10時から一般質問。
大兼政議員、向山議員、中板議員、地原議員に続いて5番目の登壇。さらに米田議員、濱田議員と続き、今議会は7人が質問に立った。
私の質問は以下の通り。
プレミアム商品券発行事業と教育委員会の事務の点検評価報告、そして全国学力・学習状況調査については再質問をおこなう。
プレミアム商品券の発行、学力調査の過去問練習など試験対策は、やはり納得がいかない。
また、中板議員、濱田議員の木の浦地区の観光交流拠点施設の運営についての質問の関連で、運営を担う組織はいつ決まるのか、補正予算案に設計費が盛り込まれたが運営主体の意向は反映されるのか、ケビン10棟の予定だが、設計にあたってはそれぞれに特徴を持たすべきではないか、といった点を質問する。
東日本大震災から9月11日で1年半。いまなお34万4千人もの方々が避難生活を強いられ、福島第一原発事故の収束へのたたかいも続いています。当日の新聞各紙を見ますと、大きく紙面を割いての特集記事やあらためての連載記事もある一方で、社会面の片隅に紹介しただけの紙面もあります。「絆」も流行語だったかのように聞かれなくなりました。節目の日だけ思い起こせばいいというものではありませんが、やはり節目の日は大切にしてほしいなと思います。
さて、今回はまず少しばかり先走った質問からさせていただきます。
珠洲市が発足したのは1954年7月15日。つまり2年後の2014年には市制60周年、人間でいうと還暦を迎えることになります。孔子の言葉を借りると、60にして耳順う。六十歳で、人の言うことを逆らわず素直に聴けるようになったという意味です。珠洲市は長く、旅人から「いいところですね」と言われても素直に聴けませんでした。冬の厳しさ、産業基盤の脆弱さ、そして過疎・高齢化が急激に進む中、どこがいいとこやというのが多くの人の本音でした。世界農業遺産・GIAHSの認定は、「いいところですね」とよその人から言われ「そうやね、いいとこいっぱいあるわいね」と言えるようになったことが一番のポイントかなと思います。まさに60周年にして耳順うではないでしょうか。
来年2013年4月には能登有料道路無料化となり、「ふるさと紀行『のと里山海道』」になります。GIAHS国際ワークショップの能登開催も期待されます。さらに2年後2015年春の北陸新幹線の金沢開業を迎えるわけですが、その間の2014年に市制60周年を迎えることとなります。
GIAHSの価値や意義は、歴史をさかのぼって中世若山荘成立以降、あるいは能登の国建国1300年の歴史の中で捉えるべきものかもしれません。しかし市政60周年の節目、先人の苦労と幾多の紆余曲折を経た歴史の一つの到達点としても、世界農業遺産の意義を市民の間で確認しあうことは非常に重要なことではないかと思います。さらに今回は市外、県外の人たちにもアピールできる絶好のタイミングです。GIAHSへの関心や理解は高まってきたとはいえ、やはり「私らの生活とどう関係あるんかわからん」との声があるのも事実です。GIAHSを活用した取り組みを交流人口の拡大、地域の経済の活性化につなげ、里山里海の保全・活用が地域の活力や暮らしの向上につながると実感してもらうチャンスではないかと思います。
市制40周年では40周年関連事業が市内各地で展開されました。50周年では子どもたちからお年寄りまで、気軽に気楽に珠洲の歴史や文化への理解が深められる「すずの歴史」が発刊されました。
来たる60周年を単なる式典だけで終わらせることなく、GIAHS関連事業を、四季を通じて市内各地で展開していってはどうかと思いますがいかがでしょうか。
加えて今議会では、市長が「自然との共生」を目指す本市の象徴的な体験型宿泊施設と位置付ける木ノ浦の観光交流拠点施設の整備に向けた予算が計上されました。私はこの施設は単に旧国民宿舎きのうら荘の建て替えという捉え方ではいけないし、木の浦にある単なる1施設として採算問題だけに目がいってもいけないと思っています。そういう意味で、この間の日置地区の取り組みの成果を踏まえ、人と人のつながり、地域経済のつながりを拡げていく施設であり、すず里山里海ミュージアム構想の拠点として面的な拡がりの中で位置づけを示されたことは非常に重要なことだと思います。
私はさらに時間軸のなかでもその活かし方を考えていくべきだと思います。新施設は2014年春を目標に整備を進める計画となっています。まさに60周年の拠点施設として、市内外にその狙いとするところをアピールしていってはどうかと思いますがいかがでしょうか。
冒頭、先走った質問と言いました。木の浦地区の新施設については、今議会で設計費が計上されたばかりで議会の同意はこれから。建設工事費の計上はまだ先の話です。しかも市長の2期目の任期は市制60周年となる7月15日の直前、6月10日で切れます。現時点で先走った答弁はしにくいことを承知しつつ、ひとつの提案として質問をさせていただきました。
次に、今議会に提案されている補正予算案に盛り込まれているプレミアム付共通商品券の発行事業についてお聞きします。
今回が3回目の発行となりますが、1回目は3年前で、追加発行も合わせて販売総額3億3千万円。2回目は昨年で、発行総額は1億1千万円でした。過去2回の実施時も議会で多くの議論がありました。その主な論点は公平性の確保と不正防止だったかと思います。目的が市内の消費刺激効果にあるとはいえ、一部の人、一部の家庭の家計だけが潤うような商品券の販売方法は税金投入の商品券として問題ありというのが一つ。また、一部の家庭が家族全員で購入する、あるいは一部の事業者が従業員を動員して買い占め、金融商品的に活用するといった不正使用をいかに防止策するかが2つめの論点です。
この2点はプレミアム商品券の弱点ともいうべき課題であり、引き続き検討が必要ですが、私はより根本的な論点が残されているのではないかと思っています。プレミアム商品券発行の狙いは消費の刺激であり、個人消費の拡大による経済効果が図られると言われてきました。果たしてそうでしょうか。
いま仮に寺井さんというお宅があったとします。寺井さんのお宅では毎月の税引き後の手取り収入が40万円だったとします。そのうち、25万円は珠洲市内の消費に使い、5万円は市外での消費、5万円は東京の大学に通う子どもへの仕送り、残りの5万円は貯蓄に回していたとします。
今回、20万円のプレミアム商品券を購入しました。2万円のプレミアム分がありますから今月は42万円支出することができます。毎月25万円だった市内の消費を27万円にすると市内の消費は税金投入分だけですが拡大します。しかし、市内消費は25万円のままで、そのうち22万円分の支払いを購入した商品券に充てるならば市内消費は全く拡大しません。そこで浮いた2万円を市外の消費に回す、あるいは貯蓄にまわす、あるいは正月にかえってきた息子へのお年玉として渡し、息子はありがとうと言って東京に持って行ってしまう。これでは何のための税金投入かわかりません。
購入金額の上限を引き上げればそんなケースは減るという捉え方もあるようですが、エコカー補助金を見ての通り、購入の前倒し、そしてそのあとの反動による落ち込みで、トータルの売上増は期待できないというケースも十分あり得ます。春になったら玄関を直そうと思っていたけどプレミアム商品券が使えるから年末に直したというのは単なる消費の前倒しにすぎません。寺井さんちでは20万円の予算で玄関を直そうと思ってたけど、プレミアム分もあるから思い切って貯金もおろして30万円かけて立派な玄関にしたということになってこそ消費の拡大効果です。プレミアム商品券が本当に消費の拡大につながったのか、丁寧な検証が必要です。かつての地域振興券もほとんど消費を喚起する効果がなかったことが内閣府の調査でもあきらかになっています。
そこで以下、質問をさせていただきます。
まず、購入限度額など申込条件、申込資格、申込方法、予定する利用有効期間について、先般の全員協議会でも質問がありましたが、現時点で決まっていることがありましたら確認をさせていただきたいと思います。いずれも公平性の確保、不正の防止、そして消費刺激効果に係る基本的項目です。
2点目として、過去2回のプレミアム付共通商品券発行による成果、すなわち市内の消費刺激効果を確認できる具体的な数値がありましたらお聞かせいただきたいと思います。また、売上増加が見られた業種については、商品券使用の有効期間終了後、反動による売上減少はなかったもあわせてお聞きします
3点目、過去2回の利用期間はいずれも3月から6月にかけてでした。今回、年末年始を予定しているわけですが、年末年始の方が、消費刺激効果があると判断する根拠は何なのでしょうか。
あと一点、仮に一時的な売上増加がみられたとしても、それを受けて事業者や業界、あるいは商店街自らが次の、より抜本的、根本的対策を打ち出さないと一時的な売上補てん策で終わってしまいます。商品券発行後の展望や方針を確認したうえで実施しないと、このままでは毎年、税金投入のポイント10倍デーの繰り返しとなってしまうのではないでしょうか。
次にイノシシ被害対策についてお聞きします。
西日本から北陸に入り、石川県でも加賀から能登へと徐々に生息域を拡大してきたイノシシが数年前から珠洲にも現れるようになりました。家庭菜園であっても収穫前の畑が掘り起こされれば涙、涙ですが、まして農家の皆さんにとっては経営に大きな痛手であり、毎年繰り返されれば生産意欲の減退は避けられず、耕作放棄地の増加へとつながっていく深刻な問題です。自然と共生する珠洲市と言っても、ではイノシシとどう共生を図るのか、図れるのか、悩ましい問題です。イノシシを侵入させない農地管理、狩猟などによる個体数管理、イノシシが棲みにくい集落づくりといったことが取り組みの3本柱になろうかと思いますが、以下、先ほどの地原議員の質問との重複を避け、2点に絞ってお聞きをします。
一口にイノシシの被害といっても被害作物や被害の受け方は様々です。いずれも深刻なことは言うまでもありませんが、水田被害が特に悩ましいように思います。先日もJAすずしから新聞に折り込みチラシが入りました。「イノシシが侵入した水田の出荷米及び、ライスセンターでの籾受入は出来ないこととしております」との通知です。イノシシンが侵入した水田の米には異臭がして、それが他の米にも移り、気づかず出荷しまった場合、珠洲産米全体への評判にも影響することが危惧されます。知りながらライスセンターに持ち込んだ場合、乾燥機に入った米全体の補償を請求されるとのことです。
JAの対応はやむを得ないとしても、農家の方もとんだ災難です。イノシシが田んぼの隅を通過してもその一枚が出荷できなくなりますが、農業共済による被害の補償対象は倒伏箇所だけ。大きな痛手です。しかも、誰それさんの田んぼにイノシシが入ったげと。集落の精米機使うがも一番最後にしてもらわにゃならんぞ、いった風に差別、偏見とまでは言いませんが、何の罪もないのに、結果的に周りに迷惑をかけたような罪悪感に包まれるようです。
派手に田んぼを荒らされたのならともかく、隅を通られたくらいなら、正直に報告するより気づかなかったふりをしようと考えても、ある意味、不思議でもありません。しかし、こうした雰囲気が広まれば被害の実態把握が遅れ、翌年度以降の被害防止策も後手となり、さらなる被害拡大という悪循環に陥ります。
まずは農家からの被害届の提出が大切なのはいうまでもありません。被害届を提出しやすい仕組みをつくることが大切と思いますがいかがでしょうか。
イノシシもなかなか賢いようであり、また行動範囲も広く、繁殖力も強いということで、自ずから個々の農家による農地管理には限界があります。県では本年度、イノシシ被害防止を図るモデル集落を12カ所から50カ所に拡大しました。本市でも昨年度、有害鳥獣対策協議会を立ち上げ、対策に乗り出しましたが、たとえばえさになるものを放置しない地域ぐるみの環境整備など集落全体の取り組みも必要です。被害の拡大は耕作放棄地の拡大へ、さらには里山の荒廃にもつながる深刻な地域問題でもあります。市として、農家以外の地域住民も含め、積極的に情報を提供していくことが大切ではないかと思いますがいかがでしょうか。
次に教育問題について大きく3点お聞きします。
今年の夏、ロンドンオリンピックとともに連日、大きく報道されたのが大津市の中学生いじめ自殺問題でした。今回の事件で、大きな関心を集めたのは学校と教育委員会の在り方です。生徒へのアンケートを実施し、いじめがあったことは認めていたけど自殺との因果関係は不明として調査を打ち切りました。ところが今年7月、一転、自殺の練習をさせられていたなどのアンケート結果が明らかになり、隠ぺい体質として厳しい批判にさらされました。当事者能力も問われ、被害者家族はもちろん、保護者との信頼関係も損なわれ、市長が第三者調査委員会を立ち上げるに至りました。
珠洲市の教育委員会は大丈夫か、あんな教育委員会ならない方がましやぞ、といった声が私の耳にも入ってきます。
今回の事件を契機に、責任の所在が曖昧な教育委員会、民意を反映しない教育委員会、形骸化した教育委員会などとして、かねてからくすぶっていた教育委員会の縮小論や不要、廃止論がさらに加速する気配があります。
教育委員会のあり方についての議論は、制度が導入された戦後の教育行政改革当初から続いていますが、教育の政治的中立と民主的統制といった論点に加え、最近は教育の地方分権、自治体行政の一元化なども視点も加わり、自治体の首長からも教育委員会のあり方を問う声があがっているのが特徴かと思います。
私自身は、現在の教育委員会制度には運用面で多々課題があり、改善が求められているとは思いますが、一方で廃止論などには危うさも感じています。そこでまず教育委員会制度について、課題やあるべき姿について市長の見解をお聞きしたいと思います。
以下、教育長に教育委員会のあり方について提案と質問をさせていただきたいと思います。
私は教育委員会の改善課題として、開かれた教育委員会に向けて、透明性を高めていくことがなにより大切ではないかと考えています。各地で隠ぺい体質が問われていますが、やはり日頃の姿勢からではないでしょうか。教育委員会を監視するとかチェックするとかといった仰々しい話ではなく、保護者の皆さんはじめ市民の皆さんにもっともっと教育について、あるいは教育行政について関心をもってもらうという意味で、必要ではないかと思います。
そこでまず提案ですが、教育委員会の会議は地方教育行政法第13条6項で原則公開と定められています。定例会の日程を広報すずやホームページなどで積極的に公開し、傍聴手続きも市民の皆さんに周知してはどうでしょうか。会議録は情報公開の手続きを踏めば見ることができますが、多くの自治体ではホームページでの公開に踏み込んでいます。珠洲市も公開すべきだと思いますがいかがでしょうか。
また、教育委員の皆さんが集まっての定例会以外に、教育委員会が主催する会議も数多くあるかと思います。たとえばいま、多くの市民の皆さんにとって関心の高い小中一貫教育について、私もこの間の議論すべてに目を通しておきたいと思いましたが、出てこない記録がありました。基本的なことですが、それぞれの会議の会議録を情報公開条例の対象となる行政情報としてきちんと保存していくことが必要です。教育委員会主催の会議は何種類あり、そのうち会議録が作成されているのはいくつあるのか。また記録がICレコーダーなどで保存されているものはいくつあるのか明らかにしていただきたいと思います。
議会もよそのことを言えませんが、教育委員会も事務局の提案の追認機関になっていて、会議が形骸化しているとの指摘がマスコミを賑わしています。珠洲市の教育委員会の実態はいかがでしょうか。教育委員の皆さんの会議における提案が具体的な施策につながった事例がありましたらぜひお聞かせいただきたいと思います。
現在の教育委員会制度は、矛盾といいますか、限界を抱えていることもまた事実だろうと思います。教育委員会は市長から独立した行政委員会といわれますが、導入のモデルとなったアメリカの教育委員会制度との決定的な違いは予算編成権を持たないということです。教育分野の予算編成権や条例提案権は市長の権限であり、ここで大阪の橋下市長のように、どうやって予算査定をすればいいんだとの声もあがってきます。市長が任命された教育委員の皆さんですが、法律上、指揮監督権は及びません。一方、市長には市長の予算編成にあたっての思いもあるでしょう。市長との意見交換の場を定期的に設けて、意思疎通を図ることが珠洲市全体の教育を考えたときに大切なことではないかと思いますがいかがでしょうか。
あと一点、教育委員会への注文ですが、2008年に改正地教行法が施行され、教育委員会の事務の管理執行状況を毎年点検評価し、議会に報告し公表することが義務付けられました。4年前です。ところがいまだ議会に報告はなく、報告書自体作成されていません。具体的な点検項目や評価方法などは各教育委員会に委ねられており、様々な検討を重ねられているのかもしれませんが、法律に定められた義務違反の状態であることに変わりはありません。報告はいつ議会に提出されるのか、その準備状況も含めてお聞きします。
さて、今回のいじめ事件に話を戻しますと、文科省や県教委は相次いでいじめ対策を打ち出しています。必要な取り組みもあろうかと思いますが、世論向けで、現場の実態をどこまで踏まえたものかと思えるような項目もあるように思います。
国連「子どもの権利委員会」は、日本の教育の在り方について、以前から何回となく日本政府に勧告をおこなっています。1998年の初回勧告を紹介しますと「日本の高度に競争的な教育制度そのものが子どもたちに過度のストレスを醸成し、子どもたちの発達のゆがみを生み出している」と指摘しています。
次に全国学力・学習状況調査についてお聞きします。
今春実施された今年度の全国学力・学習状況調査の結果が先月公表されました。石川県は小中学生、いずれの科目も全国上位ということで、県教育委員会は一昨年策定したいしかわ学びの12か条の成果だと大喜びのようです。まず教育長に今年の調査結果についての評価をお聞きしたいと思います。
確かに調査とはいえ点数がつくからには上位となるのがうれしいのは誰しも同じでしょうが、学校現場では冷めた見方が多いように思います。石川県では、特に奥能登を中心に夏休みや春休みも登校し、過去の問題を解き、傾向を把握し、点数アップの指導をきめ細かくおこなっているのですから、こうした取り組みをおこなっていない県と比べて上位に行くのは特段はしゃぎたてるような話ではありません。特に知識を問うA問題に対し、活用を問うB問題は教科書で学ぶ授業だけではやや難問となるようで、過去問を繰り返し、 傾向を把握しているかどうかが、正答率に大きく影響すると聞きます。
市内小中学校では、過去の全国学力・学習状況調査の問題の解答練習や、その前後に実施されている調査に備えた補習はどれくらいおこなわれているのでしょうか。その実施状況をお聞きします。
あわせて、このような補習による成績向上分をどの程度見込んでおられるのかもこの際、お聞かせいただきたいと思います。
そもそもこの調査の目的は、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、改善をはかることとされています。要するに点数と教育環境や学習状況の関係を調べ、今後の教育政策の改善や教育指導の充実につなげていこうということです。
ところが立派な目的の一方で調査結果の分析をみますと「理科の勉強が好きな児童生徒は理科の正答率が高い傾向が見られる」とか「観察・実験が好きな児童生徒は理科の正答率が高い傾向が見られる」とか、思わず吹き出すような幼稚な記述がたくさん羅列してあります。これが30億円以上もの予算を投入しておこなった調査の分析かと思うと、笑うどころか腹が立ってくるわけですが、いずれにしても過去問を解き、事前の試験対策を徹底して調査に臨んでは、政策の検証を歪め、調査の本来の目的を果たせないのではないでしょうか。なぜ文科省からやめてくれと言われないのか私には不思議でならないのですが、教育長の見解をお聞きしておきたいと思います。
こんなところからも多忙化解消の取り組みができるではないかと思うのは私だけでしょうか。
さて、批判ばかりしていてもいけませんので、今年の調査結果をふまえて、ICTを活用した教育について、最後に質問をさせていただきます。
市内小中学校ではこの夏、ようやくパソコンと接続でき、DVDも映せる大型モニターが、各フロア一台ですが整備されました。やや前進ですが、普通教室ではインターネットに接続できないなど、他市町と比べるとまだまだ大きく後れをとっていると言わざるをえません。まず、市内の小中学校のICT整備状況について、教育長の現状認識をお聞きかせいただきたいと思います。
今年の全国学力調査では理科が追加され、はじめての実施となりました。はじめてですので過去問対策はなしです。この理科に関する調査結果の分析を見ますと、インターネットを活用した理科の授業をおこなっている学校が、活用していない学校より明らかに正答率が高いという結果が出ています。こういう分析をすぐに教育施策に反映してこその全国学力調査だと私は思います。市内小中学校の普通教室に早急にLANを整備すべきだともいますがいかがでしょうか。
普通教室ではインターネットにつながらないというのは珠洲の保護者の皆さん、こんなものと思っておられるかもしれませんが、全国的に見ても、県内で見ても、極めて少数派の域に入っています。今月に入り、文科省から全国の学校の情報化の実態を調査した結果が公表されました。今年3月時点の整備状況ですが、普通教室の校内LAN整備率を見ますと、全国平均は83.6%。石川県は平均を上回り87.2%となっています。この他、電子黒板のある学校の割合は、石川県は78.2%。デジタル教科書の整備状況は、石川県は全国トップの43%となっています。案外、全国学力調査の結果が県全体として上位になった要因はこんなところにもあるのかもしれません。
これらの調査項目、いずれも珠洲市が県内の整備率を大きく引き下げているわけですが、なにより私たちが認識しなければならないのは、こういう貧弱な教育環境の中で珠洲の子どもたちは学んでいるということです。学力テストの平均点が低いからと、暑い夏休みに登校し、汗を拭き拭き補習に励んでいるわけですが、教育行政として、力の入れどころが違っているとしか思えません。
能登町の学校に勤務する先生から、珠洲の学校にはいきたくないなぁとの声を聞きます。能登町の学校で電子黒板を駆使した授業実践を積み重ねているけど、珠洲ではできないからです。市内の学校からも電子黒板の整備を求める声があり、教育長の耳にも届いているかと思いますが、教育長は、使いこなせるか心配されておられるようです。いつ整備されるかわからないままなら準備もできません。市内小中学校のICT整備計画を策定し、各学校に明示すべきではないかということを最後にお聞きし、私の質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
大兼政議員、向山議員、中板議員、地原議員に続いて5番目の登壇。さらに米田議員、濱田議員と続き、今議会は7人が質問に立った。
私の質問は以下の通り。
プレミアム商品券発行事業と教育委員会の事務の点検評価報告、そして全国学力・学習状況調査については再質問をおこなう。
プレミアム商品券の発行、学力調査の過去問練習など試験対策は、やはり納得がいかない。
また、中板議員、濱田議員の木の浦地区の観光交流拠点施設の運営についての質問の関連で、運営を担う組織はいつ決まるのか、補正予算案に設計費が盛り込まれたが運営主体の意向は反映されるのか、ケビン10棟の予定だが、設計にあたってはそれぞれに特徴を持たすべきではないか、といった点を質問する。
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東日本大震災から9月11日で1年半。いまなお34万4千人もの方々が避難生活を強いられ、福島第一原発事故の収束へのたたかいも続いています。当日の新聞各紙を見ますと、大きく紙面を割いての特集記事やあらためての連載記事もある一方で、社会面の片隅に紹介しただけの紙面もあります。「絆」も流行語だったかのように聞かれなくなりました。節目の日だけ思い起こせばいいというものではありませんが、やはり節目の日は大切にしてほしいなと思います。
さて、今回はまず少しばかり先走った質問からさせていただきます。
珠洲市が発足したのは1954年7月15日。つまり2年後の2014年には市制60周年、人間でいうと還暦を迎えることになります。孔子の言葉を借りると、60にして耳順う。六十歳で、人の言うことを逆らわず素直に聴けるようになったという意味です。珠洲市は長く、旅人から「いいところですね」と言われても素直に聴けませんでした。冬の厳しさ、産業基盤の脆弱さ、そして過疎・高齢化が急激に進む中、どこがいいとこやというのが多くの人の本音でした。世界農業遺産・GIAHSの認定は、「いいところですね」とよその人から言われ「そうやね、いいとこいっぱいあるわいね」と言えるようになったことが一番のポイントかなと思います。まさに60周年にして耳順うではないでしょうか。
来年2013年4月には能登有料道路無料化となり、「ふるさと紀行『のと里山海道』」になります。GIAHS国際ワークショップの能登開催も期待されます。さらに2年後2015年春の北陸新幹線の金沢開業を迎えるわけですが、その間の2014年に市制60周年を迎えることとなります。
GIAHSの価値や意義は、歴史をさかのぼって中世若山荘成立以降、あるいは能登の国建国1300年の歴史の中で捉えるべきものかもしれません。しかし市政60周年の節目、先人の苦労と幾多の紆余曲折を経た歴史の一つの到達点としても、世界農業遺産の意義を市民の間で確認しあうことは非常に重要なことではないかと思います。さらに今回は市外、県外の人たちにもアピールできる絶好のタイミングです。GIAHSへの関心や理解は高まってきたとはいえ、やはり「私らの生活とどう関係あるんかわからん」との声があるのも事実です。GIAHSを活用した取り組みを交流人口の拡大、地域の経済の活性化につなげ、里山里海の保全・活用が地域の活力や暮らしの向上につながると実感してもらうチャンスではないかと思います。
市制40周年では40周年関連事業が市内各地で展開されました。50周年では子どもたちからお年寄りまで、気軽に気楽に珠洲の歴史や文化への理解が深められる「すずの歴史」が発刊されました。
来たる60周年を単なる式典だけで終わらせることなく、GIAHS関連事業を、四季を通じて市内各地で展開していってはどうかと思いますがいかがでしょうか。
加えて今議会では、市長が「自然との共生」を目指す本市の象徴的な体験型宿泊施設と位置付ける木ノ浦の観光交流拠点施設の整備に向けた予算が計上されました。私はこの施設は単に旧国民宿舎きのうら荘の建て替えという捉え方ではいけないし、木の浦にある単なる1施設として採算問題だけに目がいってもいけないと思っています。そういう意味で、この間の日置地区の取り組みの成果を踏まえ、人と人のつながり、地域経済のつながりを拡げていく施設であり、すず里山里海ミュージアム構想の拠点として面的な拡がりの中で位置づけを示されたことは非常に重要なことだと思います。
私はさらに時間軸のなかでもその活かし方を考えていくべきだと思います。新施設は2014年春を目標に整備を進める計画となっています。まさに60周年の拠点施設として、市内外にその狙いとするところをアピールしていってはどうかと思いますがいかがでしょうか。
冒頭、先走った質問と言いました。木の浦地区の新施設については、今議会で設計費が計上されたばかりで議会の同意はこれから。建設工事費の計上はまだ先の話です。しかも市長の2期目の任期は市制60周年となる7月15日の直前、6月10日で切れます。現時点で先走った答弁はしにくいことを承知しつつ、ひとつの提案として質問をさせていただきました。
次に、今議会に提案されている補正予算案に盛り込まれているプレミアム付共通商品券の発行事業についてお聞きします。
今回が3回目の発行となりますが、1回目は3年前で、追加発行も合わせて販売総額3億3千万円。2回目は昨年で、発行総額は1億1千万円でした。過去2回の実施時も議会で多くの議論がありました。その主な論点は公平性の確保と不正防止だったかと思います。目的が市内の消費刺激効果にあるとはいえ、一部の人、一部の家庭の家計だけが潤うような商品券の販売方法は税金投入の商品券として問題ありというのが一つ。また、一部の家庭が家族全員で購入する、あるいは一部の事業者が従業員を動員して買い占め、金融商品的に活用するといった不正使用をいかに防止策するかが2つめの論点です。
この2点はプレミアム商品券の弱点ともいうべき課題であり、引き続き検討が必要ですが、私はより根本的な論点が残されているのではないかと思っています。プレミアム商品券発行の狙いは消費の刺激であり、個人消費の拡大による経済効果が図られると言われてきました。果たしてそうでしょうか。
いま仮に寺井さんというお宅があったとします。寺井さんのお宅では毎月の税引き後の手取り収入が40万円だったとします。そのうち、25万円は珠洲市内の消費に使い、5万円は市外での消費、5万円は東京の大学に通う子どもへの仕送り、残りの5万円は貯蓄に回していたとします。
今回、20万円のプレミアム商品券を購入しました。2万円のプレミアム分がありますから今月は42万円支出することができます。毎月25万円だった市内の消費を27万円にすると市内の消費は税金投入分だけですが拡大します。しかし、市内消費は25万円のままで、そのうち22万円分の支払いを購入した商品券に充てるならば市内消費は全く拡大しません。そこで浮いた2万円を市外の消費に回す、あるいは貯蓄にまわす、あるいは正月にかえってきた息子へのお年玉として渡し、息子はありがとうと言って東京に持って行ってしまう。これでは何のための税金投入かわかりません。
購入金額の上限を引き上げればそんなケースは減るという捉え方もあるようですが、エコカー補助金を見ての通り、購入の前倒し、そしてそのあとの反動による落ち込みで、トータルの売上増は期待できないというケースも十分あり得ます。春になったら玄関を直そうと思っていたけどプレミアム商品券が使えるから年末に直したというのは単なる消費の前倒しにすぎません。寺井さんちでは20万円の予算で玄関を直そうと思ってたけど、プレミアム分もあるから思い切って貯金もおろして30万円かけて立派な玄関にしたということになってこそ消費の拡大効果です。プレミアム商品券が本当に消費の拡大につながったのか、丁寧な検証が必要です。かつての地域振興券もほとんど消費を喚起する効果がなかったことが内閣府の調査でもあきらかになっています。
そこで以下、質問をさせていただきます。
まず、購入限度額など申込条件、申込資格、申込方法、予定する利用有効期間について、先般の全員協議会でも質問がありましたが、現時点で決まっていることがありましたら確認をさせていただきたいと思います。いずれも公平性の確保、不正の防止、そして消費刺激効果に係る基本的項目です。
2点目として、過去2回のプレミアム付共通商品券発行による成果、すなわち市内の消費刺激効果を確認できる具体的な数値がありましたらお聞かせいただきたいと思います。また、売上増加が見られた業種については、商品券使用の有効期間終了後、反動による売上減少はなかったもあわせてお聞きします
3点目、過去2回の利用期間はいずれも3月から6月にかけてでした。今回、年末年始を予定しているわけですが、年末年始の方が、消費刺激効果があると判断する根拠は何なのでしょうか。
あと一点、仮に一時的な売上増加がみられたとしても、それを受けて事業者や業界、あるいは商店街自らが次の、より抜本的、根本的対策を打ち出さないと一時的な売上補てん策で終わってしまいます。商品券発行後の展望や方針を確認したうえで実施しないと、このままでは毎年、税金投入のポイント10倍デーの繰り返しとなってしまうのではないでしょうか。
次にイノシシ被害対策についてお聞きします。
西日本から北陸に入り、石川県でも加賀から能登へと徐々に生息域を拡大してきたイノシシが数年前から珠洲にも現れるようになりました。家庭菜園であっても収穫前の畑が掘り起こされれば涙、涙ですが、まして農家の皆さんにとっては経営に大きな痛手であり、毎年繰り返されれば生産意欲の減退は避けられず、耕作放棄地の増加へとつながっていく深刻な問題です。自然と共生する珠洲市と言っても、ではイノシシとどう共生を図るのか、図れるのか、悩ましい問題です。イノシシを侵入させない農地管理、狩猟などによる個体数管理、イノシシが棲みにくい集落づくりといったことが取り組みの3本柱になろうかと思いますが、以下、先ほどの地原議員の質問との重複を避け、2点に絞ってお聞きをします。
一口にイノシシの被害といっても被害作物や被害の受け方は様々です。いずれも深刻なことは言うまでもありませんが、水田被害が特に悩ましいように思います。先日もJAすずしから新聞に折り込みチラシが入りました。「イノシシが侵入した水田の出荷米及び、ライスセンターでの籾受入は出来ないこととしております」との通知です。イノシシンが侵入した水田の米には異臭がして、それが他の米にも移り、気づかず出荷しまった場合、珠洲産米全体への評判にも影響することが危惧されます。知りながらライスセンターに持ち込んだ場合、乾燥機に入った米全体の補償を請求されるとのことです。
JAの対応はやむを得ないとしても、農家の方もとんだ災難です。イノシシが田んぼの隅を通過してもその一枚が出荷できなくなりますが、農業共済による被害の補償対象は倒伏箇所だけ。大きな痛手です。しかも、誰それさんの田んぼにイノシシが入ったげと。集落の精米機使うがも一番最後にしてもらわにゃならんぞ、いった風に差別、偏見とまでは言いませんが、何の罪もないのに、結果的に周りに迷惑をかけたような罪悪感に包まれるようです。
派手に田んぼを荒らされたのならともかく、隅を通られたくらいなら、正直に報告するより気づかなかったふりをしようと考えても、ある意味、不思議でもありません。しかし、こうした雰囲気が広まれば被害の実態把握が遅れ、翌年度以降の被害防止策も後手となり、さらなる被害拡大という悪循環に陥ります。
まずは農家からの被害届の提出が大切なのはいうまでもありません。被害届を提出しやすい仕組みをつくることが大切と思いますがいかがでしょうか。
イノシシもなかなか賢いようであり、また行動範囲も広く、繁殖力も強いということで、自ずから個々の農家による農地管理には限界があります。県では本年度、イノシシ被害防止を図るモデル集落を12カ所から50カ所に拡大しました。本市でも昨年度、有害鳥獣対策協議会を立ち上げ、対策に乗り出しましたが、たとえばえさになるものを放置しない地域ぐるみの環境整備など集落全体の取り組みも必要です。被害の拡大は耕作放棄地の拡大へ、さらには里山の荒廃にもつながる深刻な地域問題でもあります。市として、農家以外の地域住民も含め、積極的に情報を提供していくことが大切ではないかと思いますがいかがでしょうか。
次に教育問題について大きく3点お聞きします。
今年の夏、ロンドンオリンピックとともに連日、大きく報道されたのが大津市の中学生いじめ自殺問題でした。今回の事件で、大きな関心を集めたのは学校と教育委員会の在り方です。生徒へのアンケートを実施し、いじめがあったことは認めていたけど自殺との因果関係は不明として調査を打ち切りました。ところが今年7月、一転、自殺の練習をさせられていたなどのアンケート結果が明らかになり、隠ぺい体質として厳しい批判にさらされました。当事者能力も問われ、被害者家族はもちろん、保護者との信頼関係も損なわれ、市長が第三者調査委員会を立ち上げるに至りました。
珠洲市の教育委員会は大丈夫か、あんな教育委員会ならない方がましやぞ、といった声が私の耳にも入ってきます。
今回の事件を契機に、責任の所在が曖昧な教育委員会、民意を反映しない教育委員会、形骸化した教育委員会などとして、かねてからくすぶっていた教育委員会の縮小論や不要、廃止論がさらに加速する気配があります。
教育委員会のあり方についての議論は、制度が導入された戦後の教育行政改革当初から続いていますが、教育の政治的中立と民主的統制といった論点に加え、最近は教育の地方分権、自治体行政の一元化なども視点も加わり、自治体の首長からも教育委員会のあり方を問う声があがっているのが特徴かと思います。
私自身は、現在の教育委員会制度には運用面で多々課題があり、改善が求められているとは思いますが、一方で廃止論などには危うさも感じています。そこでまず教育委員会制度について、課題やあるべき姿について市長の見解をお聞きしたいと思います。
以下、教育長に教育委員会のあり方について提案と質問をさせていただきたいと思います。
私は教育委員会の改善課題として、開かれた教育委員会に向けて、透明性を高めていくことがなにより大切ではないかと考えています。各地で隠ぺい体質が問われていますが、やはり日頃の姿勢からではないでしょうか。教育委員会を監視するとかチェックするとかといった仰々しい話ではなく、保護者の皆さんはじめ市民の皆さんにもっともっと教育について、あるいは教育行政について関心をもってもらうという意味で、必要ではないかと思います。
そこでまず提案ですが、教育委員会の会議は地方教育行政法第13条6項で原則公開と定められています。定例会の日程を広報すずやホームページなどで積極的に公開し、傍聴手続きも市民の皆さんに周知してはどうでしょうか。会議録は情報公開の手続きを踏めば見ることができますが、多くの自治体ではホームページでの公開に踏み込んでいます。珠洲市も公開すべきだと思いますがいかがでしょうか。
また、教育委員の皆さんが集まっての定例会以外に、教育委員会が主催する会議も数多くあるかと思います。たとえばいま、多くの市民の皆さんにとって関心の高い小中一貫教育について、私もこの間の議論すべてに目を通しておきたいと思いましたが、出てこない記録がありました。基本的なことですが、それぞれの会議の会議録を情報公開条例の対象となる行政情報としてきちんと保存していくことが必要です。教育委員会主催の会議は何種類あり、そのうち会議録が作成されているのはいくつあるのか。また記録がICレコーダーなどで保存されているものはいくつあるのか明らかにしていただきたいと思います。
議会もよそのことを言えませんが、教育委員会も事務局の提案の追認機関になっていて、会議が形骸化しているとの指摘がマスコミを賑わしています。珠洲市の教育委員会の実態はいかがでしょうか。教育委員の皆さんの会議における提案が具体的な施策につながった事例がありましたらぜひお聞かせいただきたいと思います。
現在の教育委員会制度は、矛盾といいますか、限界を抱えていることもまた事実だろうと思います。教育委員会は市長から独立した行政委員会といわれますが、導入のモデルとなったアメリカの教育委員会制度との決定的な違いは予算編成権を持たないということです。教育分野の予算編成権や条例提案権は市長の権限であり、ここで大阪の橋下市長のように、どうやって予算査定をすればいいんだとの声もあがってきます。市長が任命された教育委員の皆さんですが、法律上、指揮監督権は及びません。一方、市長には市長の予算編成にあたっての思いもあるでしょう。市長との意見交換の場を定期的に設けて、意思疎通を図ることが珠洲市全体の教育を考えたときに大切なことではないかと思いますがいかがでしょうか。
あと一点、教育委員会への注文ですが、2008年に改正地教行法が施行され、教育委員会の事務の管理執行状況を毎年点検評価し、議会に報告し公表することが義務付けられました。4年前です。ところがいまだ議会に報告はなく、報告書自体作成されていません。具体的な点検項目や評価方法などは各教育委員会に委ねられており、様々な検討を重ねられているのかもしれませんが、法律に定められた義務違反の状態であることに変わりはありません。報告はいつ議会に提出されるのか、その準備状況も含めてお聞きします。
さて、今回のいじめ事件に話を戻しますと、文科省や県教委は相次いでいじめ対策を打ち出しています。必要な取り組みもあろうかと思いますが、世論向けで、現場の実態をどこまで踏まえたものかと思えるような項目もあるように思います。
国連「子どもの権利委員会」は、日本の教育の在り方について、以前から何回となく日本政府に勧告をおこなっています。1998年の初回勧告を紹介しますと「日本の高度に競争的な教育制度そのものが子どもたちに過度のストレスを醸成し、子どもたちの発達のゆがみを生み出している」と指摘しています。
次に全国学力・学習状況調査についてお聞きします。
今春実施された今年度の全国学力・学習状況調査の結果が先月公表されました。石川県は小中学生、いずれの科目も全国上位ということで、県教育委員会は一昨年策定したいしかわ学びの12か条の成果だと大喜びのようです。まず教育長に今年の調査結果についての評価をお聞きしたいと思います。
確かに調査とはいえ点数がつくからには上位となるのがうれしいのは誰しも同じでしょうが、学校現場では冷めた見方が多いように思います。石川県では、特に奥能登を中心に夏休みや春休みも登校し、過去の問題を解き、傾向を把握し、点数アップの指導をきめ細かくおこなっているのですから、こうした取り組みをおこなっていない県と比べて上位に行くのは特段はしゃぎたてるような話ではありません。特に知識を問うA問題に対し、活用を問うB問題は教科書で学ぶ授業だけではやや難問となるようで、過去問を繰り返し、 傾向を把握しているかどうかが、正答率に大きく影響すると聞きます。
市内小中学校では、過去の全国学力・学習状況調査の問題の解答練習や、その前後に実施されている調査に備えた補習はどれくらいおこなわれているのでしょうか。その実施状況をお聞きします。
あわせて、このような補習による成績向上分をどの程度見込んでおられるのかもこの際、お聞かせいただきたいと思います。
そもそもこの調査の目的は、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、改善をはかることとされています。要するに点数と教育環境や学習状況の関係を調べ、今後の教育政策の改善や教育指導の充実につなげていこうということです。
ところが立派な目的の一方で調査結果の分析をみますと「理科の勉強が好きな児童生徒は理科の正答率が高い傾向が見られる」とか「観察・実験が好きな児童生徒は理科の正答率が高い傾向が見られる」とか、思わず吹き出すような幼稚な記述がたくさん羅列してあります。これが30億円以上もの予算を投入しておこなった調査の分析かと思うと、笑うどころか腹が立ってくるわけですが、いずれにしても過去問を解き、事前の試験対策を徹底して調査に臨んでは、政策の検証を歪め、調査の本来の目的を果たせないのではないでしょうか。なぜ文科省からやめてくれと言われないのか私には不思議でならないのですが、教育長の見解をお聞きしておきたいと思います。
こんなところからも多忙化解消の取り組みができるではないかと思うのは私だけでしょうか。
さて、批判ばかりしていてもいけませんので、今年の調査結果をふまえて、ICTを活用した教育について、最後に質問をさせていただきます。
市内小中学校ではこの夏、ようやくパソコンと接続でき、DVDも映せる大型モニターが、各フロア一台ですが整備されました。やや前進ですが、普通教室ではインターネットに接続できないなど、他市町と比べるとまだまだ大きく後れをとっていると言わざるをえません。まず、市内の小中学校のICT整備状況について、教育長の現状認識をお聞きかせいただきたいと思います。
今年の全国学力調査では理科が追加され、はじめての実施となりました。はじめてですので過去問対策はなしです。この理科に関する調査結果の分析を見ますと、インターネットを活用した理科の授業をおこなっている学校が、活用していない学校より明らかに正答率が高いという結果が出ています。こういう分析をすぐに教育施策に反映してこその全国学力調査だと私は思います。市内小中学校の普通教室に早急にLANを整備すべきだともいますがいかがでしょうか。
普通教室ではインターネットにつながらないというのは珠洲の保護者の皆さん、こんなものと思っておられるかもしれませんが、全国的に見ても、県内で見ても、極めて少数派の域に入っています。今月に入り、文科省から全国の学校の情報化の実態を調査した結果が公表されました。今年3月時点の整備状況ですが、普通教室の校内LAN整備率を見ますと、全国平均は83.6%。石川県は平均を上回り87.2%となっています。この他、電子黒板のある学校の割合は、石川県は78.2%。デジタル教科書の整備状況は、石川県は全国トップの43%となっています。案外、全国学力調査の結果が県全体として上位になった要因はこんなところにもあるのかもしれません。
これらの調査項目、いずれも珠洲市が県内の整備率を大きく引き下げているわけですが、なにより私たちが認識しなければならないのは、こういう貧弱な教育環境の中で珠洲の子どもたちは学んでいるということです。学力テストの平均点が低いからと、暑い夏休みに登校し、汗を拭き拭き補習に励んでいるわけですが、教育行政として、力の入れどころが違っているとしか思えません。
能登町の学校に勤務する先生から、珠洲の学校にはいきたくないなぁとの声を聞きます。能登町の学校で電子黒板を駆使した授業実践を積み重ねているけど、珠洲ではできないからです。市内の学校からも電子黒板の整備を求める声があり、教育長の耳にも届いているかと思いますが、教育長は、使いこなせるか心配されておられるようです。いつ整備されるかわからないままなら準備もできません。市内小中学校のICT整備計画を策定し、各学校に明示すべきではないかということを最後にお聞きし、私の質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。
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