タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 大日本帝国海軍航空隊 ≫

P1020630 平成20年4月5日付『北海道新聞』第29面〈第3社会〉に、「天皇陛下の写真、資料 焼却せよ」「敗戦時 海軍が命令」「『戦犯』回避も目的か」「英に暗号解読文書」という見出しがつけられた、英国の暗号解読文書の内容と、それに関する解説記事が掲載されている。
 日本の陸海軍の暗号文が解読され、連合国側に筒抜けだったことは、紛れもない事実である。今回発見された、大日本帝国海軍による重要文書焼却命令通達の「計三十五の関連文書のうち、天皇関係は四文書」だという。重要文書焼却は戦犯訴追回避が目的だったのだろうが、「御真影」焼却命令には、天皇陛下の責任追及を避ける意図があったとも推測される。P1020627P1020628
  しかし、この投稿は、日本が敗戦受け入れを決定した後の、そのような軍の姑息な思惑とは関係がない。
 この春、老母が亡くなって、遺品を整理していて、父方の亡き叔父(父の末の弟)が、昭和16年に十八歳で、大日本帝国海軍航空隊・地名冠称航空隊・教育訓練隊(土浦海軍航空隊)の豫科練に志願したときの、乙種飛行豫科練習生の第二次検査出頭通達書が母の文机に残されているのを見つけたのである。
 叔父は、二年間の教育を終了し、土浦基地で実地訓練中に終戦を迎え、実戦に参加しなかったため生き延びることができた。戦後、叔父は豫科練のことを話すことも、「若鷲の歌」を歌うこともなかった。天皇陛下の「御真影」を、亡き叔父がどのように思っていたのかは分からない。黙して語らずだった。
 正直なところ、私にとって、暗号解読文書発見よりも、叔父の乙種飛行豫科練習生第二次検査出頭通達書の発見の方がはるかに重要な出来事だった。統帥権を振りかざし、天皇陛下を巻き添えにして好き勝手を行った帝国陸海軍の参謀連中が、重要文書の焼却命令を通達したのは、戦後の自己保身が目的だったに違いない。

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