温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

壱岐 湯本温泉郷 すこやか温泉

2024年05月21日 | 長崎県

(2023年3月訪問)
今回から連続して長崎県の離島である壱岐に湧く温泉を取り上げます。
島の北西岸に位置する湯本温泉郷には、多くの温泉施設が集まっており、いっぺんにたくさんの温泉をハシゴすることが可能です。私が訪問した2023年3月は、新型コロナウイルスがまだ感染症法上の2類だったため、一部の施設では日帰り利用を中止していましたが、それでも結構な数のお風呂をハシゴすることができました。

まずは湯本温泉郷の北部に位置する「すこやか温泉」から取り上げます。温泉入浴の大きな目的は心身が健やかになることですから、その目的に合致したわかりやすい施設名で良いですね。さて、上画像に写っている建物の出入口には温泉名の扁額が掛かっていますが、こちらはどうやら家族風呂や宿泊のお部屋が入っている棟のようで、日帰り入浴する場合はその左隣に接している・・・


こちらの湯屋を利用します。でもその前に・・・


この受付小屋で料金を支払います。


受付小屋の近くで、湯気をあげるコンクリの躯体を発見。
おそらく源泉施設でしょうね。


今回利用するのは、家族風呂ではなく、いわゆる公衆浴場として使われている「大浴場」です。「大」と言いながらもお風呂の造りはかなりコンパクトで、男女別の浴室には浴槽がひとつ据えられているばかり。


洗い場には混合水栓が2つあり、うち1つにシャワーが付いています。


浴槽は2人、詰めて3人入れるかといったような造りです。
湯船にはブラッドオレンジジュースを彷彿とさせる赤い濁り湯が溜められており、私の訪問時にはその湯面にカルシウム分が固まってできる薄い膜が張っていました。


源泉のお湯を出しっぱなしにすると熱すぎてしまうためか、入室時には湯口のバルブが締められていましたので、湯船へ入る前に開けてみると、バルブから勢いよく熱いお湯が迸り、やがて湯船のお湯がザブザブと溢れ出していったのでした。浴槽には循環装置などありませんので、バルブからお湯を出し続けることにより完全かけ流しの湯使いになります。
湯口のお湯を口に含んでみますと、しょっぱくて苦汁の味も感じられる一方、赤いお湯なので金気が強いのかと思いきや、意外にもあまり金気を感じませんでした。お湯の濁りがとても強く、この湯船では透明度20センチあるかないか。底は全く見えません。なおカルシウムを多く含むためか、石鹸はあまり泡立ちません。塩気が強いお湯なので、非常によく温まり、寒い日でも湯上り後は外套要らずです。都市部と違い、コアタイムを外せば公衆浴場でもお湯を独り占めできるのが嬉しいところ。壱岐の温泉は良いですね。ちなみに、浴場に掲示されていたこの温泉の分析表によれば、温泉の源泉名は「特になし」とのこと。「吾輩は温泉である、まだ名は無い」みたいなもんですかね。そのあたりのユルユルな感じも、島ならではののんびりさが表れていて良いです。
次回以降の記事も壱岐の湯本温泉郷を取り上げます。


源泉名:特になし
ナトリウム-塩化物温泉 71.6℃ pH6.4 自噴(湧出量記載なし) 16.16g/kg 成分総計16.21g/kg
Na+:4846.7mg(74.88mval%), Mg++:269.0mg(7.86mval%), Ca++:705.2mg(12.50mval%),
Cl-:8546.0mg(91.27mval%), Br-:29.4mg, I-:2.3mg, SO4--:692.4mg, HCO3-:497.5mg,
H2SiO3:74.1mg, HBO2;16.9mg, CO2:51.1mg,
(平成23年11月29日)

長崎県壱岐市勝本町本宮南触1323-3
0920-43-9588

9:00~21:00
400円
私の好み:★★★


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久留米市 あおき温泉

2024年05月17日 | 福岡県

(2023年3月訪問)
前回記事の福岡県大川市「大川温泉」から車で数分の至近距離にある久留米市「あおき温泉」。
久留米市の南端、国道385号線沿いに立地しています。私が訪問した時には第一駐車場が全て埋まっており、その奥にある第二駐車場も半分近くが埋まっていました。人気の施設なんですね。


プレハブ構造をちょっと立派にしたような、比較的シンプルな造りの建物。
下足箱や後述するロッカーでは10円玉を使いますので、事前に用意しておきましょう。なお下駄箱の鍵は10円リターン式です。券売機で料金を支払い、券を番台へ渡します。


やはり館内は多くの人がいらっしゃり、皆さんお風呂上がりで火照った体を休めていました。館内ではお食事もいただけるので、ご飯を含めるとゆっくり滞在できますね。
番台から奥に進んで男湯は手前側、女湯は奥です。

この先の浴場に関する画像はございません。お風呂の画像をご覧になりたい方は、お手数ですがネット検索をお願いします。
更衣室はそこそこ広く、ロッカーの数も多いので、多少混雑しても荷物の収納に困ることは無さそうです。なお施錠には10円玉1枚を要します(有料です)。また室内奥にある横に長い化粧台にはドライヤーがたくさん用意されているので、こちらも他生の混雑なら先客を待たずに髪を乾かせそうです。なお冷房はないのですが扇風機がたくさん設けられており、訪問日もあちこちでグルグル回っていました。

男湯の場合、内湯浴室に入って左側に洗い場があり、シャワー付き混合水栓が11ヶ所設置されています。自信は無いのですが、水栓から出てくるお湯はおそらく普通の真湯ではないかと思われます(温泉だったらごめんなさい)。一方、入って右側にはタイル張りの浴槽が並んでおり、4人サイズの水風呂、源泉そのままの熱い湯が注がれている浴槽、そしてそれより若干ぬるい浴槽の3つです。
熱い浴槽は6人ちょっと入れそうな容量はあり、湯加減は43℃程でしょうか。ちょっと熱い程度ですから入れないことはないのですが、しばらく浸かっていると全身がジンジンとしてきますので、あまり長湯はできないでしょう。熱いお湯でシャキッとしたい方におすすめ。一方、ちょっとぬるめのお湯は熱い浴槽の下流に当たり、浴槽自体はその1.5倍ほどの大きさがあって、一般的な41~42℃の適温となっていました。

洗い場の奥には露天風呂。こちらの浴槽も内湯同様に四角いタイル張りで、おおよそ8人サイズ(詰めれば10人入れそうなサイズ)といったところ。周囲を塀に囲まれているため景色は眺められず、また頭上には屋根もかかっていますが、風はちゃんと入ってきますし、お庭のような設えになっていますので、狭苦しい感じはせず、快適に湯あみできました。浴槽のまわりにはデッキチェアーが3つほど用意されていますので、お湯に火照った場合はここで横になってクールダウンするのも良いでしょう。

全ての浴槽で完全かけ流し(加温加水消毒循環なし)を実現しているのが大変素晴らしい点です。お湯はちょっと黄色掛かっているように見えますが、はっきり透明で、お湯に浸かるとツルツルスベスベとした滑らかな浴感を楽しめます。ただ、分析表によれば炭酸イオンが20mgも含まれているのに、その数値から期待できるような強いツルスベ感ではなく、一般的な重曹泉と同程度のツルスベだったところが意外でした。お湯からは薄い塩味とミシン油(潤滑油)のような風味が感じられる他、清涼感を伴うほろ苦みも得られました。なおフッ素イオンが一般的な温泉より多く含まれているため、念のためにあまり飲泉しない方が良いかもしれません。

とにかく湯量豊富で惜しげもなくかけ流していますから、どの浴槽もお湯が良く、多くのお客さんで賑わうのも当然だと納得して、私はお風呂から上がったのでした。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 66.3℃ 溶存物質1.59g/kg 
Na+:480mg,
F-:25mg, Cl-:520mg, HS-:0.9mg, S2O3--:1.2mg, HCO3-:360mg, CO3-:20mg,
H2SiO3:64mg, HBO2:100mg,
(平成24年12月4日)
加温加水循環消毒なし

福岡県久留米市城島町上青木366-1
0942-62-1426

10:00~22:00 水曜定休
600円
ロッカー(10円有料)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5


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福岡県 大川温泉 家族風呂

2024年05月11日 | 福岡県

(2023年3月訪問)
今回記事から九州の温泉を連続して取り上げます。まずは箪笥の街として有名な福岡県大川市にある「大川温泉」です。ひたすら真っ平らで水路が縦横無尽に張り巡らされている筑後平野に位置しています。


木造倉庫みたいな外観の建物が幾棟か並んでおり、その前にある駐車場に車を停めます。南国ムードを演出したいのか、敷地内にはヤシの木がたくさん植えられています。


建物の内部は手作り感があふれており、ややB級感が強いように思われます。


店員さんはみなアロハシャツを着ていらっしゃいます。やはりこの施設では南国ムードがテーマになっているのでしょうね。
受付に設置されている券売機で料金を支払うのですが・・・


受付のスタッフさんに家族風呂の空き状況を伺ったところ、6室ある家族風呂のうち半分が空いていたので、ひと部屋を私一人で使わせてもらいました。入浴券(700円)と家族風呂利用券(1000円)を買ってスタッフさんに差し出すと、お部屋の木の札と利用に関する注意書き、そしてエアコンのリモコンが入っている籠が引き換えに手渡されました。


今回私が利用するお部屋の番号は4番「屋久杉風呂」。


鍵を開けて中に入ってみますと、更衣スペースにはエアコン、トイレ、ドライヤーが用意されており、お部屋自体もそこそこ広いので、2~3人程度なら快適に利用できるでしょう。


風呂の戸を開けると、室内に充満する温泉の芳しい匂いがプンと香ってきました。施設側ではこちらの温泉をモール泉と称しているようですが、私個人の感覚ですと、少なくとも嗅覚面ではモール臭というよりどちらかと言えばアブラ臭に近いように思われます。


浴室内にはシャワーがひとつあり、水栓を開けると源泉のお湯が出てきました。


浴槽は1人で入るとゆったり、2人でちょっときついか、といった程度の大きさ。麦茶色とは異なる淡い茶色を帯びた、薄いコーヒーのような色をした透明のお湯が張られています。


投入口のお湯を口に含んでみますと、アブラ臭を伴う重曹泉にありがちな風味や清涼感を伴うほろ苦さが感じられ、湯中ではツルツルスベスベの滑らかな浴感が得られました。たしかにモール泉と言われればモール泉なのでしょうけど、同じく九州のモール泉で有名な人吉盆地や加久藤盆地のお湯とはちょっと異なります。


興味深いのは加水するための冷泉です。お湯が熱い場合はこれで加水するのですが、水道水ではなく冷鉱泉を加えるのが良いところ。この冷鉱泉、水栓を開けて間もなくは金気が強くて驚きました。しばらく出しているうちにその金気は徐々に減っていったので、もしかしたら配管の錆かもしれませんが、それでも金気は少し残っていましたので、鉱泉にも金気が含まれているのかもしれません。またこの冷鉱泉は、とても泡立っている上に、淡いタマゴ風味を有する点も面白く、近いエリアの他の温泉で例えるならば、筑後川温泉のお湯に金気を混ぜたような不思議な感じがしました。
冷たいといっても25℃くらいですから、夏に水風呂にしたら最高に気持ち良さそうです。

今回は大浴場を利用していませんので、内湯や露天風呂の様子はお伝えできませんが、良いお湯であることに違いはありません。家族風呂を利用した今回は完全かけ流し状態の芳しい温泉を独り占めできましたが、次回利用する機会があれば、大きなお風呂に入って、改めてこの個性的な温泉を堪能してみたいと思います。


ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 45.8℃ pH7.7 374L/min(動力揚湯) 溶存物質1.47g/kg 成分総計1.51g/kg
Na+:350mg(88.59mval%),
Cl-:150mg(24.72mval%), HCO3-:780mg(74.69mval%),
H2SiO3:120mg, CO2:32mg,

福岡県大川市中八院241-1
0944-88-0026
ホームページ

10:00~22:00(受付終了21:30(家族風呂は21:00)) 
第2・第4火曜定休(ただし祝日及び26日は営業)
700円(家族風呂は別途1000円)

私の好み:★★★
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シェアサイクルで巡る大阪市営の渡船 後編

2024年05月06日 | 京都府・大阪府・滋賀県
前回記事の続編です。
今回の記事に温泉は登場しません。あしからず。


今回の記事でも引き続き、シェアサイクルで大阪市営の渡船を巡った旅の記録を書き綴ります。
前回記事では甚兵衛渡船と千歳渡船に乗りました。その続きです。

●千本松渡船

千歳渡船の「鶴町乗り場」を8:47に出発。
次に目指すは「千本松渡船」の「南恩加島乗り場」。グーグルマップによれば自転車で約12分。8:47の12分後は8:59。
頑張って自転車を飛ばせば9:00発の便に乗れるかもしれない、と期待を抱きながら、港湾部の真っ平らな道をひたすら飛ばして・・・


グーグルマップの計算より1分早い8:58に「南恩加島乗り場」へ到着。


画像では見難いのですが、岸壁へ下るスロープには乗船待ちのお客さんが並んでいました。私もこの列に加わります。


ちなみにこの青い建物が「南恩加島乗り場」の待合所。
なお時刻表によれば、平日の日中や土日は15分毎の運航です。


ゲートが開くと、お客さんが自転車を押しながら次々に乗船していきます。


頭上には通称「めがね橋」こと「千本松大橋」が高い位置に架かっており、その下を船がゆっくりと進みます。


船は木津川の下流を横切って西成区へ。


2分のショートトリップを経て、9:02に対岸の「南津守乗り場」へ到着。


「南津守乗り場」でお客さんを乗せた渡船は、とんぼ返りで「南恩加島乗り場」へ戻っていきました。
さてこれにて自転車で巡る渡船の旅は一旦終了。あとは自転車を電車の駅付近にあるポートへ返却するだけです。


この時は次の目的地が南海電車の沿線だったため、天下茶屋駅を目指すことにしました。
「南津守乗り場」から天下茶屋駅まで自転車で15分程度。


さすがにこの界隈になると俄然交通量が増えますので、安全運転に留意しながら、急がず無理せず漕ぎ進め、9:17に駅付近のポートへ自転車を返却。
無事に南海電車の天下茶屋駅に到着しました。


●天保山渡船

さて、自転車で渡船を巡った翌日の朝、今度はJR桜島線の終点である桜島駅にて下車しました。一つ手前の駅はUSJ最寄りのユニバーサルシティ駅ですが、この桜島駅はUSJに勤めるスタッフさんが通勤で使う駅らしく、ユニバーサルシティ駅ではいかにもといった感じの観光客が下車し、終点桜島駅ではいささか憂鬱な面持ちを浮かべるスタッフと思しき人の群れが働き蟻のような行列をなして、駅から従業員入口へ続々と吸い込まれていきました。同じ電車に乗り同じ目的地を目指す乗客の中に、ハッキリとした陰陽が生まれていたのでした。


私は駅から西へ向かって歩きます。
USJからわずか100~200メートルしか離れていないとは思えないほど地味な街並み。いささか草臥れた住宅街の奥には広大な倉庫が広がっています。


駅から5分程度で天保山渡船の乗り場に到着です。


真上に阪神高速湾岸線を仰ぐ立地。車は阪神高速で安治川の対岸へ渡れますが、徒歩や自転車は国道43号まで橋が無いため、この位置にある渡船は非常に貴重な存在であり、天保山とUSJを結ぶ唯一の公共交通機関でもあります。


USJも対岸の天保山も華やかなイメージがありますが、そんなイメージとは対照的に地味な造りの待合所。それでも他の渡船場に比べればしっかりした造りのように見えます。


さて、乗船です。他の渡船と同じく自転車利用の地元民が多くみられるほか、明らかに観光客と思しき方々が利用する点も、この渡船の特徴でしょう。


対岸には天保山の大観覧車。


自転車を乗せる前提で作られているためか、船の内部はとってもフラットで、天井に握り棒が設置されています。また一部にガラス窓がはめられている以外は吹きさらしです。


2~3分の短い船旅を終えて天保山側に到着。


渡船を下りたところには、「明治天皇観艦之所」と表記されたオベリスクが建っています。慶応4年1月に鳥羽伏見の戦いで旧幕府軍が負けちゃうと、その時大坂城にいた徳川慶喜は天保山から船に乗って江戸へ逃げますが、その2か月後の3月にはこの地でまだ十代半ばの明治天皇が各藩の軍艦を観艦したんだそうです。どうやらこの時の観艦は日本最初の観艦式なんだとか。オベリスク自体は昭和の初期に建てられたようで、この碑の大きさから天皇への忠誠を求められた当時の時代背景が見て取れます。


そのオベリスクの下には、「日中友好 彰往察来」と刻まれた低い石碑が。
こちらは戦時中に中国から連れてこられて過酷な労働を強いられた果てに犠牲となった中国人を追悼するもの。
天保山には観覧車や海遊館など華やかなイメージを偉大居ていたのですが、同時に戦前戦中の歴史も背負っている場所なんですね。


天保山と言えば日本一低い山として有名であり、その標高は4.53メートル。
とはいえ現在では仙台の日和山が日本一低い山らしく、天保山は2位なんだとか。


さて、天保山公園から歩いて5分くらいで地下鉄中央線の大阪港駅に到着。


地下鉄中央線の電車に乗って、次の目的地へと向かったのでした。

連続して取り上げてきた関西シリーズはここで一旦お休み。
次回からは別のエリアを取り上げ、後日改めて関西シリーズを再開します。
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シェアサイクルで巡る大阪市営の渡船 前編

2024年05月04日 | 京都府・大阪府・滋賀県
今回の記事に温泉は登場しません。あしからず。

東京の街並みからほとんど消えてしまった一方で、大阪にまだ残っている乗り物といえば、公共交通機関としての渡船ではないでしょうか。
かつては東京にも隅田川の「佃の渡し」など複数の渡船がありましたが、現在では江戸川の「矢切の渡し」のみ。これに対して大阪市では数こそ減らしているものの、まだ8ヶ所で市営の渡船事業が続けられており、誰でも無料で利用することができます。澪標(みおつくし)を市章にしている「水の都」大阪には、船が浮かぶ水辺の光景が良く似合います。

船が大好きな私は以前から大阪市営の渡船を利用してみたかったのですが、どの渡船場も鉄道の駅から離れており、また路線バスですと行動時間が制約されてしまうため、長い間二の足を踏んでいました。しかしながら近年はシェアサイクルが普及しており、とりわけ平坦な地形が広がる大阪は自転車の有用性が高いため、2023年2月にそのシェアサイクルを利用した渡船巡りを実践したのでした。


上の地図は、大阪市湾岸部の地図に市営渡船場の場所をプロットしたものです。
8ヶ所あるうち、今回は赤い印でプロットした天保山・甚兵衛・千歳・千本松の4ヶ所を巡りました。なお天保山渡船のみ自転車ではなく徒歩で利用し、他3ヶ所をシェアサイクルで巡りました。今回巡れなかった落合上・落合下・船町・木津川はまた今度機会を見つけて訪ねることにしましょう。
徒歩で利用した天保山はひとまず脇に置いておくとして、甚兵衛・千歳・千本松の3ヶ所は以下のコースで巡りました。

弁天町駅付近でシェアサイクルを借りる
 ↓ (自転車移動)
甚兵衛渡船
 ↓ (自転車移動)
千歳渡船
 ↓ (自転車移動)
千本松渡船
 ↓ (自転車移動)
天下茶屋駅付近でシェアサイクルを返却

この翌日の朝には、JR桜島駅→(徒歩移動)→天保山渡船→(徒歩移動)→地下鉄大阪港駅、というルートで天保山渡船にも乗船していますので、併せて今回書き綴ってみます。

●甚兵衛渡船・千歳渡船

朝7:55頃、JR環状線の弁天橋駅で電車を下車。


駅付近にあるシェアサイクルのポートで自転車をピックアップ。
なお今回利用したサービスは「HUBchari」です。利用に際しては事前にアプリをダウンロードして、必要事項を登録した上で、利用したいポートへ向かっております。


グーグルマップによれば、弁天町駅から甚兵衛渡船の船着き場まで自転車で10分強とのこと。
朝8:10頃に出発しました。


なるほど、たしかに駅から10分強の8:20過ぎに甚兵衛渡船の船着き場へ着きました。尻無川の北岸(右岸)にあるこの乗り場は「甚兵衛渡船福崎乗り場」と言うんだとか。


渡船には自転車ごと乗船できるため、船が着岸する岸壁へはスロープが設けられています。というか、渡船を使うお客さんの多くは、自転車に跨って船着き場までやってくるようでした。


岸壁の手前にはこのような簡易的な待合所があり、時計や時刻表、各種案内が掲示されています。
渡船場により運航時刻が異なり、市の公式サイトには各渡船の時刻表が掲載されていますので、もし渡船巡りをする際には事前に確認しておくことをおすすめします。なおこの甚兵衛渡船は、朝夕の通勤通学時間帯には10分毎に(あるいはもっと頻繁に)運行され、平日データイムや土日祝は15分毎です。

各渡船の時刻表とも片方の乗り場の時刻しか表記されていませんが、船は両岸にある船着き場のどちらか一方に停泊しており、その常時停泊している船着き場の出航時刻が時刻表に記載されているわけです。その出航時刻の1~2分後には対岸に着き、対岸の乗客を乗せたらすぐに出発して、常時停泊する船着き場へ戻ってきますので、もし時刻表に記載されていない船着き場から乗船したければ、時刻表に記載されている時刻に2~3分足した時刻が出航時刻だと考えて良いかと思います。


私が乗ろうとした船は、対岸の「泉尾乗り場」を8:30ちょうどに出航。わずか1分半でこちら側に到着しました。船にはたくさんのお客さんが乗っており、みなさんが下船し終わったところで、我々が乗船します。


これが対岸の「泉尾乗り場」。目と鼻の先と言っても過言ではない程度の短い距離です。


8:32に「福崎乗り場」を出航。渡船に乗って短い船旅を楽しみましょう。
こちらは下流側の景色。


こちらは上流側。
船旅を楽しむ間もなく、約1分後の8:34、あっという間に「泉尾乗り場」です。


次に目指すは「千歳渡船」の「北恩加島乗り場」。
グーグルマップによれば「泉尾乗り場」から「北恩加島乗り場」まで自転車で5分とのこと。土日日中の千歳渡船は20分毎なので、1便逃すと何も無いところで20分待たねばなりません。できれば5分後の8:40発に乗船したい。果たして間に合うのか・・・。


猛スピードで自転車を漕ぎまくったら、ギリギリ間に合った!
スタッフの方が笑顔で私の乗船を待って下さいました。ありがとうございます。


「北恩加島乗り場」8:40発の便に乗って対岸の「鶴町乗り場」へ向かいます。頭上には「千歳橋」がかかり、その下を大きな運河が水を湛えています。


どの渡船も基本的な船の構造は似通っており、自転車と一緒に乗船することを前提としているためか、船内の腰掛けは最小限に抑えられ、駐輪できるよう広くスペースがとられています。また屋根こそあるものの窓などは無い吹きっ晒しです。それゆえ乗船中は潮風を感じられて気持ち良いですよ。


先程の「甚兵衛渡船」はわずか1分で対岸へ着いてしまいましたが、さすがにこの運河の対岸までは距離があり、「鶴町乗り場」まで約3分ほど要しました。お蔭で船旅風情をしっかり味わえましたよ。


「鶴町乗り場」に上陸。


上画像の左側に写っているのが、いま乗ってきた「千歳渡船」の船。


客を降ろした船はすぐに戻っていきました。
水面に浮かぶ船の後ろ姿を見送っていたら時間をロスしてしまい、気づけば予定より若干オーバーの8:47になっちゃった。


次に目指すは「千本松渡船」の「南恩加島乗り場」。グーグルマップによれば自転車で約12分。8:47の12分後は8:59。
頑張って自転車を飛ばせば9:00発の便に乗れるかな。

後半へ続く。



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