北國新聞(6月18日)
石原環境相の発言が福島県民の猛反発を買っている。
詳細な経緯を知っているわけではないが、福島の復興ビジョンもなく、しかも福島第一原発事故の反省もなく原発復権に突き進む安倍内閣の大臣から、お金さえ積めば中間貯蔵施設を受け入れるんでしょって言われたら怒り心頭は当然である。
もっとも、現実問題として中間貯蔵施設は福島県内に設置するしかなく、「お金さえ積めば」はダメだが、「お金も積まなければ」ならないのはやむを得ない。
政府は双葉、大熊の2町に数百億円の交付金を検討しているとのこと。
片や福島県側は2町だけでなく県全体で数千億円は必要という考えとのこと。
算定根拠はまったく知らないが、前例が全くないケースであり、どんな理屈なのか、それぞれに聞いてみたい気はする。
ところで、「最後は金目」で思い出すのは、11年前、関電、中電、北電が珠洲原発を断念するにあたり珠洲市に迷惑料(手切れ金?)として拠出した27億円である。
計画を断念するからお金を支払わなければならないという決まりはない。
もともと珠洲市が誘致した計画だから、迷惑を被ったのはこちら(電力3社)の方だ!と開き直るという手もあったかもしれない。
しかし、そこはさすがに大電力会社。
実態は、当時の貝蔵市長はじめ推進派の人たちに撤退を受け入れさせる手入れ金の意味合いが強かったように思うが、表向きは珠洲の地域振興に協力するといいながら結局果たせなくなったので、今後の地域振興のための資金としてどうぞ!となったのである。
推進派の皆さんへのお金ではなく、珠洲市への寄付である。
一社あたり9億円、3社合計27億円。
これが大きいのか、小さいのか。
算定根拠は?と聞かれても誰も答えようのない額である。
「撤退するんなら1年あたり10億円、28年で280億円置いていけ」という勇ましい話も飛び交った。
電力会社が長年植えつけてきた原発依存体質が、最後の最後までむしり取ってやろうという根性を生み出したともいえる。
様々な駆け引きを経ての27億円。
電力会社にとっては、法的な根拠のない各社9億円の支出は、株主総会で株主に理解が得られるギリギリの線との判断もあったやに聞く。
いずれにしても珠洲市にとっては貴重な臨時歳入。
補助金などと違って使途が制限されない財源であることも大きな魅力であった。
2004年には珠洲市からの出資1億円を加えた計28億円として地域振興基金がスタートした。
あれから10年。
様々な地域振興事業に使われ、残りは約20億円。
成果が見えないとの批判もあるが、財政基盤の脆弱な珠洲市にとっては貴重な財源として活用されてきた。
さて、福島の「金目」は最終的にどこに落ち着くのだろうか。
珠洲と違って、福島は放射能との付き合いが続く中での迷惑料である。
金額を巡る交渉も、その使用方法も、その困難、察するに余りある。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます