山ではどういう訳か早起きの自分です。下界ではいつまでも寝ていたいタチなのに、山では目も早く覚めますし、覚めるとすぐに起きたがります。
2022年10月23日(日) ナメラ沢天場~青笹尾根下降
▲4:25。この日も早起きですね。焚火に載せていた石をどけ、小枝をあるだけ置いて、新聞紙に火を付けます。そこからだんだんと火を大きくするんです。温度は下がってしまっていても、消し炭ですから簡単に火が熾きます。4時には起きたんでしょうね。
▲5:24。しばらくすると、N村さんもHTさんも起きて来ました。
▲6:06。明るくなって来ましたね。朝食担当はHTさんです。
▲6:14。きのこ雑炊だったかな? キノコたっぷりです。美味しかったですね。
▲6:50。天気は上々! 青空に黄葉が映えます。
▲7:18。泊まった痕跡が無くなるようにします。出発です。
▲7:31。朝イチはまだちょっとへっぴり腰です。岩は見た目以上にぬめっていて滑り易いんです。
▲7:33。この日もN村さんはチャレンジング!
僕の体調ですが、この日も同様です。歩く分には問題ありませんでした。
それが変わったのはぬめった岩床で滑って、軽く尻餅をついた時からです。普段なら何でもない尻餅なのに、その尻餅が腰に酷く影響したのです。明らかに歩く際にも痛みが残ります。
なかなか登って来ない僕をN村さんとHTさんが心配そうに上から眺めています。なんとか二人のところまで行くと、N村さんが「荷物持ちましょうか?」と言ってくれます。僕はここで強がっても逆に二人に迷惑をかけることになりそうなことが分かりますから、素直に「じゃあ、そうしてください」と言います。HTさんも持ってくださり、13kgほどあった僕のザックは10kg以下ほどまでに減ったと思います。随分軽くなりました。
そのまま遡行を続けながら、次第に歩く分にはさほど影響は出なくなって来ました。でも、尻餅以前と同じではありません。このまま遡行を続けて、予定通りのコースも歩けるとは思いました。でも、また小さなアクシデントで再び腰に影響が出るようなことがあれば、下山が遅れる可能性もあります。僕は決断しました。「青笹尾根を下降しよう」と。
▲8:12。二俣です。見えているくの字滝は左俣出合の滝。
▲8:20。左俣に入ってすぐに右岸から流れ込んでいる支沢です。ここから上がった尾根が青笹尾根です。
最近は日帰りで青笹尾根を下降路にナメラ沢遡行をするのが主流のようですね。でも、やっぱり沢登りの醍醐味はショートカットせずに稜線まで詰め上げることだと思います。でも今回は、初めての青笹尾根を楽しむことに気持ちを切り替えました。
▲8:20。支沢の先頭を歩くN村さん。
▲8:29。気持ちよく高度を稼げる支沢です。
▲8:46。青笹尾根の稜線が近づいて来ました。背の低い笹原が心地いいですね。
9時前には青笹尾根に出ました。少し休憩し、装備も解除しました。
▲9:38。青笹尾根の下降スタートです。
青笹尾根の上部ではピンク色のテープ、下部は広い防火帯に沿って進めば迷うことはありません。僕は万が一のエスケープルートとして青笹尾根のことは調べていましたけれど、 N村さんは僕とは比較にならないほど詳細に青笹尾根のことを調べてくれていたのには驚かせられましたね。N村さんは僕の腰のことを心配してくれながらゆっくりペースで下山してくれます。HTさんも含めて感謝しかありませんね。
▲10:11。途中のピークで3人そろって記念撮影。
▲10:26。大きな倒木がありました。N村さんは遊び足りないんでしょうね。
▲11:17。どんどん下って行きます。
▲11:33。広い防火帯が現われました。これに沿って進みます。
▲12:20。防火帯にも急な箇所があったりします。
▲12:38。防火帯も終わり、踏み跡に導かれて、下降路は明瞭です。
▲12:40。鶏冠山大橋の横に出ました。
▲12:46。車道を向こうに見えている鶏冠尾根の方へ歩いて行きます。
▲12:57。バス停です。
ナメラ沢自体は相変わらずナメの綺麗な沢でした。早朝に歩き始め、青笹尾根を下降路に使えば、十分に日帰り可能な沢。でも、東京を朝発ちする場合はどうしても泊りになってしまいますし、楽しく泊まれる沢なので、僕は沢泊まりをお勧めします。
最近のガイドブックでの悪く言われ様は可哀想なくらいで『ツメと下山は地獄』とまで言われる始末。昔のガイドブックでは「詰めの森の美しさは日本庭園のよう」と称賛していたのに比べると、最近の見方は間違っていると思いますね。下山だって、雁坂峠経由だと確かに短くはないですけれど、あのくらいは普通です。沢登りもお気楽志向に走るのは如何なものかと思いますね。
沢登りは水に濡れ、泥にまみれ、藪と格闘し傷だらけとなり服は破け、汗にまみれて、詰めの急登に疲労困憊してこその沢登りの楽しさだと思っています。マゾの世界ですね。それは冗談として、ありのままの自然をそのまま受け容れて、自然に抱かれつつ遊ぶのが沢登りだと思います。自然のありのままの姿を、やれ地獄だの、逆に天国だのと差別化するのはおこがましいことでしょう。ナメラ沢の詰めを地獄と呼ぶ人に、ナルミズ沢の詰めを天国だと表現する資格はないと思いますが・・・・
このたびはN村さんにたくさんたくさんお世話になりました。しかも、塩山での反省会では僕とHTさんの誕生日祝いもしてくださって、感謝に堪えません。N村さんの誕生日も僕の前日なのに、彼の誕生日祝いはしてあげませんでした。何と酷い山仲間なんでしょうね。
最後になってしまいましたが、HTさんにとっては初めての沢泊まりでした。しかもタープで、こんな寒い季節に。テントにも泊まったことがないそうです。でも、本人は楽しめたみたいです。良かった、良かった。それが最高の収穫ですね。