墓園に入ると駐車場には10台近く車が停まっており、家族連れの子供の笑い声や歓談の声が色々な方向から聞こえてきて微笑ましい午後の空間がそこにはあった。
幸いなことに私の両親はまだ健在であり、私は自分のお墓の事、先の事などはあまり真剣に考えてなかった。
しかし、この時代、いつ何が起こるかわからない。
会社では常日頃、売上予測、未来予測、リスクマネジメントの話を同僚達としているのに、自分自身の将来設計、リスクマネジメントに関してはそこまで具体的な対策を立てていないことに改めて気が付いた。
中年というポジショニング。
この先色々な選択肢がある。
私達のご先祖様も、色々な時代を生き抜き、その時その時で色々な選択をしたはずだ。
もしくは、選択肢を与えられないまま、とにかく生き抜いてきたご先祖様もいるだろう。
当たり前のようだが、今まで途切れずにバトンを渡してくれた事がすごい事だと気付き改めて感謝をする。
そして、聞くともなしに聞いてみる。
どうしたものかなあ。
その時、その墓園に住み着いているノラ猫がフェンスの陰から出て来てこちらに顔を向けた。
私はそのノラ猫が微笑んでいるように感じた。
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