元検事で弁護士の若狭勝氏が27日、TBS系「ひるおび」に生出演。兵庫県知事選挙で公職選挙法違反の疑いの可能性を指摘されている斎藤元彦知事が、SNS運用戦略立案などを行ったと公表しているPR会社の社長の行為を「ボランティアとして個人で参加された」と発言したことについて「絶対にない」と切り捨てた。
若狭氏は「社長がコラムで言ってることと、斎藤さんが言ってることの最大の違いは、(知事が)女性社長はただのボランティアとしてやってくれたことにすぎないんだ、というのが一番大きな違い。これが今回の事件をどういう風に見ていくかの分水嶺」と語った。
また、当該のPR会社社長行ったとされる「SNSを管理して自分で投稿する」「イメージカラーやブランドイメージを考える」「ハッシュタグの拡散や運用」は「買収の可能性がある主体的なPR活動にあたる」と指摘。斎藤知事がPR会社に払った10万円の「メインビジュアル企画制作費」について「公職選挙法違反の疑いが出てくる」とした。
さらに、元衆議院議員で過去に4回国政選挙に出馬し、小池百合子都知事の選挙戦に協力した経験も持つ若狭氏は、自身の経験を踏まえ、「私は何百回と選挙カーの上で演説してるんですけど、ああいう身近で動画を撮ってくれる場合、その人が単なる支援者である、ボランティアであるという位置づけでは絶対にありません」とキッパリ断言した。
さらに、そうした人物の位置づけを「選挙運動をしてくれてる仲間。単なるボランティア的な人をあそこには乗せませんから。候補者なり陣営が許さない。ある意味選挙運動を共に闘っている同士であればありえますけど」と説明。「近々のSNSに載せてるというのは、連動している訳ですから、選挙運動以外の何物でもない」と改めて指摘した。
斎藤元彦公選法違反疑惑「メープルゲート事件」:もう一度、公選法のおさらいをしよう
兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事(47)について、同県西宮市のPR会社の社長が選挙戦で広報全般を担ったとする記事をウェブサイトに投稿し、公職選挙法違反との指摘が出ている問題で、斎藤氏の代理人弁護士が27日、神戸市内で記者会見し、「投稿にあるようなSNS(ネット交流サービス)戦略を依頼したり、広報全般を任せたりということは事実ではない」と話した。
代理人の奥見司弁護士によると、9月末に支援者からの紹介で斎藤氏が社長を訪問。選挙に出馬した場合にどのような協力ができるのか説明を受けた。その際、ポスターデザインの製作やSNSの利用についての提案があったという。後日、PR会社から見積もりが届いた。斎藤氏側はポスターデザインなど5項目に絞って依頼したという。
奥見弁護士は「広報全般の依頼やSNS戦略策定はなく、いずれも製作物の提案だった」と説明。公約スライド製作(30万円)やポスターのデザイン製作(5万円)など計71万5000円分の請求書を公表した。契約書は存在せず、口頭合意だったという。
社長は斎藤氏の考えに賛同して応援活動に参加。公式アカウントの取得や記載事項のチェック、街頭演説会場での動画の撮影などを手伝ったという。奥見弁護士は「いずれもPR会社としての活動ではなく、ボランティアとしての活動で報酬の支払いもなかった」と述べ、「公選法が禁じる買収には当たらない」と主張した。
社長は20日付でインターネットの投稿プラットフォームに「広報全般を任せていただいた」などと発信した。
斎藤氏のプロフィル写真の撮影やポスター製作、SNS運用など選挙戦の裏側を紹介する内容で、SNSについて「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げなどを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」と明かしていた。
この投稿に対し、SNSなどで選挙運動の対価として報酬の支払いを禁じる公選法に抵触しているとの指摘が相次いだ。【大坪菜々美、藤河匠】