<前回からの続き>
その晩は下田代の弥四郎小屋に泊まった。一泊2食で均一料金8500円のはずが、福島の災害復興補助金がついて2000円安くなっていたのは望外の喜びだった。
白い窓枠がレトロな雰囲気の弥四郎小屋
部屋からの尾瀬ヶ原。正面は至仏山。
少し休んでから黄昏まぢかの木道を歩いた。振り返った正面が下田代。尾瀬小屋、第2長蔵小屋、原の小屋など山小屋がいくつか固まっている。後ろの山は燧ケ岳。
この日の消灯は9時。闇の中の尾瀬ヶ原は寂として音もなく、いち早い寒さで秋の虫たちはとうに死に絶えたのだろうか、時折山の向こうで静かに雷鳴が光るだけだった。
翌朝は5時前起床、夕べの雨はそれほど大したことはなかったようだ。準備を終えてからパック詰めしてもらった朝食を部屋で頂く。5時半になった。思ったより外は明るい。この分では懐中電灯の出番はなさそうだ。
6時少し前には小屋を出ることができた。
尾瀬沼方面への分岐を過ぎると、山道というより沢筋の道を登っていくことになる。だんだんと周囲が明るくなってきた。
たくさんのキノコが生えている。が、名前も食用かどうかも分からない。
どれもこれもが美味しそうなのだが……。一時間ほども登っただろうか、視界が開け草紅葉の尾瀬ヶ原が見えてきた。
さらに登って2000mを超えたあたりから、ゴゼンタチバナやシラタマノキが多くなってきた。
それまでは時折あった日差しがガスに遮られ、風が冷たくなってきた。
やっと稜線に出られたようだ。視界はあまりきかない。
シャクナゲやリンドウ
コケモモやガンコウランの実
やっと燧ケ岳の頂上の一つ、柴安(ぐら)2356mについた。ほぼ3時間の登りだった。標識に載せてあるのは赤い手袋。
いったん降りて再びもう一つの頂、俎(まないたぐら)へ上る。
ガスで展望はきかないのでミノブチ岳は断念。風も強いので小休止ののち御池方面へ下山。
北側の斜面に出るとなお一層風が強くなってきた。葉や枝先が凍っている・
枝に絡みついた蜘蛛の巣のような氷
1時間下って熊沢田代
タケシマランの赤い実
ここはずいぶん高低差のある湿原だ。
200mほど先はガスの向こうに消えている。
ハート型の池塘
振り返ると
さらに30分下って広沢田代、ここはずいぶん大きな湿原だった。
林道が見える
下りは2時間と少しで御池にたどり着いた。一寸ペースが速かったせいか、左足が攣りそうになってしまった。
予定より1時間以上も早く着いたので、御池ロッジの日帰り入浴(500円)でバス時間を待つことにした。会津高原駅まで1時間50分のバスは寝入ってしまったせいかずいぶん短く感じられた。
この辺で。