社会が求める人材に成長させる仕掛けを創りたい
【第25回】文部科学省 中村隆之氏
佐藤 中村さんはプライベートでも民間の方と、人材育成について議論を重ねているそうですが、そんな経緯があったんですね。今は、どのような方々と、どんなことを考えていらっしゃるのですか?
中村 メンバーは、起業家を中心に、人材、建設、教育、コンサルティングといった産業界有志のほか、エンジニア、弁護士、教員、学生もいます。行政官の私も含め、みんな背景はバラバラ。実際に人材育成に直接は携わらないような方もいますが、それは関係ない。決して人材育成を他人任せにしてはいけない、自らの責任として何かしなくてはいけないと、志に熱く燃えている方々の集まりです。
この“サラダボウル”の中で、ひたすら膝をつき合わせて議論していくうちに、埋もれている価値の高い動きをいろいろと捉えることができるようになりました。これは人材の隘路の問題で活用できるのではないか、ということが、気づかないだけで、相当たくさんあるんです。
佐藤 例えば、どのようなことですか?
中村 いつでも声が掛かれば、教育現場に経験豊富な社会人としての自社人材を送り込めるよう、準備を着々と進めている企業があります。人材育成が危機的状況になっているのなら、それは企業そのものの存亡に直結する。これはゆゆしき事態だと認識しているのです。
だからこそ、企業はその現場に活きてくるような教育を求めている。意識の高いところだと、教育現場へ協力するための、数千人規模のボランティアのプールすら既に持っているというんです。
企業が教育といったフィールドにボランティアを送り込みたいのは、社会貢献、ブランド価値の向上、そういったものだけではなく、人材育成という「社会的責任」を果たしたいという考えがその根底にあるからです。そういった部分もどんどん活かしていければ良いのに、と僕は思うのです。
佐藤 目標を掲げるだけではなく、実際に数千人のボランティアのプールを持っているというのはすごいですね。企業から強いメッセージがあれば、教育サイドとしても、その思いを受け止められればいいですよね。
中村 驚いたことに、メンバーから聞くと、本音のところ、もう企業は学校の現場で教えたくて仕方ないみたいなんです。自分たちのできること、得意なことからすぐにでも教えたいと。
そんな彼らは、自らの利益とかそういったものを越え、人材育成を企業の社会的責任として意識している。決して他人任せにしない、自分の責任として教育を捉えているのです。
この声は、決して1つではない。僕は何とかしてこの志をうまい形で集め、何らかの方法を用いて日本中の様々な教育現場に溶け込まし、こういった力を上手に活かすことはできないか、なんて考えています。
働く意味を学生に悟らせる
佐藤 企業の社会的責任として行動している企業があるのはとても素晴らしいことです。最近話した大手ビール会社の教育統括をされている方も同じようにお考えでした。
学生の意識や教育レベル低下は「企業にとってもリスクであり、損失で、それをカバーするためにも、よりよい社会を目指すためにも、将来を担う若手に教えたいのだ」と。また、学生のうちからそのような教育をされていれば、教育に集中的に予算投下できない中小企業にとっても、願ってもないことではと思います。
中村 まだまだ、これは新しいうねりの初歩的な部分に過ぎないかもしれませんが、学校の現場の先生方にもたいへん良い刺激になるし、学校が地域に対して開かれていく今の流れにも適うものだと思います。こういう動きを創っていけば、家庭、地域、企業の社会みんなで未来の人材を育むという姿勢がさらに醸成されるはずです。
佐藤 そうだと思います。そのビール会社の方もそうで、これから一緒に教育の勉強会をしようという話にまでなっています。同じ志なら、何か一緒にできるといいですね。
ここに登場する、中村さんは、新進気鋭の文部官僚。学校と企業との結びつきをボランティアの観点で積極的に考えていこうという。企業の思惑と学校との結びつきは、えてして学校からは否定的に捉えられがちです。それも含めて、青少年教育としての今後の課題としては興味深いものがあります。
「日経ビジネスオンライン」の記事からでした。
【第25回】文部科学省 中村隆之氏
佐藤 中村さんはプライベートでも民間の方と、人材育成について議論を重ねているそうですが、そんな経緯があったんですね。今は、どのような方々と、どんなことを考えていらっしゃるのですか?
中村 メンバーは、起業家を中心に、人材、建設、教育、コンサルティングといった産業界有志のほか、エンジニア、弁護士、教員、学生もいます。行政官の私も含め、みんな背景はバラバラ。実際に人材育成に直接は携わらないような方もいますが、それは関係ない。決して人材育成を他人任せにしてはいけない、自らの責任として何かしなくてはいけないと、志に熱く燃えている方々の集まりです。
この“サラダボウル”の中で、ひたすら膝をつき合わせて議論していくうちに、埋もれている価値の高い動きをいろいろと捉えることができるようになりました。これは人材の隘路の問題で活用できるのではないか、ということが、気づかないだけで、相当たくさんあるんです。
佐藤 例えば、どのようなことですか?
中村 いつでも声が掛かれば、教育現場に経験豊富な社会人としての自社人材を送り込めるよう、準備を着々と進めている企業があります。人材育成が危機的状況になっているのなら、それは企業そのものの存亡に直結する。これはゆゆしき事態だと認識しているのです。
だからこそ、企業はその現場に活きてくるような教育を求めている。意識の高いところだと、教育現場へ協力するための、数千人規模のボランティアのプールすら既に持っているというんです。
企業が教育といったフィールドにボランティアを送り込みたいのは、社会貢献、ブランド価値の向上、そういったものだけではなく、人材育成という「社会的責任」を果たしたいという考えがその根底にあるからです。そういった部分もどんどん活かしていければ良いのに、と僕は思うのです。
佐藤 目標を掲げるだけではなく、実際に数千人のボランティアのプールを持っているというのはすごいですね。企業から強いメッセージがあれば、教育サイドとしても、その思いを受け止められればいいですよね。
中村 驚いたことに、メンバーから聞くと、本音のところ、もう企業は学校の現場で教えたくて仕方ないみたいなんです。自分たちのできること、得意なことからすぐにでも教えたいと。
そんな彼らは、自らの利益とかそういったものを越え、人材育成を企業の社会的責任として意識している。決して他人任せにしない、自分の責任として教育を捉えているのです。
この声は、決して1つではない。僕は何とかしてこの志をうまい形で集め、何らかの方法を用いて日本中の様々な教育現場に溶け込まし、こういった力を上手に活かすことはできないか、なんて考えています。
働く意味を学生に悟らせる
佐藤 企業の社会的責任として行動している企業があるのはとても素晴らしいことです。最近話した大手ビール会社の教育統括をされている方も同じようにお考えでした。
学生の意識や教育レベル低下は「企業にとってもリスクであり、損失で、それをカバーするためにも、よりよい社会を目指すためにも、将来を担う若手に教えたいのだ」と。また、学生のうちからそのような教育をされていれば、教育に集中的に予算投下できない中小企業にとっても、願ってもないことではと思います。
中村 まだまだ、これは新しいうねりの初歩的な部分に過ぎないかもしれませんが、学校の現場の先生方にもたいへん良い刺激になるし、学校が地域に対して開かれていく今の流れにも適うものだと思います。こういう動きを創っていけば、家庭、地域、企業の社会みんなで未来の人材を育むという姿勢がさらに醸成されるはずです。
佐藤 そうだと思います。そのビール会社の方もそうで、これから一緒に教育の勉強会をしようという話にまでなっています。同じ志なら、何か一緒にできるといいですね。
ここに登場する、中村さんは、新進気鋭の文部官僚。学校と企業との結びつきをボランティアの観点で積極的に考えていこうという。企業の思惑と学校との結びつきは、えてして学校からは否定的に捉えられがちです。それも含めて、青少年教育としての今後の課題としては興味深いものがあります。
「日経ビジネスオンライン」の記事からでした。
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