拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

えん罪

2024-05-04 09:12:05 | 朝ドラ

今の朝ドラのだいぶ前の放送で裁判所の職員がやたらとえばってるシーンがあったが、あれは十分ありうることである。なにせ、今から40年前……今からはだいぶ前だが朝ドラの時代からはだいぶ後……私が某地方裁判所に不動産に関する書類の閲覧に行ったとき職員からの呼び出しは呼び捨てだった。「はいじまっ」と怒鳴られたときは、怒られたのかと思った。しばらくして「さん」が付くようになっても怒られてる感じはそのままで、まるで「さん」を付けるのが口惜しくてたまらない、という風であった(ああいう人が生きていけるのは裁判所の中だけに違いない)。

そして今週の放送では検察の横暴さがきわだった。検察による事件のでっちあげを「あたかも水中に月影を掬い上げようとするかのごとし」と表現した判決文は出色である。この事件のモデルは帝人事件。ドラマ同様被告人全員が無罪となった。えん罪は、現代でもなくなっておらず、村木厚子さんが無罪を勝ち取った事件が有名だが、つい最近でも大河原加工機(おおかわら・かこうき)事件では、検察が公訴を取り下げた。因みに、帝人事件では、「株券が金庫の中にあったこと」が無罪の鍵になったそうだが、時代だな、と思う。現在では、(上場会社の)株式はペーパーレス化していて、紙の株券は無意味である。

それでも、今の若い世代のなりたい職業ランキングでは、弁護士よりも検察官の方が上だそうだ。検察官を描いたドラマ(朝ドラではない)の影響らしい。そこで描かれる検察官は正義の人である。それに対し、弁護士は依頼人を勝たせるのが仕事だから、依頼人が極悪人であってもその極悪人に有利になるように努めなければならず、またそれが義務である。その点、鉄人28号と同じである。鉄人28号は操縦機を操る者の意のままに動くから、操縦者が悪人なら「悪魔の手先」となる。それに対し、鉄腕アトムは、自ら善悪を判断することができる。きょうびの若者は、あくまで鉄腕アトムになりたいのだろうか。だが、えん罪をでっちあげたら正義の味方が台無しである。村木さん事件で後に自分がとっ捕まった検察官などは、まさに「水中に月影を掬い上げようとするかのごとし」を地で行った人々だ。その場合は、正義は弁護士の側にある。今の朝ドラなどはそのスタンスのようだ。

この一週間、検察官は、日本中を敵に回して肩身が狭かったろうか?いや、検察官たる者、朝ドラなどは眼中においてないかもしれない。

口直しにモッコウバラの写真でも眺めよう。

奥地の家の「猫の額」で今満開を迎えている。正義も不正義もわれ関せず、と言った風情である。



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