ずいぶん暖かくなってきましたね。
冬の間ずっとお世話になっていた湯たんぽも、そろそろお役御免かな?
今月は引越し先を探したり、部屋を片付けたりとバタバタしたスタートです。
そんな時に限ってプリンターが壊れたり、読みたい本が手に入ったりするんですよね~
読んだのは、
久木綾子さんの 『見残しの塔 ―周防国五重塔縁起』 (新宿書房)
上大岡トメさんの 『開運! 神社さんぽ 古事記でめぐるご利益満点の旅』 (泰文堂)
古沢和宏さんの 『痕跡本のすすめ』 (太田出版)
読みかけなのは、
新井素子さんの 『銀婚式物語』 (中央公論新社)
越谷オサムさんの 『陽だまりの彼女』 (新潮文庫)
久木綾子さんは89歳の新人作家さん!
『見残しの塔』は彼女のデビュー作になります。
周防の国とは現在の山口県のこと。もともとは山口県の地方同人誌に発表された作品らしいのですが、山口県にある国宝「瑠璃光寺五重塔」が建立される話を中心に、当時に生きた人々を生き生きと現代によみがえらせています。
時は室町時代。
南北朝の戦いに明け暮れた足利氏と新田氏の戦いの記憶も冷めやらぬ頃、九州の山奥、平家の落人の村で、神官の次男として左右近(さうちか)は生を受けます。
そしてその数年後、遠く離れた若狭の地でも、新田の血を受け継ぐ家に不思議な巡り会わせで生を受けようとする幼子がいました。その少女の名は初子。
二人はやがて周防の地ですれ違うことになるのですが、この”すれ違う”というのがこの物語の良さ♪
丹念な取材から書き起こされた文章には脱帽します。当時の治安、他国との距離、職人や女性の置かれた立場なども、まるで当時を思い浮かべることができるよう。
でも、この物語で、最後まで印象に残るのは、美しく建つ五重塔なんですよね!
人間は生まれては生き、そして去ってゆく。
戦で死ぬ者、病に倒れる者、心を残す者、ある者は技を受け継ぎ、ある者はその血を、その想いを受け継いでいく。
人間が幻のようにその一生を駆け抜け、残像のように来ては去っていく中で、五重塔だけがそこに立ち続け、美しさもそのままに時代を越えて現代の私たちの目に映っている、そんなイメージが浮かびました。
登場人物に対して作者はある一定の距離感を持っています。それでいてそれぞれの人物に共感したり感情移入できる、不思議な小説。
きっと久木綾子さんの歩んできた人生がこういう素敵な小説を生んだんでしょうね。
なんて勝手に私は思ってしまいました☆
さっそく「見残しの塔」=「瑠璃光寺五重塔」の画像を検索。写真を見ましたが、本当に美しい塔でした!
私はまだ山口県って行ったことがないので、一度は見てみたい!!
神社仏閣めぐり好きなんですよね♪
また目的地がひとつ増えました☆