おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

最後のブルース・リー/ドラゴンへの道

2024-05-18 08:08:03 | 映画
「最後のブルース・リー/ドラゴンへの道」 1972年 香港


監督 ブルース・リー
出演 ブルース・リー ノラ・ミヤオ チャック・ノリス
   ロバート・ウォール ジョン・T・ベン ウォン・インシク

ストーリー
イタリア・ローマの中華レストラン「上海」は、その土地を狙う地元のギャング(地上げ屋)に毎日の様に執拗な嫌がらせを受け、客も恐がって殆ど来なくなり閑古鳥の鳴く状態が続いていた。
亡き父の後を継いだ女店主のチェン(ノラ・ミャオ)は、故郷・香港の弁護士に相談すると、急病で来られなくなった弁護士の代わりに従兄のタン・ロン(ブルース・リー)がやって来る。
弁護士を頼んだはずが、やってきたのはいかにも香港の田舎から出てきたばかりの風貌の青年。
おまけに異国の地の言語・習慣の違いに戸惑いドジをふむタン・ロンに、初めのうちはチェンは呆れ、空手を嗜むジミー(ユニコーン・チャン)やトニー(トニー・リュウ)らレストランの従業員達は馬鹿にする。
しかしある夜ギャングの送り込んだチンピラ集団をタン・ロンは鮮やかな中国拳法でいとも簡単に倒すと一転従業員から尊敬されるようになり、タン・ロンの飾らない性格にチェンは淡い気持ちを抱くようになる。
タン・ロンが加わった事でチェンと従業員達はギャングに立ち向かう決意を固めるが、叔父で調理担当のワン(ウォン・チュンスン)だけは頑なに反対。
そのうちレストランの包囲、タン・ロンの暗殺計画、チェンの誘拐等、ギャングの手口はエスカレートしていくが、タン・ロンの拳法と機転によりことごとく失敗。
引き下がれなくなったギャングのボスは最終手段として、アメリカ人の屈強な空手の達人・ゴードン(チャック・ノリス)を呼び寄せ、タン・ロンは、ゴードンと一対一の決闘をすることになる。


寸評
安っぽい作りだし、話は単純で変化にも乏しくて、これでブルース・リーが出ていなければ世に出ることもなかったのではないかと思う作品だ。
カンフー・ブームにのってブルース・リーが超人的な大活躍をする。
これも大ブームになったヌンチャクを駆使する場面も用意されていて、ブルース・リーが発する鳥声の甲高い掛け声も、今となっては懐かしい。
目を見張るのはブルース・リーの鍛え上げられた人間離れした体である。
上半身は見事なまでの逆三角形で、気合を入れて構えた時には脇あたりにビックリするような筋肉が現れる。
戦う前に準備運動をする場面では、異常とも思えるような肩甲骨が盛り上がる。
見どころの一番は彼の体型であった。
カンフー・アクションは言うまでもない。

格闘場面以外はまるで喜劇のコミカルなシーンの連続で、それが安っぽさを助長している。
ここまでくると、その安っぽさもこの映画の魅力なのかもしれない。
舞台はローマの中華レストランになっているが、イタリアである必要が何処にあったのかわからず、ローマの観光名所が紹介されるシーンがなければ香港としてもおかしくはない。
セットは費用を惜しんだのかと思うぐらい安っぽいものである。
いっそ、舞台を香港とした方がしっくりきたと思う。
何よりもブルース・リーが強すぎてピンチになる場面が全くないので、少しはハラハラさせてくれよと思ったりする。
我慢を重ねた挙句、ついに堪忍袋の緒が切れてといった風でもない。
兎に角、強いのだ。
アメリカからやってきたゴードンとの一対一の対決では互角の勝負かと思われるような格闘場面ではあるが、それでもブルース・リーの圧勝である。
最後にドンデン返し的な事が用意されているが、イマイチ盛り上がりに欠けている。
そもそもギャングの親分はあのレストランを正規の値段で買おうとしていたのだろうか。
タダ同然で手に入れようとしていたはずで、売却後に大金が手に入るなどとは絵空事だったと思うのだが、そのことはどうなっていたのかよくわからなかった。
日本のつまらないヤクザ映画でも、もう少し上手く描いたような気がする。

タン・ロンがチェンに連れられて銀行に金を預けに行くが、あまり意味のないシーンだった。
二人がローマ市内を歩くシーンは何回か出てくるが、ローマ・ロケによる観光名所めぐりだったのだろう。
僕が子供の頃に見た海外ロケ作品でも、旅行会社のコマーシャルかと思えるような名所旧跡が紹介され、それが海外への憧れとなっていた。
香港の人たちのローマへの憧れに対するサービスだったのかもしれない。
クレジットは香港映画らしい。
横書きだと日本では左から右に流れるが、あちらは右から左に流れる表記だ。
それにしても随分と弱いギャングだったなあ。


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