私たちの目の前にあるまち並みは、今突然出来たものではなく、「今までのまち並みが置き換わってきて形成されたもの」あるいは「かつてのまち並みが置き換わりつつある過程」と考えてみましょう。そうすると、深谷の昭和30年代の写真(ブログ2011.8.27)のように、それなりに美しいバナキュラーなまち並みを構成していた建築が一つ一つ置き換えられてきた結果が今のまち並みということになります。
もし現代のまち並みが美しくないとすると、私たちは、今まであったものよりも美しくない建築を作り続けてきたということになります。これが、まち並み問題の本質のような気がしています。
念のために補足すると、かつてあった美しいまち並みを構成してきた建築を「残さなかったことが問題」ではなくて、以前より「醜い」建築で置き換えてきたことが問題なのです。
まち並みというものはくらしや時間とともに常に変わり続けるものですから、決して「昔あった美しい街」をそのまま残すというのは無理だと思います。以前そこにあった建築より「美しい」建築をつくればよいのです。もちろん「美しい」建築は周辺との調和や歴史への尊重が十分考慮されたものである場合が大多数でしょう。
もし、今から置き換えようとする建築が以前より「美しい」という確信が持てない場合には、今そこにある建築をとりあえずはそのままおいておくことが望ましいでしょう。
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