栗やキノコが美味しい季節になりました♪
栗ごはんは大好きです!
自分のしたイタズラの罪滅ぼしに、せっせと栗やマツタケを届けたのは、愛知県出身の童話作家、新美南吉の書いた『ごんぎつね』に出てくる、いたずら好きな小ギツネ、”ごん”。
でも、そんなこととは知らない百姓の兵十(ひょうじゅう)に、物語の最後、火縄銃で撃たれてしまいます。
物語の終り方って、読む人に強い印象を与えますね。
同じ作家の作品で、小ギツネが手袋を買いに行くお話もあって、私はその話が大好きでした♪
読んだのは子供の頃なのに、今でもよく憶えています☆
さて、今回は、日本のキツネとはちょっと違った西洋のキツネが主人公のお話。
ドイツの文豪ゲーテが書いた、
*(キラキラ)*『きつねのライネケ』*(キラキラ)*をご紹介しましょう☆
このお話は、古くからヨーロッパで語り継がれてきた昔話がもとになっています。
ゲーテといえば、『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』などの作品が有名で、作家、詩人、劇作家、自然科学者、政治家と、様々な顔を持つ十八世紀から十九世紀にかけて活躍した人物です。
この『きつねのライネケ』を書いた1793年は、フランスのコンコルド広場において、マリー・アントワネットがギロチンにより処刑された年でもありました。
ヨーロッパをゆさぶる革命の嵐。
はたして、ゲーテはどんな思いでそれを眺めていたのでしょう…
きつねのライネケは、ライオンの王様が治める王国で、誰一人知らぬ者はいないというほど悪名高いきつねです。
みんながライネケにひどい目に遭わされています。
しかし、口がうまいのと、その悪知恵のたくみさ、有力な親戚がいるということで、自分のお城に住み、奥さんと子どもたちに囲まれて、何不自由なく暮らしています。
ライネケにひどい目に遭わされた動物たちは、口々に王様に訴えます。
オオカミがだまされたと訴え、子犬は食べ物を奪われたと嘆き、ウサギはもう少しで食べられそうになるところだったと傷口を見せます。
そして最後に、ニワトリの一族がやってきて、かわいそうに首から上を無くした娘の遺体をかかえて王様に訴えます。
激怒するライオンの王様。
きつねがニワトリを食べることは、多分当時としては子どもでも知っている事実だったことでしょう。
うちの実家でもニワトリを飼っていますが、何度きつねにとられてしまったことか。
オオカミは羊を食べます。
猫はネズミを。
ウサギは草を。
さて、王様は?
それにしても、このきつねのライネケは、自分勝手でひどいきつねです!
人をだますことを何とも思っていない!
ついに王様の前に引き出されるライネケ。
裁判の結果、絞首刑と決まります。
ところが、まさに刑が執行されようとした時、ライネケの口から出た言葉に、ライオンの王様は身を乗り出します。
運びきれないほどの宝もの…
金銀財宝と聞き、あっさりライネケを許してしまう王様にはあきれます!
もちろんそんなのデタラメ。
口から出た真っ赤なウソなのです。
欲に目のくらんだ王様は、ライネケの口車に乗せられて、忠臣を無実の罪で殺してしまったり、ライネケの悪事を訴えたオオカミやクマを牢屋につないだり。
その間にも、ウサギや鳥たちが、ライネケの罠にはまって食糧にされてしまいます。
時には神妙になり、反省していると口にしたり。
王様をほめたたえ、その偉大なお心で今回ばかりは許して欲しいと嘆願したり。
よくもまあ、こんなに次から次へとウソ八百がつけるもんだ!!
しかし、ライネケにひどい目に遭わされた動物たちの中には、ライネケほどではないにしても、欲にかられて罠にはまった者も多くいます。
ライオンのお妃さまだって、口では公明正大なことを言っていますが、内心では宝石が欲しくてたまらないのです。
また、ライネケの親戚たちも、オオカミや他の動物たちより、権力を握りたいがために、いろいろとライネケの手助けをします。
何もここまで人間を見習わなくてもいいのに…
今回読んだ岩波少年文庫版の『きつねのライネケ』は、児童向けということもあり、きわどい表現はおさえてあるとのことですが、それでもかなり残酷な表現があります。
まぁ、昔話って、けっこう残酷なところがありますからね。
そして何と言ってもラスト!!
ここまで悪さをしてきたライネケが、いったいどうなってしまうのか?
多分、「エ!?」って思うような終わり方です。
ライネケは甥でたぬきのグリムバードに言います。
「そりゃもちろん、おれは悪さもする。うまくだまして餌を手に入れることもある。なんてったって女房や子どもを養わねばならんからだ。
…中略…
だがねえ、みんなそうしてやしないかい? そうやって生きのびてやしないかい?」
動物たちが登場していますが、これはやっぱり、人間の社会に向けられた言葉なんでしょうね。
現実を、メルヘンの世界を使って表現する。
そこに、人の心に訴える力があります。
短いお話ですが、とっても印象深い作品でした。
正直者が何になる?
どうせ生き残れやしない。
世の中ってのはそういうものなんだ。
果たして、ライネケの言う通りなんでしょうか?
あなたなら、子どもたちに聞かれたら、何て答えます?
ゲーテ 著
上田 真而子 編訳
岩波少年文庫
栗ごはんは大好きです!
自分のしたイタズラの罪滅ぼしに、せっせと栗やマツタケを届けたのは、愛知県出身の童話作家、新美南吉の書いた『ごんぎつね』に出てくる、いたずら好きな小ギツネ、”ごん”。
でも、そんなこととは知らない百姓の兵十(ひょうじゅう)に、物語の最後、火縄銃で撃たれてしまいます。
物語の終り方って、読む人に強い印象を与えますね。
同じ作家の作品で、小ギツネが手袋を買いに行くお話もあって、私はその話が大好きでした♪
読んだのは子供の頃なのに、今でもよく憶えています☆
さて、今回は、日本のキツネとはちょっと違った西洋のキツネが主人公のお話。
ドイツの文豪ゲーテが書いた、
*(キラキラ)*『きつねのライネケ』*(キラキラ)*をご紹介しましょう☆
このお話は、古くからヨーロッパで語り継がれてきた昔話がもとになっています。
ゲーテといえば、『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』などの作品が有名で、作家、詩人、劇作家、自然科学者、政治家と、様々な顔を持つ十八世紀から十九世紀にかけて活躍した人物です。
この『きつねのライネケ』を書いた1793年は、フランスのコンコルド広場において、マリー・アントワネットがギロチンにより処刑された年でもありました。
ヨーロッパをゆさぶる革命の嵐。
はたして、ゲーテはどんな思いでそれを眺めていたのでしょう…
きつねのライネケは、ライオンの王様が治める王国で、誰一人知らぬ者はいないというほど悪名高いきつねです。
みんながライネケにひどい目に遭わされています。
しかし、口がうまいのと、その悪知恵のたくみさ、有力な親戚がいるということで、自分のお城に住み、奥さんと子どもたちに囲まれて、何不自由なく暮らしています。
ライネケにひどい目に遭わされた動物たちは、口々に王様に訴えます。
オオカミがだまされたと訴え、子犬は食べ物を奪われたと嘆き、ウサギはもう少しで食べられそうになるところだったと傷口を見せます。
そして最後に、ニワトリの一族がやってきて、かわいそうに首から上を無くした娘の遺体をかかえて王様に訴えます。
激怒するライオンの王様。
きつねがニワトリを食べることは、多分当時としては子どもでも知っている事実だったことでしょう。
うちの実家でもニワトリを飼っていますが、何度きつねにとられてしまったことか。
オオカミは羊を食べます。
猫はネズミを。
ウサギは草を。
さて、王様は?
それにしても、このきつねのライネケは、自分勝手でひどいきつねです!
人をだますことを何とも思っていない!
ついに王様の前に引き出されるライネケ。
裁判の結果、絞首刑と決まります。
ところが、まさに刑が執行されようとした時、ライネケの口から出た言葉に、ライオンの王様は身を乗り出します。
運びきれないほどの宝もの…
金銀財宝と聞き、あっさりライネケを許してしまう王様にはあきれます!
もちろんそんなのデタラメ。
口から出た真っ赤なウソなのです。
欲に目のくらんだ王様は、ライネケの口車に乗せられて、忠臣を無実の罪で殺してしまったり、ライネケの悪事を訴えたオオカミやクマを牢屋につないだり。
その間にも、ウサギや鳥たちが、ライネケの罠にはまって食糧にされてしまいます。
時には神妙になり、反省していると口にしたり。
王様をほめたたえ、その偉大なお心で今回ばかりは許して欲しいと嘆願したり。
よくもまあ、こんなに次から次へとウソ八百がつけるもんだ!!
しかし、ライネケにひどい目に遭わされた動物たちの中には、ライネケほどではないにしても、欲にかられて罠にはまった者も多くいます。
ライオンのお妃さまだって、口では公明正大なことを言っていますが、内心では宝石が欲しくてたまらないのです。
また、ライネケの親戚たちも、オオカミや他の動物たちより、権力を握りたいがために、いろいろとライネケの手助けをします。
何もここまで人間を見習わなくてもいいのに…
今回読んだ岩波少年文庫版の『きつねのライネケ』は、児童向けということもあり、きわどい表現はおさえてあるとのことですが、それでもかなり残酷な表現があります。
まぁ、昔話って、けっこう残酷なところがありますからね。
そして何と言ってもラスト!!
ここまで悪さをしてきたライネケが、いったいどうなってしまうのか?
多分、「エ!?」って思うような終わり方です。
ライネケは甥でたぬきのグリムバードに言います。
「そりゃもちろん、おれは悪さもする。うまくだまして餌を手に入れることもある。なんてったって女房や子どもを養わねばならんからだ。
…中略…
だがねえ、みんなそうしてやしないかい? そうやって生きのびてやしないかい?」
動物たちが登場していますが、これはやっぱり、人間の社会に向けられた言葉なんでしょうね。
現実を、メルヘンの世界を使って表現する。
そこに、人の心に訴える力があります。
短いお話ですが、とっても印象深い作品でした。
正直者が何になる?
どうせ生き残れやしない。
世の中ってのはそういうものなんだ。
果たして、ライネケの言う通りなんでしょうか?
あなたなら、子どもたちに聞かれたら、何て答えます?
ゲーテ 著
上田 真而子 編訳
岩波少年文庫
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