北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

原子力防災計画の中の「安全文化」と「災害文化」

2013-08-19 | 志賀原発
 改定された石川県の原子力防災計画の勉強会を重ねている。
 大きなことから小さな字句まで疑問点、問題点だらけだなァと感じている。全体的なことは機会をあらためて書いていきたいが、今日は計画中に書かれた「安全文化」と「災害文化」について。

 具体的な県の取り組みを定めたこの種の計画の中に「文化」の醸成なる表現が登場すること自体、具体で対応ができないから抽象でごまかそうとしている感じがしないでもなく要注意だと思うが、記載のされ方にも問題があるように思う。

 計画の第2章第3節1の防災業務従事者に対する教育の項目で「安全文化」という言葉が登場する。
 もともとははチェルノブイリ事故の原因調査以降、原子力業界で使われ始め(参照:原子力の安全文化)、今では労働安全衛生一般で使われているようだから、防災業務従事者やその組織も、住民や自らの被ばく防止・低減を図るという意味で、「安全文化」の醸成、維持・向上を図るという表現はいいとしよう。

 しかし、この項目では「県はそのため・・・」として「原子力災害の発生又は拡大を防止」するために教育を実施するとある。
 これは直接的には防災業務従事者の仕事ではなく原子力事業者(北陸電力)の役割であり、その次に法的には原子力規制委員会の役割ではなかったのか。
 県が「原子力災害の発生又は拡大の防止」のために防災業務従事者の教育を行うという。ならば是非本気でやっていただきたい。
 
 ところが一方で、最も「安全文化」を醸成すべき当事者である北陸電力に対しては「安全文化」の醸成を求めていない。国の「指針」には記載されているにも関わらずである。
 やる気があるのかと疑ってしまう。

 防災計画でも北陸電力に「安全文化」の醸成を求め、その取り組みの報告や、場合によっては立ち入り検査まで明記してこそ、災害予防ではないか。

 次に「災害文化」について。
 同じく第3節3で登場する。聞きなれない言葉だが、原子力防災基礎用語集には以下のように記載されている。
 
<たび重なる災害の経験から生まれた知恵を住民の多くが共有し、言い伝えられていく時に、新しい災害に対する考え方が生まれる。災害についての知識や伝承、あるいはそれに対応する方法や技術的産物の文化のことを災害文化という。 災害文化の例としては、「地震が起こったら火を消せ!」「地震が起こったら机の下に潜れ」など、地震時に行うべき行動として私たちが日常的に知っている知識がある。>

 おいおい、何回原子力災害を繰り返すつもりだ?
 地震や火災と同様、頻繁に発生させ、文化として定着させるつもり?

 どうも用語の使用方法を間違っているとしか思えない。いや本気?

 ここの記載は下記のようになっている。
 「県は、原子力災害の教訓や災害文化を後世に伝えるため、国等と連携し・・・」

 後世に伝えるべきは「災害文化」ではなく「原子力災害の教訓」だけでいい。

 そのためにも「原子力災害の教訓」を防災計画冒頭の「目的」あるいは「基本方針」のなかに明記すべきだ。

 


1 コメント

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人類滅亡 (Unknown)
2013-08-19 20:31:00
地震や津波と同じ計画では困ります。
人類が滅亡 します。
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