てんちゃんのビックリ箱

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現代美術家 藤原更 作品展 訪問

2024-06-08 21:19:43 | 美術館・博物館 等
展覧会名:「記憶の花  藤原更」
場所:ヤマザキマザック美術館
期間:2024.4.20~6.30
訪問日:2024.06.01

 リハビリの一環として、美術館にゆけばゆっくりと距離を歩くことができると考え、ルネ・ラリックのガラス器や家具の展示の素晴しいヤマザキマザック美術館に行くことにした。
 行ってみると、愛知県出身の商業写真家で、最近は現代美術へと活動範囲を拡げている藤原更さんの展示会が開かれていた。

1.藤原更さんの作品の概要
 藤原さんは自分自身が撮影した風景写真を暫く置いてみると、自分の記憶と印象が全然違うことを感じた。それで記録写真をもとに、自分の記憶に近付けるように表現したいと考えるようになったとのこと。すなわち記憶の可視化。それで現代美術へと進出。
 作品を見ると、手法はよくあるデジタルデータの加工ではなく、印画紙へのプリント技術。何色かにわかれた色の原版を版画していくのだが、その際の滲みとか付いた塗料の過不足などの不安定要素をコントロールして、大きな紙に印刷している。
 形は一部強調もできるが全体にぼんやりさせていて、少ない色をボリュームでどかんとぶつけてくる。

2.内容
 今回は、蓮、バラ、ケシの3部作に、最近のテクニックを盛り込んだ作品が並んでいた。最後のシリーズのものは撮影禁止。このあたりはさすが商業写真家。美術と芸術の境目がないのだろう。最初にケシからはじまって、蓮、バラと続き、またケシに回帰したかんじ。
(1)ケシ
 フランスのケシ畑の思い出が、この作品群へのきっかけとなった。
下記は、チラシやポスターに使用されているケシ畑。緑の中のオレンジのイメージを純化させていった時のこんな風景を、私も頭の中に描いたことがある。



(2)蓮
 2011年の東日本大震災の魂の救済を考え、枯れた蓮の茎をモチーフにした作品群。
 蓮は仏教で重要な役割であるが、カトリックでも意味のある花とのこと。
 今は津浪の後で、蓮の花は枯れたようにみえているが、やがてまた蓮の花が咲き乱れると考えているのか・・・・

 



(3)バラ
 至近距離でバラの花を撮影。画面が2重構造になっている。プリントされたものに少し隙間をあけて透明なパネルに薄くプリントしたものがおかれている。見る角地、また光の入れ方で、見え方が変わるはず。
 正面から見るとくっきりしているようで何か不安。それは絵の境界が二重に見えることからくると思う。

  


 黄色のバラの絵を角度を変えて見ると、だいぶ見え方が違う。

  


(4)そしてまたケシ
 テクニックを拡げたもの、またショウアップが進められている。
 色の塊の中に、模様が出来ている。また作品を見る空間に、布を垂らすようになった。

 


3.感想
 私もよく花の写真を撮って掲示しているが、何らかの表現技術を加えたいと思う。この人のような、プリント技術に拘った表現法はとても羨ましい。



4.その他
 その後 いつものとおりガレ等のガラス作品やクラシックな家具の展示、フランスロココや西洋画展示を見て回った。ガラス作品や家具で少し展示品の入れ替えがあり、来てよかった。 
 そして一番面白いと思ったのは、多分フランス人(フランス語をしゃべっていた)の3人家族が、ロココの部屋ではしゃいで写真を撮っていたこと。

コメント
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