聞き手・池田伸壹
関税を振り回し、ロシアのウクライナ侵攻の停戦交渉にも乗り出した米トランプ政権。だが、ソ連崩壊を予測するなど独自の視点で世界を見つめてきた人類学者のエマニュエル・トッドさんは、そうした威勢の陰で米国は「敗北」しているのだと新著で指摘した。い
――ロシアによるウクライナ侵攻の終結に向け、米国とロシアが動き出しています。
「私たちは世界史の転換点を迎えています。米国はロシアに対して、非常に屈辱的な敗北を経験しつつあります。政治的な世論操作と心理的な作戦によって、まだ明確にそう受け止めていない人も多いかもしれませんが、事実上の敗者は米国です」
――当事者であるウクライナも、その他の欧州諸国も蚊帳の外です。
「これは事実上、ロシアと米国の戦争でしたから、当然ではないでしょうか。米国が主導した経済制裁が失敗し、ロシアは持ちこたえ、同盟国であるドイツなどの欧州の方が(ロシアの天然ガス供給カットなどで)より深く傷つきました」
「そして2023年のウクライナによる反転攻勢など、米国が支援した軍事作戦が失敗したことが、今日の結果を招いたのです。私は、こうあるべきだとか、何が正義かといった観点からではなく、歴史の視点から語っています」
――これでウクライナでの流血は終わりますか。
「戦争が終わる、と宣言する…
トランプ当選が、ロシアによる情報工作・世論操作による「敗北」だと示唆している点が、明晰だと感じました。ロシアによる工作は、その社会に存在する問題、脆弱な部分を炊きつけ、ロシアの都合のいい政権を確立し支持させるように行われます。アメリカはそれに屈し、ウクライナ戦争ではロシア側に付き、ドイツもおそらくはロシアからの介入でAfDなどが伸張し、EUすらも危ない状況になってきています。アメリカのみならず、EUまでもが転んでしまったら、日本とて頭を下げてやりすごすわけにはいかないですし、見守るだけに留まれないのではないかと危惧します。本当に危険な状況になってきて、自由民主主義も風前の灯かもしれません。日本でなんとかその小さい炎を保つような未来だってありえるかもしれないと感じています。
......................................................................................(朝日新聞、引用終わり)
(エマニュエル・トッド;画像はネットから借用
●(堀茂樹)れいわは今後更に躍進するだろう。中間層に生活不安が及ぶ今日、左翼ポピュリズムが強くなるのは必然。遅れて、ナショナルなものを擁護する保守系ポピュリズム(参政党。/日本保守党は贋物)が擡頭する筈だ。既成の大政党は大衆の危機感から遊離している。国民民主は移行期の「つなぎ」でしかあるまい。
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