甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

余市の海岸、サーファーたちと私

2023年12月19日 11時00分29秒 | きたぐにへの旅

 もう一ヶ月以上前、北海道を旅していました。余市駅にも降り立ちました。たぶん、「余市駅を存続する会」というツイッターに誘われたのだと思います。

 函館本線は風前のともし火で、長万部から小樽までは廃止されるという話でした。だから、それまでに一度乗っておこうと、わざわざ出かけたんでした。別に知り合いがいるわけでもないし、余市のニッカの工場の予約ができたわけでもなかった。予約はすでにいっぱいだったのです。

 だけど、何かあるだろう、それにニッカのウィスキーミュージアムというのは予約なしでも入れるということでしたし、とりあえず工場の門のところまで行ってみよう、駅から近いし、という気持ちで行ったのです。

 工場のゲートって、何だか不思議です。どんなものが作られているのは知っているし、原料があって、それを加工する工程があって、働く人がいて、職人魂があって、製品はでき上り、箱詰めされて、工場を出ていく、そんなところでした。そして、すべてを取り仕切るのが、工場のゲートでした。よそからはなかなか入れなくて、関係者であるのか、そうでないのかチェックされ、守衛さんがいてくれる。

 工場それぞれに物語があって、人のドラマがあって、歴史が作られていく。そういうのを全部知ってるのに、わりとあっさりとゲートがあって、外の世界と中を区切っています。



 ニッカの工場には、当然のことながら、仕切りがあって、まわりは塀で囲まれています。中が見えなかった。守衛さんもいて、まるで西洋の古城のような雰囲気でした。できたら、中に入りたかったけれど、私は予約できなかった。

 私と同じ電車(ディーゼル車)に乗ってやってきた何人かが、中に入れてもらっていました。ああ、無念!

 だったら、仕方がなくて、私は、街の散策に出ることにしました。というか、たぶん、道を真っすぐ行けば海側に出るというのはわかっていました。そういう街をわさわざ選んで、スコットランドの海沿いの町のような余市町に工場を建てたらしいのです。その雰囲気を味わいたかったけれど、無理だから、町の見学と、歩いていたら、すぐに道の駅に出ました。でも、まだ誰も動いてなくて、もう少し時間がお昼に近づかないと営業しないような、そんな道の駅みたいでした。

 宇宙と縁があるようで、スペースシャトルの飾りたてがしてあって、どうして余市と宇宙なんだろう、よくわからないなあ、とさらに歩いていくと、川があって、それを渡ると、宇宙温泉という銭湯もありました。

 そこでやっと宇宙飛行士の毛利衛さんのふるさとが余市町である、というのを知ることができました。そういう意味の「宇宙温泉」だったようです。そうだったのか。だから、宇宙推しだったのですね。毛利さんは町に貢献してたんですね。

 ふたたび川を渡り、河口の方へ出てみると、雨も上がって、ほんの少し日も差してきて、海らしい気配がします。雨も降っているし、寒いのは確かでした。

 でも、そんなの気にしていない地元のサーファーのみなさんは、いつものように海に来て、いつものように石狩湾の波を受けて、浮かんだり沈んだりしているようでした。


 ここにも生活はあり、私はそれらを横目で見つつ、自分のことばかり考えていました。次の電車まで……、それまでに何を食べて……、雨はもう止むのかな……、次の倶知安でゴハン食べようか、いや、そもそも今朝は朝ごはんを食べてなかった……。

 そんなことを思いつくまま、考えはするけど、深追いはしないで、ただ流れるままに、行き当たりばったりで歩いてるけど、果たして駅に戻れるのか?

 いろいろとアヤフヤのままに歩き、せっかく海に出ても、水に触れるとか、どんな浜辺なのか歩くとか、漂流物はあるかとか、そんなことには手を出さず、何のとっかかりもないままに歩いていくのでした。

 駅に戻ったら、駅の売店で朝なのにワインを少し飲み、アップルパイを食べ、奥さんのお土産にハンカチを買い、朝ごはんも・お昼も何も決めないままに電車に乗り込むのでした。倶知安までそんなに遠くはなくて、すぐに着いてしまうのでした。




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