北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

プラチナ大賞受賞記念シンポ開催

2016-02-20 | 活動報告
   

昨年10月、珠洲市は第3回プラチナ大賞を受賞した。
今日はこの受賞を記念してのシンポジウムが開催された。
と言ってもほとんどの方にとって「プラチナ大賞?何それ?」って感じだろうと思う。
一応、Webページはこちら
これをみてもよくわからないと思うが、第一回の大賞受賞は島根県の海士町、優秀賞には徳島県の上勝町が名を連ねる。
ってことは結構すごい賞をもらったんじゃない?ってドキッとする人もいるかもしれない。
しかし、それ以上に珠洲市が地域おこしで全国的に名を馳せるこれらの町と並んで表彰を受けるようなこと何かあったっけ?というのが大方のの市民の受け止め方ではないだろうか。

   

珠洲市が受賞することになった取り組みは「『能登半島最先端の過疎地域イノベーション』 ~真の大学連携が過疎地を変える!~」。
と聞いてもまだ「ああそうか、大学連携ならすごいことやってるからな」と納得する市民は私を含めほとんどいないだろう。
いわゆる域学連携(地域と大学の連携)の取り組みはここ8年ほどかなり活発にはなっているが、直接かかわっている人でもそんなにすごいことをやっているという自覚はほぼ皆無ではないか。

だからこそ今日のシンポジウムが開催された意義がある。
大学の役割が「教育と研究」から「教育と研究と社会貢献」になり、全国いたるところ域学連携の取り組みが展開されてるが、手探り状態のところが多いとのこと。
珠洲は8年余りの積み重ねがあり里山里海マイスターの養成(128人が修了、うち12人が珠洲にIターン、県外から参加し、全国各地で学びを生かす展開も)や大学のサテライトの開設、自動走行システム実証実験プロジェクト、さらにはフィリピン・イフガオの棚田保全の共同プロジェクトなど取り組みが年々拡大している。金沢大学の学生が珠洲に入る機会も「学長と行く能登合宿」だけでなく地域学概論の必修化でさらに加速しそう。
全国的に見ればそれなりの内容なのだ。

そんな中、プラチナ構想ネットワークの小宮山宏会長は基調講演で「珠洲市は目標を高めよ」「質的に日本を、世界を意識せよ」とエールを贈る。
「日本一幸せを感じられる珠洲市」などと大して意味のない順位争いめいたスローガンを地方創生総合戦略で掲げる珠洲市だが、「質的に世界を意識せよ」との提起は同感だ。

   

続いてパネル討論。月尾嘉男東大名誉教授らそうそうたるパネラー陣。熱心な発言が相次ぎ予定時間をオーバー。
月尾氏は大学連携を進めるにあたって今後、何を目指すのか明確にすべきとし、個人的には「地域から変える世界」を目標にしてほしいと問題提起。
この間、珠洲‐金大の大学連携をけん引してきた中村浩二特任教授は、お互い厳しく意見を交わしあうことも今後は大事と指摘。「大学が来てくれてありがたい」、「受け入れてくれてありがたい」といった関係から次なる連携段階に入っていることを示唆した。

全体を通じて、なぜ発展途上、試行錯誤の珠洲‐金大の大学連携が今回の賞を受賞したのか、私なりに少しわかったような。
大学の社会貢献、域学連携が全国的に展開され、若い大学生が高齢化した地域に入ってくれることは地域にとっては大歓迎。しかし単なる元気なボランティアがやってきたといった次元では「大学の社会貢献」としてはあまりにさみしいし、大学改革の看板がいつになっても輝かない。折しも安倍政権が地方創生の音頭をとる中である。大学連携で地方創生の芽が出るかも?といった事例がほしかったのでは。海士町のような受賞自治体の次元に珠洲市が達しているとはやはり思えないが、大学連携の意義や今後に向けた前向き課題がたくさん提起され、シンポジウムとしては非常に充実した企画だった。


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