果的に投与する仕組み「ドラックデリバリーシステム」を効率化するための改変を試みている段階のようです。

従来の抗アレルギー薬はステロイドが中心でしたので、どうしてもある程度の副作用が出ていましたが、この新規化合物によってアレルギーを抑える薬が出来れば、安全な治療法の開発に繋がりそうな気がします。


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