北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

司法、またもや安倍政権追随か?!

2017-11-21 | 脱原発
   

大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟控訴審の第13回口頭弁論が昨日(11月20日)、名古屋高裁金沢支部で開かれた。

私が原告団長を務める志賀原発差止訴訟は審理が尽くされたとして即時結審を求めているが、大飯訴訟は逆の展開となっている。

歴史的・画期的福井地裁の樋口判決を勝ち取った本件訴訟だが、高裁は一転、裁判長が被告関電の主張を受け入れ、一気に逆転判決に突き進むのかと危惧された。
しかし原告側の粘り強い立証で、被告関電の主張の根拠が弁論を重ねる度にほころびを見せ、崩れ始めた。
そして迎えた第11回の口頭弁論では島崎邦彦前原子力規制委員会委員長代理が証人尋問に登場し、関電の主張する大飯原発の安全性の根拠を一気に揺るがした。
被告関電は、ボクシングで言うならコーナーに追い詰められ、ノックアウト寸前である。
原告側は追及の手を緩めず、KOの決め手となる証人をさらに申請したが、なんと裁判所はこれを却下したのである。

被告関電に助け舟を出したと言わざるをえない裁判所の対応に、原告はただちに裁判官の忌避(裁判官を交代させよ!)を申し立てた。
ところがあろうことか忌避に関する特別抗告中の9月15日付けで、次回口頭弁論(昨日)での結審の方針を原告・被告双方に伝えてきたのだ。

緊迫感が漂う中の今回の弁論、慎重審議を求める原告や全国からの支援者200人以上(?)が裁判所に集まった。

私も傍聴券を求め、抽選の列に並ぶ。
運よく「当たり」で貴重な傍聴の機会を得た。

原告意見陳述は水戸喜世子さん。
原発に反対してきた科学者・故水戸巌さんのお連れ合いである。
原告側が準備書面として提出した水戸巌さんの講演録・著作である「原発は滅びゆく恐竜である」について、その講演内容の背景を紹介し、司法の責任を強く訴えた。

続いて、弁護団の笠原弁護士、甫守弁護士、原告の山本さん、そして島田弁護士が、基準地震動の策定や火山灰対策を巡ってさらなる審議を求め、証人尋問の必要性を訴える。

さらに原告席から原告代表の中島哲演さんら6人が次々と発言を求め、原告の立場から慎重な審議、証人の必要性を熱く訴える。

ところが内藤裁判長は、これだけ喋らせたんだからもういいでしょうと言わんばかりに、既定路線通り証人の申請を却下し、続けて弁論の打ち切りを宣言しようとした。
そこですかさず海渡雄一弁護士が立ち上がる。
あらためて裁判長の忌避を求め、その理由を理路整然と展開する。
さらに「『もんじゅ』の原子炉設置許可処分は違法」との判決を名古屋高裁金沢支部で勝ち取った経験を引き合いに、その後、高裁判決を覆した最高裁判決、そしていま「もんじゅ」の廃炉が決まった経緯などに触れ、歴史に耐えうる判決を訴えた。

しかし、内藤裁判長は海渡弁護士の申し立てを忌避権の濫用としてばっさり切り捨て、直ちに忌避の申し立てを却下。
鹿島弁護士が、「そんな権限はない」と訴えたが聞く耳持たずで内藤裁判長は弁論の終結を宣言し、裁判長席を立ち去った。

傍聴席からの「茶番だ!!」との怒声が法廷内に響き渡る。
「茶番」との指摘には訳がある。
実は内藤裁判官ら3人の裁判官は、福井地裁の樋口判決を覆すために最高裁が名古屋高裁金沢支部に送り込んだ再稼働人事ともささやかれてきたのである。
これで関電の主張を丸呑みするような判決が出るとしたら(その可能性が強いと思われる)、まさに高裁の審理は「茶番」だったということになる。

   

今朝の北國新聞の記事がなんともお見事。
大飯3、4号機再稼働の動きとまさにリンクした「茶番」の動きを明らかにしている。

2014年5月21日の福井地裁・樋口判決を受け、原告は「司法は生きていた」との垂れ幕を掲げたが、行政追随、安倍再稼働路線追随の司法に転落するなら「司法は死んだ」との批判を浴びることになるだろう。

志賀訴訟と直接リンクするわけではないが、このような司法の動きは決して看過できるものではない。
今後も「福井から原発を止める裁判の会」の皆さんはじめとした全国各地の原告団、そして再稼働阻止の全国の運動との連帯を強めていかなければならない。


コメントを投稿