みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1455「生存確認」

2024-04-24 17:50:26 | ブログ短編

 中学生(ちゅうがくせい)の娘(むすめ)にメールが届(とど)いた。大叔父(おおおじ)からだ。お正月(しょうがつ)に家族(かぞく)で遊(あそ)びに行ったとき、大叔父から頼(たの)まれてしまったのだ。大叔父は一人暮(ぐ)らしで、いつ倒(たお)れるか分からないからその時のためにと。ちゃんと生きてることを誰(だれ)かに知らせたい、ということみたい。メールを受け取るぐらいならと娘は引き受(う)けたのだか…。
 初めのうちは短い文(ぶん)で「生きてるよ」みたいな感(かん)じだった。それが、だんだん長くなっていって…。そのうち、小説(しょうせつ)のような物語(ものがたり)になってしまった。ひとりでいるから暇(ひま)なんだろうけど…。でも、大叔父のお話は奇想天外(きそうてんがい)でとっても面白(おもしろ)い。学校(がっこう)の友だちに読(よ)ませても評判(ひょうばん)がよくて、次(つぎ)も読ませてよとちょっとしたブームになってしまった。
 そして、その日がやって来た。いつもの時間(じかん)に大叔父からメールが届かなかったのだ。娘はすぐに両親(りょうしん)に知らせた。両親は「忘(わす)れてるんじゃないのか」と言ったのだが、娘は心配(しんぱい)で「倒れてるかもしれないよ」と訴(うった)えた。自宅(じたく)に電話(でんわ)をしてみたが誰もでない。
 ますます心配になってきた。明日は休みだし、これから行ってみるかということになった。家族みんなは車に乗(の)り込んだ。そして出発(しゅっぱつ)しようとしたとき娘にメールが届いた。大叔父からだ。娘はすぐに電話をかけた。大叔父がでた。
「ああ、すまんなぁ。いいアイデアが浮(う)かばなくて時間がかかってしまった。そっちは、みんな元気(げんき)にしてるか? また遊びにおいで、待(ま)ってるからなぁ」
<つぶやき>これは、本末転倒(ほんまつてんとう)なんじゃないですか? でも、こういうの良(い)いと思います。
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