北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

一般質問の原稿をどうぞ

2016-12-13 | 珠洲市議会
珠洲市議会12月定例会。
今日は一般質問で10人が登壇。
先の緑丘中学校野球部の事故を受けて、部活の遠征費の保護者負担額の軽減やのと里山海道の安全対策などについて質問が相次ぎました。
以下は私の今日の質問原稿です。ちょっと長いですが、時間がある時にご笑覧ください。

※正式な議事録ではありませんので、引用は慎重に願います。
※近日中に答弁も報告します。

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先月たまたま2回、七尾氷見道路を走る機会がありました。昨年2月の開通以来実は初めて走ったわけですが、センターポールの多さに驚きました。しかもポールとポールの間には高さ10センチ程度でしょうかブロックが埋められています。設置者が違うとはいえ、同じく能登を走る自動車専用道路なのに安全対策に随分違いがあり、知らなかったことに忸怩たる思いがしました。これで緑丘中学校の事故が防げたかどうかはわかりませんが、まだまだ声を大にして言わなければいけないことがたくさんあるということを痛感しました。通告に従い質問に入ります。

まず北陸新幹線についてお聞きします。
金沢開業効果の喧騒冷めやらぬ中、議論は関西と北陸をつなぐ敦賀-京都間のルート問題に移りました。富山県、福井県が小浜‐京都ルート、滋賀県が米原ルート、京都が舞鶴ルート、そして今月に入りようやく谷本知事が小浜‐京都ルート支持を表明する中、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームは小浜‐京都案で大筋合意し、明日には報告書をまとめ、20日に最終決定し、政府・与党で合意する見通しと言われています。
この間、沿線各府県の議論で迷走を極めたのが石川県でした。原因は昨年の9月県議会で自民党などの賛成多数で可決された米原ルートの決議です。最も工期が短く安価であること、そして中京圏へのアクセス向上が選定の主な理由でしたが、では逆に関西圏とのアクセスや全線開通後のビジョンはどうなのか、営業主体であるJR西日本や沿線自治体の意向はどうなのか、実に拙速な決議でした。
その後、営業主体であるJR西日本が小浜ルートを提案していることが明らかとなり、今年の3月には福井県議会が小浜ルートを支持し、富山県議会も同調していきます。
石川県議会の決議はルート選定を巡る議論をリードしたいとの自民党ベテラン議員の思惑があったようですが、4月の与党プロジェクトチームの中間報告や、これを受けての11月の国土交通省からの調査結果が出る中で、議論をリードする役割は全く担えませんでした。むしろ谷本知事の発言を縛り、北陸3県の足並みの乱れを浮き彫りにするマイナス効果しかく、米原ルートの旗をどこで下すのか、そのタイミングを周囲から心配されるような情けない有様となりました。
北陸新幹線の計画の発端は東海道新幹線に対する北回り新幹線構想でした。東海地震の発生が確実視される中、整備新幹線と位置付けられようとも、日本列島の東西を結ぶ最重要かつ不可欠のインフラであることに変わりはありません。しかし、もちろん北陸は通過地点ではありません。昨年の金沢駅開業効果に続き、京阪神大都市圏1900万と北陸圏との接続による利活用に大きな役割が期待されているからこそ、敦賀以西の工事費を負担するわけでもない石川、富山ですが、ルート選定についての発言も重視されてきたわけです。県内首長では小松市長が米原ルート、白山市長、加賀市長が小浜‐京都ルート支持を表明してきました。奥能登にとっても交流人口の拡大や地域経済への影響の大きさを考えれば、県議会におまかせ、あるいは南加賀に沿線地域におまかせとすることなく積極的に発言していくべきではないかと私は思います。
ちょうど与党プロジェクトチームの報告書がまとめられる前日ということでもありますので、敦賀‐京都間の3ルートについて、珠洲市や奥能登にとって最も望ましいルートはどれなのか、その理由も含め市長の考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
また、奥能登2市2町で意見をまとめ、知事に対して要望していく機会を設けるような動きがこの間、あってもよかったのではないかと思いますが、合わせて所見をお聞きします。

次に奥能登国際芸術祭についてお聞きします。
珠洲市議会で芸術祭の議論がスタートした2年前の3月議会で私は「地方のまちおこしと言えばアートかB級グルメ」と言われるほど百花繚乱の中の奥能登国際芸術祭だと指摘しました。その傾向は安倍政権が地方創生の音頭をとる中でさらに顕著になっています。この秋も瀬戸内国際芸術祭はじめ各地で芸術祭が目白押しでしたが、来年9月3日の奥能登国際芸術祭開催までの264日の間にも、都市部では札幌国際芸術祭や横浜トリエンナーレ、地方で開催されるものでは2回目となる中房総国際芸術祭いちはらや初開催となる北アルプス国際芸術祭、同じく初開催となる宮城県牡鹿半島など津波被災地を舞台としたReborn-Art Festival、変わったところでは種子島宇宙芸術祭なども新たに予定されています。
もう一つ、芸術祭の根本的なあり方を巡る議論も活発化しています。火付け役は文芸評論家の藤田直哉さんが2年前の秋、文芸誌すばるに書いた「前衛のゾンビたち」という評論で、この種の評論としては異例とも言える大きな反響を呼びました。今年2月にはその評論をベースにしてアーティストやキュレーター、美術史の研究者など様々な分野の方との対談や論文が掲載された「地域アート」という著書が出版され、これまた異例の増刷が重ねられています。
芸術祭については1年ぶりの質問となりますが、最近のこうした動きや、私自身、先月瀬戸内芸術祭の視察にも行ってきましたので、そのあたりも踏まえて、以下質問させていただきます。
関係者の皆さんが開催準備で奔走されている中ではありますが、気がかりな点がたくさんあります。特に予算関係が心配です。本来ならば予算案が計上される3月議会で取り上げるべきかとも思いましたが、あえて予算編成前のこの段階で取り上げさせていただきたいと思います。
まず実行委員会予算からお聞きします。さる11月1日の地域振興特別委員会で報告された来年度の地域振興基金の充当予定事業一覧を見て驚きました。奥能登国際芸術祭開催準備事業として2億5千万円、奥能登国際芸術祭推進事業として5千万円、そして芸術祭開催にかかる基盤整備事業として3千万円。計3億3千万円が充当予定とされています。もちろん他の財源が確保されれば、最終的にこれらすべての額が充当されるとは限らないと思いますし、芸術祭関連予算も含めての額かもしれませんが、仮にこの充当額に、芸術祭の準備を始めた平成26年度決算の1千3百万円、27年度決算から余剰金返還分を除いた2千7百万円、28年度予算の1億5百万円を加えると約4億8千万円となります。第1回芸術祭開催の実行委員会予算総額はこれが上限でしょうか。それともまだほかの収入も見込んでさらに膨らむ可能性もあるのでしょうか。まず確認させていただきます。

昨年公表された奥能登国際芸術祭基本計画で示された予算は3億円、今春公表された実施計画でも同じく予算は3億円と記されています。現状、この予算を大きく上回ることは確実かと思いますが、増額要因についてもご説明いただきたいと思います。

いずれにしましても、芸術祭開催に向けての珠洲市の実行委員会負担額どんどん膨らんでいるのが気懸りです。全国見渡せば大小合わせて100は超えるという芸術祭ですし、政令市のような大きな自治体ならば別格だと思いますが、実行委員会予算が10億円を超える瀬戸内国際芸術祭であっても、香川県の負担額は2億円、大地の芸術祭の主会場である十日町市の実行委員会負担額も8千8百万円程度です。奥能登芸術祭とほぼ同じような規模の中房総国際芸術祭をみても主会場の市原市の実行委員会への補助金は約1億5千万円です。北川フラム氏が総合ディレクターを務めるこれらの芸術祭をみたとき、1自治体の3年間の負担が2億円を超えるところはありません。こうした中、財政規模の小さい珠洲市がこれら先行する自治体を上回る負担額で開催に向かっています。これではたとえ二つ目の財布のような地域振興基金があろうとも持続可能性という意味で無理があり、将来の珠洲の財政にも禍根を残すのではないでしょうか。来年度の地域振興基金充当額の減額に向け、文化庁の補助金やパスポート販売などが期待されるわけですが、見通しをお聞かせください。

 次に実行委員会予算とともに、ある意味ではそれ以上に心配なのが芸術祭関連予算の膨張です。昨年の大地の芸術祭を見ますと、実行委員会予算6億2千4百万円に対して芸術祭関連も含めた全体事業費はほぼ倍の11億4千6百万円。うち、十日町市の単独事業費は3億2千3百万円にも上ります。事業内容を見ますと、定期観光バス運行事業や廃校舎・空家再活用事業、施設の改修費などが盛り込まれています。瀬戸内国際芸術祭では、香川県が芸術祭効果を県内各地に及ぼすことを狙って1億3千4百万円の県費を負担しています。
関連予算が最終的にどの程度となるのか現時点では示せないとは思いますが、すでに支出済みの予算、支出が確定している予算、今後支出が見込まれる事業についてお聞きしたいと思います。

 予算関係の質問でもう一点、参加する各アーティストとの契約金額、公募企画のプロジェクト費への補助金額、これは奥能登芸術祭の場合、最大200万円が補助されることになっていますが、それぞれについて、算定基準も含め公表すべきだと思いますがいかがでしょうか。
 これについては議場におられる多くの皆さん、どう思われるでしょうか。「そんなわけにはいかんやろ」と思われるでしょうか。それとも実行委員会方式とはいえ事実上予算の大半は税金ですので透明性を高める意味でも公開すべきと思われるでしょうか。
 自治体が美術品を購入する場合は当然ながら予算に計上されます。設計を委託する場合も同様です。また、現代アートの作品でも通常はギャラリーで価格を表示して販売されます。作品によってはコレクターがオークションに出し、多額の売買が話題になることもあります。芸術祭の作品はその場限り、その時限りの作品ですから、マーケットの中で価格が決まるわけではありませんが、アーティストによって自ずと相場というものがあるだろうと思います。また、作品の製作プランによって材料費や滞在費、交通費のなどの経費も算出されるでしょう。
税金の使途の透明性の確保という意味で私は公開して当然だと思いますが、それに加えて、税金を使ってアート作品を作る意味、税金を使って芸術祭を開催する意味を市民の皆さんやアーティストの皆さん、そして作品を批評する方も含め、共に考えていくきっかけになればと思うからです。
 先に紹介した藤田直哉氏の著書「地域アート」は、昨今の芸術祭ではアートが地域振興や地方創生と言った行政の課題実現のための道具のように扱われているのではないか、社会や政治にかかわっているようで、かえって社会や政治を変える力をなくしていないかと問題提起しています。制度に取り込まれたアートが果たして生き残れるのかという芸術祭の根幹に対する問いかけがありました。これに対してこの秋に開催された茨城県北芸術祭の総合ディレクターを務めた森美術館館長の南條史生(ふみお)氏は「アートが地域社会のためにあるというのはアートが民主化したと言えるのではないか」との反論を展開しています。私はアートが民主化して本当にいいのかなと思いますが、アートの民主化ならばなおのこと、住民はアーティストの知的労働に価値を認め作品の製作や展示に協力していく。アーティストも住民に媚びることなく自分への評価に芸術の独自性をもって応えていくことが大切ではないかと思っています。

次に期間中の来場目標3万人についてお聞きします。
2013年の瀬戸内芸術祭は来場者107万人と発表されました。総括報告書でもそのように記載されています。しかしその一方で浜田恵造香川県知事は県議会で実数を問う質問に対して約30万人と答弁しています。さらに言えばパスポート購入者の合計は9万2千枚となっています。
昨年の大地の芸術祭は来場者51万人と言われていますが、パスポートの販売は6万3千枚、個別鑑賞券をすべて加えて12万2千枚となっています。中房総国際芸術祭は目標20万人に対して入場者数は8万7025人と半分にも達しませんでした。しかもこの数字は全会場の来場者の合計です。そこでさすがに経済波及効果を計算するときには一人当たり4か所回っていると想定して実来場者数は4で割って2万1756人として計算しています。
 来年夏に第一回の開催を迎える北アルプス芸術祭は、当初5年間で78万人の入り込みを見込んでいましたが、見込みが過大だったとして一桁ダウンの7万5千人に変更し、芸術祭期間中の入り込みも当初の9万人から2万人に変更されました。
屋外の、しかも有料、無料の施設もあれば、ワークショップなどイベント的な会場もあるのでカウントが難しいのはわかりますが、それにしても違いが大きすぎます。マスコミ受けを狙ったり、経済効果を大きく見せたいときは大きめの数字をはじき出したいのはわかりますが、しかし、実数に近い数字で計画を立てないと移動手段の計画や宿泊見通し、あるいは土産物の開発、生産する計画にも大きな影響を与えます。奥能登芸術祭の来場目標3万人はどのようなカウント方法を採用しての数字でしょうか。お聞きします。
3万人という目標ですが、私は実数としてもそれほど高いハードルではないのではないかと思います。開催期間50日間は秋祭りシーズンであり3連休2回を含む秋の行楽シーズンでもあります。40の地区で祭りがあり、昨年のデータですが、蛸島、大谷、正院、寺家の4地区の祭りの観光客の入り込みだけでみても1万3千人となります。9月10月2カ月の日帰りの入込者は新幹線開業前でも14万人、もちろんこれは実数ではありませんが、実数である宿泊者に絞っても1万1千人を超えています。近隣自治体や金沢方面からの日帰り来場者も見込めますから、来場目標3万人は果たして妥当な数字でしょうか。過大な見通しも問題ですが、予算の増加が見込まれる状況でもあり、費用対効果を考えても目標もチャレンジングなレベルまで引き上げるべきではないでしょうか。
関連して誘客方針についてお聞きします。
先月、瀬戸内芸術祭を訪れて、なによりまず驚いたのはあまりにたくさんの海外からの来訪者でした。宇野港へ向かう電車の中、台湾や韓国などアジア系の方が大半だったので正確にはわかりませんが、8割から9割は海外からの方で、外国人用の貸し切り車両かとドキッとしてしまうほどでした。宇野港到着後、多くの外国人観光客は瀬戸内芸術祭一番人気の直島行きのフェリーに乗船し、私は直島へ。直島でも、電車の中ほどではありませんが、至るところに外国人がいます。外国人がどれくらい来場しているのかについての正確な数字はなく、香川県がまとめる報告書を見てもおそらくは調査方法による限界だろうと思いますが、実態は反映していないように思います。
そんな中、島で作品会場の受付をしているボランティアの人、バスの運転手さん、船着き場で案内をしている方などに伺うと、おおよその傾向は見えてきました。紹介しますと「6割くらいがアジア系の外国人。特に台湾が一番多いかな」という人、「台湾、韓国、香港、中国からの人が半分以上」という人、「ここの港に到着する観光客は、台湾などアジアを中心に多い時には9割が外国人」という人。整理するとアジア系で半分以上、さらに欧米などからの人を加えると6割以上は外国人という感じです。外国人急増の要因は高松空港の国際化による台湾、韓国、香港、中国各国との路線の充実です。もちろんエージェントとの交渉もしっかりやっているのでしょう。
海外からの誘客はもちろん参考にしなければなりませんが、もう一つ注目しなければならないのは瀬戸内芸術祭の入り込み発表が前回の107万人に対して今回は104万人と若干減らす中での外国人の急増だということです。つまり、あの瀬戸内芸術祭でも国内からの来場者はかなりの割合で減少していることに注目しなければなりません。
全国各地で林立する芸術祭の中で芸術祭ファンが急増すること普通考えにくく、多くの市民、若者が年に数回も芸術祭目当てで国内旅行できるような景気の回復もありません。必然的に国内では各地の芸術祭への分散傾向が進んでいるということだと思います。こうした中、春には北川フラム氏が手掛けた中房総国際芸術祭、夏には北川氏が総合ディレクターを務める北アルプス国際芸術祭も先行して開催されるなど、先ほど触れたように各地で芸術祭が目白押しです。どのような誘客方針で臨むのかお聞きします。

 芸術祭の質問の最後はヨバレについてです。
ヨバレは、今日では一般的に祭りの日に親戚や友人、職場の同僚、仕事などでお世話になっている人などを自宅に招いて、日頃の感謝の気持ちを込めてもてなす風習を意味してると思いますが、芸術祭ではヨバレの風習が食文化の源流として紹介されています。郷土史的に、ヨバレの起源や地域による違いなどは、どのように解明されているのでしょうか。今更ながらという感じもしますが、まずお聞きしたいと思います。
あらためてこんなこんなことをお聞きしたのも、参加費を払い、初対面の人の家で、仕出し屋さんの料理をいただくヨバレ体験ツアーや、いつ行っても食べられるヨバレ食堂などは、いくらヨバレの風習が時代とともに変わってきているとはいえ、今日の一般的なヨバレともかけ離れすぎの単なる観光ヨバレになりそうだからです。旅先の土地で太鼓や鐘の音を聞きながら地元の人とおいしい地物の料理を味わいながらゆっくり会話ができること自体はツアーの大きな魅力だとは思いますが、食文化の源流がどこにあるのか見えません。ヨバレ体験ツアーは芸術祭参加者に何を伝える企画なのでしょうか

次に親子議会についてお聞きします。
今年で第10回を迎えました。子どもたちの質問も、最近の学校でのふるさと学習の成果がしっかり現れているものもあれば、家庭の中の会話からヒントを得て、調べ学習でさらに掘り下げて書き上げたと思われるものなど、年々レベルも上がってきているように思います。議場では緊張しながらも堂々とした発言で自信をつけ、そして市長からの丁寧な答弁を聞き、市政への関心をより高め、理解も深めているように思います。親子議会の1期生はそろそろ被選挙権を得て立候補可能な年齢となります。ぜひ市政に挑戦する人も出てきてほしいものです。
そこで、これまでの積み重ねを評価しながら、その意義をより高めるために一つの提案をさせていただきたいと思います。
登壇した子どもたちにとって親子議会がいかに貴重な場であったかはその後の感想文集でもよくわかります。一方、市長の方は子どもたちからの質問や提言を受け、どのように市政運営に反映していったのでしょうか、あるいは参考にしたのでしょうか。丁寧な答弁だったけどその後どうなったのかわからないという声も実は耳にするわけです。そこでぜひ議場で子どもたちの発言の成果を学校に還元していただきたいと思います。これによって参加した本人の充実感につながるのはもちろんのこと、後に続く子どもたちにとっても「よし、自分も頑張ろう」という意欲の向上につながります。あるいは先輩の質問の成果をさらに前進させようという次の質問につながるかもしれません。せっかくの提言が前に進まないのなら自分が市長をやろうという子も出てくるかもしれません。いずれにしても親子議会が市政への参画を実感できる主権者教育の場としての意義が増すものと思いますがいかがでしょうか。

最後に全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストについてお聞きします。
6月議会で、当時の馳浩文科大臣の「過去問やって順位争いするなんて情けない」という発言を引用し、学校現場の異常さを指摘しましたが、皮肉なことに今年度は順位争いの成果が一段と現れ、石川県は小学6年では3科目で全国1位、中学3年でも2科目が2位になるなど上位に入りました。できなかった問題が解けるようになるのは、本人はもちろん、親としても、そして教える教師としてもうれしいことに違いありません。しかし、学校が学力テストで測られる学力に偏重した教育の場になると様々な弊害が生じます。その具体例として県内の不登校児童生徒数の増加があります。
中学校の不登校生徒数は1999年から2006年までが800人台で推移していましたが、現在の学力テストがスタートした2007年からほぼ毎年900人台へと増加しました。生徒数減少の中ですから率としては上昇傾向が続いているということです。増加傾向が顕著なのが小学校です。1990年代からずっと200人前後と横ばい傾向だったのが2012年から急増し昨年は322人となっています。特に5年生は2011年の40人に対して昨年は95人と2倍以上の増加となっています。2012年に学校で何があったのか。教育長はご存じだと思います。石川県教委が学力テスト対策として評価問題を導入した年です。学力テストは新学期の4月に実施されますから事前のテスト対策は5年生に集中します。まさにその弊害、学力テストの負の側面ではないでしょうか。
文科省は先の馳大臣の発言を逆手に取り、対象学年や対象教科だけでなく、全学年、全教科を対象として学力の改善に向けた取組を検討するよう求めています。一段と学校が息苦しくなるのではないかと危惧します。
そこで今回は以下4点、学力テストを巡る私の素朴な疑問を質問ださせていただきたいと思います。
学力テストの調査問題については、田中前教育長時代から一貫して「これぞ学ぶべき内容」との答弁がありました。「これぞ学ぶべき内容」と言われれば、皆さん、運転免許証取得にあたっての学科試験のようなものをイメージされるのではないでしょうか。満点に近い点数を取ってもらわないと危なくて困ります。しかしこの学力テスト、例えば活用力を問う小学6年の算数B問題の石川県の平均正答率は53.5%、中学3年の数学B問題は48.8%です。学ぶべき内容なのに正答率は約50%前後です。ところがこの結果で小6は全国1位、中3は全国3位とのこと。ということは、日本全国の教育レベルが相当落ち込んでいるか、あるいは問題自体が学ぶべき内容を大きく逸脱しているかのいずれかだと思います。実際私もB問題を解いてみたことがありますが、なかなかの難問だなあというのが率直な印象です。教育長の見解をお聞きしたいと思います。

続いての素朴な疑問ですが、「これぞ学ぶべき内容」ならば、学習指導要領をもとに作成された教科書を中心に、教員の創意工夫により適切な教材を活用活用した授業によって本来解答できる力がつくものではないでしょうか。2007年以降に採用された先生は学力テストが廃止になったら授業できなくなるんじゃないかという笑い話があるほど、教室は学力テスト対策に比重が移っています。なぜそこまで学力テストとその結果の分析や対策に心血注がなければならないのか不思議でなりません。見解をお聞きします。

素朴な疑問の3点目ですが、学力テストが始まって10年。石川県は当初から上位に位置付けてきましたが、大学入試センターの成績は振るいません。同じく上位の秋田、富山、福井も同様で、都道府県レベルでみると全国学力テストの結果と大学入試センターの成績との相関関係は見られないわけです。もちろん大学入試センターが求める「学力」こそが子どもたちに求められる学力だとか、その対策を小学校からせよと言いたいわけではありません。心配なのは学力テストに対する県全体の過剰反応が、子どもたちの次の発達段階の伸びしろを奪っているのではないかということです。教育長は大学入試センターの成績が振るわない原因はどこにあると考えておられるでしょうか。

質問の最後は学力テスト成績ランキングについてです。学力テストに参加する県内209の小学校、91の中学校の成績ランキング一覧が作成されており、市内各学校の管理職に配布されてると聞きます。これではいやが上にも点数を意識し、競争に駆られるのではないでしょうか。教育長の見解をお聞きして質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。


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