危機感の無さに驚愕するとはこういうことだ:BBC報道に対するスマイルアップの抗議を見て

2024-04-27 11:38:01 | 感想など

 

 

「BBCのインタビュー報道に対するスマイルアップ社長の抗議とそれを載せる週刊新潮」ね。というか、メディアの使い方を含めて旧ジャニーズと大して変わらない上に、それで見事に抗議内容のブーメランとなっているところがすごいな(・∀・)

 

松本人志のアレと同じで、初手の自分のミスを挽回しようすることでさらに露出を増やし、かえって傷口を広げるパターンのように見えるが、まあ誹謗中傷という名の「それぞれの正義」を行使する「ファン」が犬笛で動けば、そんなリスクや損失もチャラだって思っているのかね。

 

ちなみに動画主の長谷川良品も注意を喚起しているように、BBC報道が編集も何もない「真水」のように捉えるのはもちろん間違っている。今回のことに限らず、例えば

 

 

 

 

というバキ童チャンネルでも紹介されているが、要するにわかりやすい童貞像という結論から逆算して編集が行われていたりするのだから。以前も書いたように、マスメディアとは基本的にそんなものなのだが、マスメディア批判=「マスゴミ」観が広がる背景として、そういう実態ではなく、マスメディアの「あるべき姿」への期待が土台にあることを思い出すのも有意義だろう(メディアとは所詮そんなものだという理解のもと、批判的視点で見ることが必要という話。また、このような実態を元に、マスメディアは全て同じだとクソも味噌も一緒くたにするのは、最も馬鹿げた行為の一つだということも付言しておきたい)。

 

しかし今回指摘されているのは、以下のような問題点だ。すなわち、その認識の下でスマイルアップ社長の言うように元々の発言が切り取り・編集されなかったらどうなっていたかを見てみても、誹謗中傷で自殺者まで出た状況を踏まえ、誹謗中傷をここで止めるように言ってくれないか?というインタビュアーの発言に対し、「何をもって誹謗中傷とするかは難しい」「それぞれに正義はあるのだし」「でも誹謗中傷はなくしていきたいと思う」としか述べていないわけで、アリバイ作りをしながら消極的に行為を否定しながら、一方で具体的な行動や呼びかけではなく、「~と思う」としか発言していないのである。

 

そもそも誹謗中傷自体が犯罪行為であることは自明なのに、そこで余白を残した発言をするのが意味不明だろう。仮に熱心な「ファン」たちに配慮するとしても、例えば以下のような発言はできるはずだ。すなわち、「大きな愛情をもってジャニーズを応援してくださった方々や、今も応援してくださる方には感謝の気持ちでいっぱいです」「しかしその愛情から、被害申請をする人たちをジャニーズへの攻撃者のようにみなして非難するのは、さらに大きな悲劇を生んでしまう行為なので止めていただきたい」「私たちとして、失った信頼を回復するべく一歩ずつでも進んでいきたいと思っているので、応援してくださってる方々は、不安な気持ちはあるかもしれないが、それを他者への攻撃に向けずに、今は静かに見守ってほしい」、と。

 

本心がどう思っているかはともかく、プレスリリース向けの発言として、教科書的にはこのような発言がジャニー喜多川の被害者たちにも、旧ジャニーズファンにも配慮しつつ、自分たちは両方を受け止めて社会的責任を果たしていくものとして、普段から準備しておいて然るべきなくらいだ。それだけに、BBCのインタビューに対するスマイルアップ社長の発言は、底が見えたと思われても致し方ない、という話になるのである。

 

もし仮に、ある場面でぱっと出てきた発言を使った(切り取った)というのなら、不用意だとは思うけれども、まあ百歩譲って言質を取られたくないからこういう実際の行動を保証しない、つまり責任を伴わない個人的願望を述べるだけに留まるというのは、一企業人の防衛本能として理解できなくもない。しかしながら今回の文脈は、被害者の自殺という状況を踏まえ、インタビュアーがそれに基づいて誹謗中傷防止の依頼をしたにもかかわらず、そこにのらりくらりとした発言しか返さなかったというのでは、繰り返しになるが、腹の底が透けて見えたと批判されるのは必定だろう(インタビューを受ける時に、こういう話も十分ありえるとは想定しなかったのかな?なお、以前も書いたことではあるが、インタビューの発言に関しては、「自分が会うことが癒しになれば」と被害者に寄り添うような発言をしつつ、同時に被害者の認定は面接・詰問とも聞こえるような調査方式の話をするなど、明らかに認知が歪んでいることを思わせる言動は他の箇所でも見られるため、たまたまこの場面だけおかしなことを言ってしまい、それがクローズアップされている!といった批判は通らない)。

 

という訳で、今回の抗議行動で改めて見えたのは、スマイルアップのスタンスとそのメディア利用の方法、そしてそれと共犯関係になってきた(かつ今もそうである)メディア業界であり、また同時にマスメディアを真水のように発想した受け取り方は慎むべきだ、ということだろう(これも何度も指摘しているが、週刊誌はフライデー襲撃事件が好例のようにそもそもイエロージャーナリズムとも言われていたのであり、そこに過剰な期待が寄せられる・寄せられざるをえない現在が異常なのである)。

 

ちなみに私がこの抗議の報道を見ていささか驚いたのは、その中身も去ることながら、6月に国連人権委員会の報告が控えているのに、今これをやってしまうんだなあという点だ(ちなみにかつて行われた報告でも、ジャニーズに限らず、日本のマスメディアの機能不全は指摘されていた)。

 

もちろんBBCがどういう反応をしてくるかにもよるが、少なくとも今回の動きで見えたのは、旧ジャニーズ的なるものが根強く残っているということと、それに未だ利用され(利用し)続ける日本のマスメディアという図式であり、そこがフォーカスされるようなやり取りが5月に行われれば、6月の報告で致命傷を負う要因の一つとなるかもしれないと予測する次第である。

 

以上。

 

 

【余談】

ちなみに「ファン」とその扱いという話題に触れたので、以下のような動画も取り上げておく。

 

 


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