side by side:湘南夫婦のあしあと

二人が好きな地元湘南、スポーツ観戦、旅行、食べ歩き,音楽・美術鑑賞など、日々のあれこれを綴ります

臨床真理 柚月裕子 (2347)

2023年11月26日 | 書籍・雑誌

*****ご注意!一部ネタバレの可能性があります!*****


このミステリーがすごい大賞受賞作(2008年)
お名前は知っていたが、今まで手に取る機会がなかった。
美容院の担当者がファンで熱く作品について語ってくれたので、デビュー作を手に取った。

新米臨床心理士の美帆が福祉施設で生活する司の担当になった。
司は声に人の感情を感じ取る特殊能力を有すると告白し、同じ施設の少女・彩の自殺が他殺だと主張する。
精神障害を抱えた弟の話を聞かず自死を止めることができなかった過去を持つ美帆は司を救おうと決意。
高校の同級生で警察官の栗原に協力を仰ぎ周辺情報を集めていく
調査が進むにすれ判明していく福祉施設を取り巻く事実と少女彩の死の真相。

関係者が口をつぐめば表に出ない真実
精神疾患があるからと人柱にしたりと対応が杜撰になっていく過程に心が痛む

健常者からすると「福祉施設」とひとまとめで考えてしまうが、病状の程度・疾患の理由(原因)は様々だし、就業への社会性も千差万別
それをある程度の枠組みで対応せざるを得ない現状の難しさも感じた作品

単行本化にあたり加筆修正したとはいえ完成度の高い作品だった
このミス受賞作のレベルの高さを改めて感じた



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