タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ ア ト リ 異 変 ≫

 わが家の庭は樹木が茂ったせいか、種類は少ないが、四季折々に野鳥が訪れる。スズメ、メジロ、カワラヒワ、キレンジャク、シメ、キジバト、ウソ、ツグミ、ヒヨドリ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、アトリ、種類不明が少々。時にはこれらを襲ってハヤブサが窓硝子に激突することもある。いくら飛翔速度に長けるハヤブサでも、活動中の野鳥を捕らえるのは容易でないことから、自然界の生存競争の厳しさが分かる。P1000276
 アトリは、姿を見せ始めて以来ここ数年、2月下旬から4月下旬まで数羽見かける程度だった。この冬は、なにか異変が生じたのか、多いときには十数羽が群れをなして飛来し、まず隣家のサクラの枝に留まる。しばらく周囲の様子を確かめた後、主にスズメを対象にして設けた小さな給餌台に入るのである。スズメとは相性がよいらしく、ツグミやヒヨドリのようにテリトリを作ることはない。しかし、数が数だけに、スズメとアトリがひしめき合うので、やむを得ず、ストレス解消のため、地面にも餌を撒いて分散させた。P1000174 アトリの雄は、胸の赤茶色と背の黒いだんだら模様が濃く、腹部は白色で、コントラストが実に見事なのに対して、雌は全体に色が薄く、背だけ見るとスズメと区別がつかないくらい地味である。ヨーロッパ・シベリアの北極圏に近い森林で繁殖する(『世界原色百科事典』小学館)のだという。渡りの直前になると、雄は頭部が黒くなるので、写真の雄の頭部から判断すると、北方へと旅立つ日が近いのだろう。
 十数羽の群れが大きな円を描いて飛来し、スズメと並んで餌をついばむ姿をベランダから眺めるのは、われらチックタックの大きな楽しみだった。来年も元気で戻ってこいよ、アトリさん。

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