北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

なかなかいいぞ、自治研集会

2010-11-06 | 活動報告
    
2日目の分科会は満足度100%。

 そもそも参加のきっかけは、自治労本部から石川県平和運動センターが取り組んだ国民保護実動訓練監視行動についてレポートを書くよう依頼されたことにはじまる。レポートを書いて提出するだけかと思っていたら、参加して報告してほしいとのこと。自治労石川県本部は石川県平和運動センターに加盟しておらず、本当に僕が行っていいの?と何度も念を押しながら、報告の機会をもらうことはありがたく、喜んで引き受けさせてもらった。
 
 報告は第10分科会「自治体から発信する平和・人権・共生のまちづくり」で、短い時間だったが、この間の石川県内の有事体制強化の動きと、監視行動で明らかにした問題点を説明させてもらった。座長の今川正美さん(佐世保出身・元社民党代議士)から、突出した石川県の動きに対し、「毎回しっかり監視行動をおこない、報告書までまとめているところはないのではないか」と報告を要請した理由を話していただいた。その後、参加者から「石川からの報告は衝撃的だった。そこまでいっているとは・・・」との感想もいただいた。これまでの平和フォーラムの関係の集まりでは報告する機会があったが、全国の自治体労働者が集まった場での報告という貴重な機会を与えていただき感謝である。
 分科会は三重大学の児玉克哉教授の基調提起にはじまり、宜野湾市職労から普天間基地問題の取り組みの報告、そして私の報告と続いた。児玉教授からは、2000年に入り自治体財政は急激に厳しくなり、自治体外交や平和行政への予算は大幅に削減されている。自治体合併問題を経て、自治体の議論が内向きになり、平和行政については、予算がない、関心もない時代に入ったと、崩壊する自治体の状況を端的に指摘した。宜野湾市職からは事実上の知事選に突入している沖縄のたたかいの直近の様子も含め報告があった。

 午後はこの分科会の2本目の柱である外国人労働者の問題である。珠洲にも中国やインドネシアからの「研修生」がいるので聞いてみてもいいかと思いつつも、珠洲市政の中の大きな課題とも思えない。他の分科会にも面白そうな報告が目白押しで、席をはずして違う部屋に行こうかという考えが頭をよぎった。結局、席を立つタイミングを失したのと、外国人労働者についての話はあまり聞く機会もないからまあいいか、ということで聞き続けることにした。
 結果的にはこれが大正解で、午前中以上に午後の内容はすばらしかった。児玉教授からの基調提起に続き、群馬県太田市に住むブラジル生まれの日系2世・井出口セシリアさんから報告が続いた。外国人労働者を取り巻く環境や課題、日本人への要望など、日系2世であり、かつ外国人児童生徒サポートをしている立場ならでは具体的かつ率直な指摘は胸を打つものがあった。さらに中国人研修生の労基法違反問題や豊田市の外国人労働者の状況のレポート報告が続き、この問題が国政、地方行政、さらには日本社会のあり方を問う重大な課題だとわかってくる。

 極めつけはジャーナリストの安田浩一さんからの報告だ。労基法違反の低賃金・長時間労働の中国人研修生問題は、単なる労使問題ではなく、日中双方に横たわる闇社会の問題であることを、命がけの取材体験を踏まえて告発し、支配・服従関係におかれている研修生問題は人権問題ではなく人格問題だと訴えた。「Made in Japan」の多くが「Made by chainese」であり、すべての日本人が無関心ではいられない問題だと指摘した。

 多文化共生が行政や市民団体の間でもかっこよく語られるが、日本人を嫌っている外国人ロ労働者が多くいる現実、そして本音で外国人労働者と交流したい日本人がどれだけいるのか、心もとない現実の中、井手口さんが語った「私の夢」・・・「同じ地域で生活している人たちと国籍文化関係なく、互いを認めて支えあい元気で明るい町作りを実現したい」という願いが参加者の心にしみ込んだ。
 
 労働運動がようやく正規雇用の労働者だけでなく非正規雇用の労働者に目を向け始めたが、外国人労働者までは目が向いていない。ここに自治労運動に限らず日本社会の大きな問題点が潜んでいることを明らかにしたすばらしい分科会だった。

 参加して大正解!!
 


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