今日は『人形の家』からこのセリフにしました。このセリフは…
合コンに行くと偽ってモデルのオーディションに出向いたガンヒは、大げさに歩いたため、審査員から、服よりモデルが目立っては話にならない、目立ちたいならモデル以外の仕事に、と一蹴されました。
怒って戻ってきたガンヒは姉の経営するチキン店でやけ酒を飲んでいました。そこへこれも求職に失敗したチョルスがやってきて、ガンヒの様子を見てからかいました。しかしガンヒはチョルスに、自分は時と場所をわきまえず目立とうとする軽い女だろうか?、と真面目に訊ねました。するとガンヒが合コンに行ったと信じているチョルスは、正直すぎる男は恋愛には向いていない、と返しつつも、確かにお前はでしゃばりだ、と言いましたから、ガンヒは、本当はけなしてないか?怒り出しチョルスに食ってかかりましたから、俺が忠告してやってるのに、と口論になりかけたため、我慢してやると言ったチョルスが更に言った言葉になります。
人は勝手ですから(笑)、その時の気分や状況で受け止め方が変わります。だからタイミングが大事なんでしょうね(笑)
そういえば、あの「こころ」の中にもそういう面を描くシーンがありましたよね。
ーーー一
先生は笑い出した。あたかも時機の過ぎた今、もう熱心に説明する張合いがないといった風ふうに。
「金さ君。金を見ると、どんな君子でもすぐ悪人になるのさ」
私には先生の返事があまりに平凡過ぎて詰つまらなかった。先生が調子に乗らないごとく、私も拍子抜けの気味であった。私は澄ましてさっさと歩き出した。いきおい先生は少し後おくれがちになった。先生はあとから「おいおい」と声を掛けた。
「そら見たまえ」
「何をですか」
「君の気分だって、私の返事一つですぐ変るじゃないか」