中学生の女の子が物語を書きます。
お客さんが来なさそうな文房具店で買った、飛べない鳥、ドードーの細密画が描かれたノートに。
それは、ドードー森で暮す、小さな動物達の物語。
今回は、十一月にピッタリ!
高楼方子(たかどのほうこ)さんの、素敵な時間の流れる作品、
*(キラキラ)*『十一月の扉』*(キラキラ)*をご紹介したいと思います☆
主人公の女の子の名前は爽子(そうこ)。
中学二年生の彼女は、あるきっかけで、家族と離れ、二ヶ月間だけ、「十一月荘」で暮すことになります。
「じゅういちがつそう」
それは、赤茶色の屋根をした、白い壁の四角い二階家。
中学生の女の子が他人の中で暮す…
それはとっても大変なことなのだけれど、素敵なことでもある♪
こんな家に住んでみたいな~
と思うような建物に出会うことってありませんか?
あなたは立派な高層マンションで夜景を楽しむ派?
それとも小さな庭付き一戸建てで、自然を楽しむ派?
爽子は人形のお家みたいな白い壁の十一月荘を、ひと目で気に入ってしまいます☆
そしてはじまる新生活♪
十一月荘ではそれぞれの部屋を個人が借りていて、食堂やお風呂は共同です。
食事も作ってもらえます。
まるで家族のような下宿生活。
女性ばかりが暮すその場所で、爽子は本を読んだり、みんなとパンケーキを食べたり、ビデオ鑑賞に付き合ったり。
時には手抜きの昼食や、今川焼きが食卓に並んだりもして♪
母親とは違う、年代の様々な女性たちとの共同生活。
そんな暮らしの中で、母親を一人の女性として初めて見ることができるようになる爽子。
未来に対して、成長することに対して、不安に悩みながら、彼女は周りの人々や、十一月荘の女性たちをモデルに物語を書き始めます。
それが、「ドードー森の物語」です♪
爽子が十一月荘にやって来たことを早々と聞きつけ、根ほり葉ほり質問攻めにする隣に住む鹿島夫人。
そんな彼女をモデルにして、爽子がドードー森の住人のカラスに付けた名前は”ミセス・クリオーザ”。
”クリオーザ”っていうのはつまり”野次馬”ってこと☆
十一月荘に英語を習いに来ている爽子より一つ年上の少年はライオンにされます♪
その名は”風来オン・ライスケ”。
爽子は十一月荘での生活に男の子が登場したことにちょっととまどいますが、この少年がまた不思議な少年なんです☆
十一月荘の2階の部屋を借りている爽子。
”ライスケ”が英語を習いにやって来て、勉強を見てもらうのは1階の居間。
部屋にいても、この少年のことが気になってしかたがないくせに、どうしても下に降りていけない♪♪
そんな時に限って、母親から電話がかかってきたりします☆(電話は1階の居間にしかありません♪)
この物語を読んで、十一月が好きになりました♪
十二月になってしまったら、年末やお正月のことも考えなきゃいけないけれど、十一月ならまだ”今”という時を大切に思えるから☆
新しい年を迎える前の二ヶ月前。
それが中学二年生の爽子の年齢に重なって、大人になっていく自分を前にした、中学生の女の子のゆれる感情と不安として、すごく素直に伝わって来ました。
だからといって、決して「子供時代は大人への準備期間」というわけでもないんです。
そんなことを言う大人もいるかも知れませんが、大人だって子供に教えてもらうことはいっぱいある。
物語に憧れ、白い家や紅茶に憧る気持と共に、母親に反発し、自分の中にある、憎悪にも似た感情にゆれる中学生の爽子(そうこ)。
「もう観念して、次の段階に進め」
そう言われているようで、不安といらだちが彼女の胸を苦しめます。
この素敵な物語のような十一月荘での生活も、いつかは終ってしまう。
物語を書くということにどんな意味があるというの?
いっそいきなり大人になってしまえたら…
時にはマイナス思考になってしまう爽子ですが、そんな彼女が周りの女性たちにも影響を与え、母親にも変化をもたらし…
”ライスケ”に英語を教えている閑(のどか)さんはいいます。
「子供だって、大人を変えていくわよ…」
この閑(のどか)さんが大好き☆
十一月荘を作った人で、天気のいい日に庭にハンモックを吊るして読書なんかするのですが、恰幅があまりにいいので(笑)、降りられなくてジタバタしてたりするのです♪
子供だって、大人を変えることはできる。
大人だって、様々な人がいる。
十一月荘の素敵な女性たちが、ポツリポツリと語るこの場所で暮らすようになったいきさつを聞き、爽子は「ドードー森の物語」を増やしていきます。
十一月荘の住人で、母親と二人で暮す”るみちゃん”に、自分の書いたドードー森の物語を語って聞かせる爽子。
そしてそれは、もう一人の読者を得て、やがて”三人だけの秘密”ということに☆
中学生の爽子の物語だけでなく、あわせて「ドードー森の物語」も読めてしまうお得な作品!
自分が中学生だった時のことを思い出して、爽子の気持にすごく共感できました!
これから中学生になるという人たちにはぜひ読んで欲しい♪
そしてもう大人になってしまったという人たちにも、自分が過ごして来た時間が決してなくなってしまったのではないということを思い出してもらうために♪
この物語の中では、とても素敵な時間が流れています♪♪
ドードー森のどこかにあるという、十一月にだけ見つかるという不思議な扉。
その”十一月の扉”を開けると、そこにはいったいどんな世界が広がっているのか?
読書の秋です☆
そして今はちょうど十一月♪
ドードー鳥やネズミやカラス、仲のいい野ウサギとタヌキといった、ドードー森の住人たち、そして爽子(そうこ)と一緒に、その扉を探しに出かけては見ませんか?
きっとあなたなら、その扉を見つけることができるかも知れませんよ☆
高楼 方子 著
新潮文庫
お客さんが来なさそうな文房具店で買った、飛べない鳥、ドードーの細密画が描かれたノートに。
それは、ドードー森で暮す、小さな動物達の物語。
今回は、十一月にピッタリ!
高楼方子(たかどのほうこ)さんの、素敵な時間の流れる作品、
*(キラキラ)*『十一月の扉』*(キラキラ)*をご紹介したいと思います☆
主人公の女の子の名前は爽子(そうこ)。
中学二年生の彼女は、あるきっかけで、家族と離れ、二ヶ月間だけ、「十一月荘」で暮すことになります。
「じゅういちがつそう」
それは、赤茶色の屋根をした、白い壁の四角い二階家。
中学生の女の子が他人の中で暮す…
それはとっても大変なことなのだけれど、素敵なことでもある♪
こんな家に住んでみたいな~
と思うような建物に出会うことってありませんか?
あなたは立派な高層マンションで夜景を楽しむ派?
それとも小さな庭付き一戸建てで、自然を楽しむ派?
爽子は人形のお家みたいな白い壁の十一月荘を、ひと目で気に入ってしまいます☆
そしてはじまる新生活♪
十一月荘ではそれぞれの部屋を個人が借りていて、食堂やお風呂は共同です。
食事も作ってもらえます。
まるで家族のような下宿生活。
女性ばかりが暮すその場所で、爽子は本を読んだり、みんなとパンケーキを食べたり、ビデオ鑑賞に付き合ったり。
時には手抜きの昼食や、今川焼きが食卓に並んだりもして♪
母親とは違う、年代の様々な女性たちとの共同生活。
そんな暮らしの中で、母親を一人の女性として初めて見ることができるようになる爽子。
未来に対して、成長することに対して、不安に悩みながら、彼女は周りの人々や、十一月荘の女性たちをモデルに物語を書き始めます。
それが、「ドードー森の物語」です♪
爽子が十一月荘にやって来たことを早々と聞きつけ、根ほり葉ほり質問攻めにする隣に住む鹿島夫人。
そんな彼女をモデルにして、爽子がドードー森の住人のカラスに付けた名前は”ミセス・クリオーザ”。
”クリオーザ”っていうのはつまり”野次馬”ってこと☆
十一月荘に英語を習いに来ている爽子より一つ年上の少年はライオンにされます♪
その名は”風来オン・ライスケ”。
爽子は十一月荘での生活に男の子が登場したことにちょっととまどいますが、この少年がまた不思議な少年なんです☆
十一月荘の2階の部屋を借りている爽子。
”ライスケ”が英語を習いにやって来て、勉強を見てもらうのは1階の居間。
部屋にいても、この少年のことが気になってしかたがないくせに、どうしても下に降りていけない♪♪
そんな時に限って、母親から電話がかかってきたりします☆(電話は1階の居間にしかありません♪)
この物語を読んで、十一月が好きになりました♪
十二月になってしまったら、年末やお正月のことも考えなきゃいけないけれど、十一月ならまだ”今”という時を大切に思えるから☆
新しい年を迎える前の二ヶ月前。
それが中学二年生の爽子の年齢に重なって、大人になっていく自分を前にした、中学生の女の子のゆれる感情と不安として、すごく素直に伝わって来ました。
だからといって、決して「子供時代は大人への準備期間」というわけでもないんです。
そんなことを言う大人もいるかも知れませんが、大人だって子供に教えてもらうことはいっぱいある。
物語に憧れ、白い家や紅茶に憧る気持と共に、母親に反発し、自分の中にある、憎悪にも似た感情にゆれる中学生の爽子(そうこ)。
「もう観念して、次の段階に進め」
そう言われているようで、不安といらだちが彼女の胸を苦しめます。
この素敵な物語のような十一月荘での生活も、いつかは終ってしまう。
物語を書くということにどんな意味があるというの?
いっそいきなり大人になってしまえたら…
時にはマイナス思考になってしまう爽子ですが、そんな彼女が周りの女性たちにも影響を与え、母親にも変化をもたらし…
”ライスケ”に英語を教えている閑(のどか)さんはいいます。
「子供だって、大人を変えていくわよ…」
この閑(のどか)さんが大好き☆
十一月荘を作った人で、天気のいい日に庭にハンモックを吊るして読書なんかするのですが、恰幅があまりにいいので(笑)、降りられなくてジタバタしてたりするのです♪
子供だって、大人を変えることはできる。
大人だって、様々な人がいる。
十一月荘の素敵な女性たちが、ポツリポツリと語るこの場所で暮らすようになったいきさつを聞き、爽子は「ドードー森の物語」を増やしていきます。
十一月荘の住人で、母親と二人で暮す”るみちゃん”に、自分の書いたドードー森の物語を語って聞かせる爽子。
そしてそれは、もう一人の読者を得て、やがて”三人だけの秘密”ということに☆
中学生の爽子の物語だけでなく、あわせて「ドードー森の物語」も読めてしまうお得な作品!
自分が中学生だった時のことを思い出して、爽子の気持にすごく共感できました!
これから中学生になるという人たちにはぜひ読んで欲しい♪
そしてもう大人になってしまったという人たちにも、自分が過ごして来た時間が決してなくなってしまったのではないということを思い出してもらうために♪
この物語の中では、とても素敵な時間が流れています♪♪
ドードー森のどこかにあるという、十一月にだけ見つかるという不思議な扉。
その”十一月の扉”を開けると、そこにはいったいどんな世界が広がっているのか?
読書の秋です☆
そして今はちょうど十一月♪
ドードー鳥やネズミやカラス、仲のいい野ウサギとタヌキといった、ドードー森の住人たち、そして爽子(そうこ)と一緒に、その扉を探しに出かけては見ませんか?
きっとあなたなら、その扉を見つけることができるかも知れませんよ☆
高楼 方子 著
新潮文庫