ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

モミソ沢で久し振りに滝のリードをさせてもらいました

2022年08月21日 | 沢登り/金目川水無川水系

4日に参加することにしていた天覧山での岩トレが雨天中止となりました。お盆休みの山行前に少しは体を動かしておきたいと思っていましたから、雨で当てが外れました。週末にどこかへ行こうと思いましたが、あまり疲労が残ってもお盆山行に影響してしまいます。そんなことを思っていたら、N村さんが丹沢の水無川水系のモミソ沢を計画したのです。モミソ沢はすごく短い沢ですから、あまり疲労は残らないはず。参加させてもらうことにしました。

 

ここのところリードをすることがほとんどなかった僕です。クライミングにも貪欲になろうと思い、N村さんに「今日はリードさせてください」とお願い。快く了解していただきました。リードの機会を奪ってしまったM澤さんにも感謝ですし、申し訳ない気持ちです。でも、高齢者だからと言って、後続に道を譲ってばかりでは、自分自身が急速に衰えて行ってしまいます。いつまでも、対等でありたいと思っています。そのためにも頑張ります。

 

2022年8月6日(土) モミソ沢

▲9:33。渋沢駅7時36分のバスに乗ると言うので、僕は4時に起床しました。こんなに朝早く起きることなんて、長い間ありませんでした。無事に目が覚め、戸川林道を歩いて、モミソ沢へ下る場所まで着きました。林道で装備を整え、朝食も食べて、いざ出発! この日のメンバーは左からK田さん、M澤さん、N村さん。

 

▲9:38。YYDでよく使っている懸垂岩です。2人がこれから練習するみたいでした。その前を通って、懸垂岩左のモミソ沢出合へ向かいます。

 

▲9:39。後方、明るいところが出合。僕がリードすることになったので、自然と先頭を歩くことになりました。K田さん、N村さんの順番も自然に決まり、M澤さんがラストを締めてくれました。

 

▲9:42。僕の記憶の中にはまったくなかったのですが、モミソ沢にはそれなりに楽しめる小滝がたくさんあるんですね。僕が慎重に登ると、K田さんはスピーディーに、N村さんは探りながら、M澤さんはスムーズに登って来ます。

 

▲9:52。この小滝もちょっと楽しめた滝でした。

 

▲10:00。水量の多い支沢が滝をかけて合流しています。地形図上ではこれほどの水量になる支沢はないはずなんですが、流水域面積以外の理由でもあるのでしょうか?

 

3段11mの滝最上段5m滝です。この箇所でザイルを出してリードした昔の記憶はあるのですが、記憶よりは今回の方が難しく感じました。記憶では3級くらいでしたが、今回は4級に感じました。ホールド、スタンスともに小さくて、最適な箇所を見つけるのに時間がかかりました。M澤さんが僕がリードしている動画を撮ってくれて、自分の登攀シーンを初めて映像で見ることが出来ました。ブログに載せたかったのですが、その方法が分かりませんでした。写真はフォロウするK田さんです。(撮影:M澤)

 

▲10:29。K田さんの次はN村さんがフォロウして上がって来ました。

 

▲10:43。これは5mチムニー滝かな? もうこの付近では水流は消えてしまっています。このチムニーは下部が少し嫌らしいですけれど、上部は簡単です。

 

▲10:49。後方の両岸切り立った岩壁箇所がチムニー滝だったところでしょうか?

 

▲11:00。この滝は写真でN村さんがいるところから上部が嫌らしかったですね。初心者にはザイルが必要だと思います。

 

▲11:10。丹沢名物のヒルがモミソ沢にもいっぱい! 足回りは潜り込めないようにしているのですが、手はむき出しです。手にくっついたヒルが僕を噛みつく前に指で弾き飛ばそうとしたのですが、間に合いませんでした。ちょっと噛みつかれた手からは血が流れます。僕はヒルに対してさほど神経質ではないのですが、噛みつかれたくはありません。

 

▲モミソ沢のハイライトはこの大棚12mです。K田さんが登り始めようとしています。ガイドブックには、この写真のように上部ハング下を直登するルートを4級と書いてあったりしますが、5級はあると思います。よほど岩が乾いていて、フリクションが効く時でないと難しいと思います。この日、僕も直登を試みましたが、すぐに断念。少し降りて右へトラバース、カンテを越えた箇所を登りました。3級です。(撮影:M澤)

 

▲11:42。K田さんが中間くらいまで来ました。上部のプロテクション2つを外して、右(写真では左)へトラバースしなけれななりません。そして、写真の左下の岩を登ります。

 

▲11:43。K田さんがプロテクションの位置まで来ましたね。

 

▲11:51。2番手のN村さんです。このあたりから右(写真では左)へ移動します。今N村さんがいるあたりにピンがあったそうです。

 

▲大棚登攀が終了して、少し上流の安全地帯でこの日最初の休憩です。左からN村さん、K田さん、僕。(撮影:M澤)

 

▲12:34。大棚の上には滝らしい滝はありません。こんなザレ場を登り続けます。

 

▲13:03。鹿の防護柵が出て来ると、登山道もすぐ近く。

 

▲13:06。登山道からN村さんをパチリ。

 

▲13:06。大倉尾根(通称バカ尾根)の堀山付近に出て来ます。

 

▲13:16。駒止茶屋まで下りて来ました。

 

▲ここで装備解除しました。僕の両足にはヒルが計10匹ほど付いていました。中にまでは潜り込んではいませんでしたけれどね。(撮影:M澤)

 

▲13:44。駒止茶屋を離れます。

 

▲13:53。大倉尾根もガスの中。

 

▲14:02。標高を下げるにつれ、ガスも晴れて来ました。

 

▲14:04。見晴茶屋です。昔、ここでH田くんだったかな、送別会を行なったように記憶してます。夜はプロの歌手の方も来られて、山の歌の集いもありました。

 

▲14:37。里に下りて来ました。

 

▲14:42。大倉バス停です。

 

▲渋沢駅では僕の馴染みの店『いろは』へ行きました。店を出してから50年になるそうです。僕も40年近く前から通っている店です。渋沢駅周辺の開発がなされる前は今とは反対側の駅前にありました。狭い店に登山者が鮨詰めになって集まっていました。活気あふれるお店でしたね。でも、登山者の気質も変わり、下山後の打上げで飲むことも減って来たようです。昔の『いろは』を知る人間にとっては現状の『いろは』は寂しい限りです。女将さんもおそらく同様の気持ちなんでしょう。僕たちと一緒に山の話をしたいようなんです。以前は僕のことや一緒に来ていた僕のお師匠さんのことを覚えてくれていましたけれど、今回は忘れておられたようです。寂しいことですけれど、女将さんもお年ですし、仕方ありませんね。(撮影:M澤)

 

今回は滝のリードをさせてもらうことが出来ました。やはりリードはいいですね。楽しいですし、充実感がありますし、素晴らしく練習にもなります。これからも数多くのリードをしたいと思いました。

本来なら還暦の時に初心に立ち返って、ゼロからの努力をすればよかったのでしょうけれど、今からでも遅くはありません。初心者の気持ちになって、貪欲に努力をし、経験を積んでいきたいと思います。


懸垂岩で基本の岩トレをしてから、新茅ノ沢を遡行。予報は雨でしたが降りませんでした

2016年10月20日 | 沢登り/金目川水無川水系

2016/9/11  今年は雨が実に多い。この日も前日までの予報では山行を中止にしてもよさそうなはっきりしない天気のようです。普通に考えれば、曇りで時々雨が降るのはほぼ確実。

そこを勇気(?)を持って実行を決断したS原さんは大したものです。
蛮勇かとも思われましたが、午前中の懸垂岩での岩トレ中はまったく雨は降りませんでした。
この後の沢登りでは少しくらいなら雨が降っても気にはなりませんよね。


▲この懸垂岩でのトレーイング中、カメラを持たずに途中のテラスへ行ってしまいましたから、写真は撮れませんでした。基本的なクライミングとクライムダウンと懸垂下降のトレーニングです。岩トレ終了後、パチリ! 12:07ころ。


▲対岸の新茅ノ沢を遡行します。すぐに林道の下をくぐりました。12:10ころ。


▲F1です。12:14ころ。


▲ザイルを出して左壁を登ります。12:20ころ。


▲F2。出だしが少々バランスが必要です。12:41ころ。


▲新茅ノ沢の大棚12m。F5です。右壁から流れの方向へザイルを出して直登すると、4級+くらいあると思います。最上部がシャワークライミングになり、眼鏡をかけている僕などにとっては水飛沫を受けて見えなくなってしまいます。結局外して登るのですが、そうすると今度は足元のスタンスがよく見えなくなるのです。13:01ころ。


▲大棚は高巻きました。大きく高巻き過ぎたようです。13:16ころ。


▲雨は降っていませんが、霧が白く覆っています。13:32ころ。


▲今日の参加人数は僕を入れて7名でした。13:38ころ。


▲小滝が続きます。ところどころ岩のもろい箇所もありました。14:16ころ。


▲たまには僕も前に出ます。当たり前ですが、後方も霧で真っ白! 14:31ころ。


▲最後の難関出現! もう沢は水が涸れてしまっています。ボルダリングのような岩が出て来ました。先頭を歩いていた僕が最初に登りましたが、なかなか大変! 残置のシュリンゲが頼りでした。14:39ころ。


▲下部が大変なのですが、上部も気が抜けません。ですから、上部にもシュリンゲをセットしました。14:51ころ。


▲源頭、と言うよりも、すでに詰めですね。15:01ころ。


▲沢から離れる踏み跡がありました。15:11ころ。


▲烏尾山1136m山頂です。15:22ころ。


▲稜線が一瞬見えました。青空も一瞬のぞきました。15:48ころ。

やはり丹沢! 山頂で装備解除しながら足元中心に見ていると、僕にもヒルが2、3匹。皮膚にまでは到達していませんでしたが、気持ちの良いものではありませんね。

 
▲下山開始です。16:01ころ。


▲林道に到着しました。16:44ころ。

今日は天気予報が外れて、雨がまったく降りませんでした。確かに微妙な天気ですから、少しは雨が降る予報にしておきたくなる気持ちは当然でしょう。でも、外れて良かった!

大倉からバスで渋沢へ。S原さんが本に載っていた「下山後のお薦めのお店」が『いろは』だったのには驚きましたね。丹沢には最近あまり来ませんから『いろは』にはキープしたボトルはありませんが、このお店は僕のお師匠さんからの馴染みのお店。大切なお店です。女将さんも必ずお師匠さんのことやその相棒の女性のことを聞いてくれます。

そして、女将さんにはヒルが体やザックに付いていないかと、しかと確認されました。最近の団体さんでいっぱい付けて入って来たパーティーがいたのだそうです。


崩壊がさらに進む水無川本谷

2012年10月17日 | 沢登り/金目川水無川水系

今回もまたS崎君と男二人の沢登りです。もともと彼にとっての地元の山は丹沢なのですけれど、ほとんど丹沢の沢へは入っていないとのこと。ならば、久し振りに丹沢の沢の代表格でもある“水無川本谷”を登ろうということになりました。
この沢には過去幾度も入渓したことがあります。トレーニングの意味合いで入渓することの多い沢でした。10回ほどは遡行していると思います。なかでも23年前の水無川本谷での出来事はその後の僕の登山に大きな影響を与え続けています。
その出来事はともかく、直近では8年前にY根君と二人で入渓しています。その際は、F8の高巻きで沢床に戻れず、そのまま登山道まで登ってしまいました。ですから、今回はちゃんとF8を高巻いて、その上流も遡行して見たかったのです。

2012/10/14  電車は前回の葛葉川本谷の時と同じ。渋沢駅を8:20の大倉行きバスに乗ります。何度歩いても、戸川林道のアプローチは詰まりません。戸沢を過ぎ、源次郎沢出合を過ぎ、堰堤を左の鎖場から乗り越えて、遡行スタート地点の河原で身支度を整えます。

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▲ここが堰堤の上の河原です。ずっと昔は、ここからの遡行スタートの順番を競うように、林道歩きも急いだものです。それがこの日は、誰も来ません。僕たちだけでした。10:31ころ。

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▲毎度お馴染みのF1です。直登も出来ますが、やっぱり左の鎖場を登りました。いつか直登したいと思います。10:44ころ。

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▲F2です。このすぐ手前にセドの沢の出合があります。10:48ころ。

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▲滝の左に残置のロープなどが設置されているのですが、右の壁の方がそそられます。S崎君がノーザイルで試みましたが、少し厭らしいということで、ザイルを出して登ることに。10:54ころ。フォロウしてみると、3級+~4級-くらいのグレードで、出してくれて正解だと思いました。

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▲丹沢にはサガミジョウロウホトトギスという絶滅危惧種が生育しているのだそうで、すわ! これがそうか? と期待したのですが、サガミジョウロウホトトギスは黄色い花なのだそうです。11:00ころ。
でも、この花は普段よく野山で見かけるヤマジノホトトギスともどこか雰囲気が違っているようです。葉がどこかしらほっそりと繊細です。家に帰って調べても、よく分かりませんでした。確信は全くありませんが、“ホトトギス”ではないでしょうか?

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▲S崎君がこんなことを言いました。「F1、F2、F3、………、F8なんて呼び方ばかりで、どうして滝の名前が付いていないんだろう」と。確かにそうですね。支流には木ノ又大日沢とか金冷シ沢とか、何かしら謂れのありそうな名前が付けられているのですから、滝にもそれなりの固有名詞が付けられていても不思議ではありません。
僕が思うにこれは沢屋の怠慢だったのではないでしょうか? 恐らく、幾つかの滝には由緒ある名前があったはずです。でも、当時の沢屋さんたちにはそんな名前はどうでもよく、ただ機械的にナンバーをふっていったのでしょう。
ちなみにこの滝はF3のようです。11:27ころ。

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▲小滝が続いています。どれがF4だか分かりませんでした。看板も見落としたのでしょう。11:35ころ。

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▲これは正真正銘F5です。以前は右壁を斜めに鎖が付けられていました。その鎖が岩場の小崩壊で切れてしまっていました。上の写真に上半分の鎖が垂れているのが見えます。11:39ころ。
鎖があった頃は鎖につかまってザイルなしでも行けたのですが、(初心者にはザイルを付けてもらったとは思いますが)今日はそういうわけにはいきません。鎖がないとそれなりに難しい滝の登攀となりました。11:48ころ。

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▲F5のすぐ上流で書策新道が横切っています。12:02ころ。

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▲F6には大きなチョックストーンがあります。この右を登るのですが、出口は被さり気味で左手のホールドが見つかりません。結局、残置してあるたくさんのロープを目いっぱい掴んでのA0登攀になってしまいました。12:14ころ。
いつかフリーで越えてみたいものですね。

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▲右岸に付けられていた看板によるとこれがF7です。6mの滝だったようですが、今はありません。山の崩落で埋まってしまったのでしょうか? 13:00ころ。

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▲F7を過ぎ、F8直前で目の前にこの滝が現われます。これを登らなければならないのかと思いきや、沢は右に曲がっていて、この滝が支沢の出合にかかっているのだということが分かるのです。ちょっと奇妙な出合でした。13:15ころ。

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▲F8・25mです。この滝の前に立って、僕の心境は複雑です。23年前までは左岸に比較的安定した巻き道がありました。ちょうど滝の落ち口に出たものです。23年前から左岸の崩壊が始まり、その最初のほんの僅かな崩れが前途ある女性の人生を大きく変えてしまいました。
滝には、沢には、山には、自然には、見えない危険が隠れています。小心になり過ぎることはありませんが、細心でなくてはいけません。謙虚に、あらゆる蓋然性に心を開いていなくてはなりません。13:17ころ。

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▲F8から離れるように右のルンゼを高巻き始めます。13:21ころ。
8年前のY根君と高巻いた際には滝の落ち口へトラバースすることはおろか、沢床へ下りるルートさえ見つからず、上へ上へと追いやられました。そのうち沢床へ下りるより、稜線へ出た方が近くなったので、そのまま稜線の登山道へ飛び出したものです。
でも今回は何と残置ロープが何十メートルと設置されていて、危なっかしいザレて脆いルンゼのトラバース等を助けてくれます。無事に沢床へ下りることが出来ました。

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▲今回F8をちゃんと高巻きたかったのは久し振りにF9を直登したかったからです。右のスラブ状を高巻き気味に登ると2級程度なのですが、水流のすぐ左を登るルートは少しいやらしい。
しかし、F9は滝そのものが崩壊していました。まったく別の滝になってしまっています。写真の滝がF9ですが、滝の前がゴソッと崩れています。まだ崩壊の最中でしょうから、登攀するのは危険でしょう。右から大きく高巻くことにします。13:39ころ。

ここも大高巻きになりました。水無川本谷はF9が最後で、後は詰め登るだけです。僕たちは沢床に戻ることは諦め、そのまま登山道へと向かいました。

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▲鹿道を拾いながら、稜線の登山道へ向かいます。霧雨がザックや衣服を濡らしました。気温も下がっています。14:01ころ。

塔ノ岳山頂には14:14、大倉尾根を下り、大倉へは16:24に着きました。16:38のバスに乗り、渋沢駅ですぐ電車に乗ります。あれ? そうなんです。今日は打ち上げなし。S崎君の翌朝からの仕事の都合で打ち上げが出来ませんでした。
仕方がないので、家へ帰り、S子と打ち上げ!


久し振りに丹沢の滝を登攀して来ました

2012年07月09日 | 沢登り/金目川水無川水系

2012/7/8  前の週に雨で実行できなかった丹沢のセドの沢右俣へ行って来ました。調べてみると、2003年9月にS子、M島さん、H原君、Y根君等と共に行っています。9年ぶりのセドの沢右俣です。

天気の方は何とか持ちそうな気配ですけれど、電車から見える丹沢の山々は上半部が濃い雲に覆われていました。霧雨程度は覚悟しなくてはいけません。

渋沢駅発8:20の大倉行バスに乗り、何度来ても長~い!戸川林道を歩きます。今日は日差しもなく、空気も比較的ひんやりしているのでまだましですね。

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▲水無川本谷の堰堤上で朝食&沢支度。そして遡行スタートです。10:28ころ。

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▲水無川本谷のF1です。O橋君は水流左を直登したがっていましたが、僕はしょっぱなからシャワーを浴びたくはありません。「登るんなら確保はするよ」と言ってあげたものの、後続の4人パーティーがザイルを出して準備し始めたこともあって、我々はパス。さらに左の鎖場から登りました。10:40ころ。

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▲本谷F1のすぐ上がセドの沢の出合。O橋君は本谷F2に吸い寄せられて行ってしまいましたが、戻って来て、無事セドの沢へ。10:46ころ。

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▲セドの沢のF1(以下、“セドの沢の”は省略)。10:47ころ。

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▲F2です。気楽に越えて行きます。10:48ころ。

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▲二俣です。今日は右俣へ入りますが、左俣も手頃な滝が多く連続する楽しい沢です。10:50ころ。

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▲F3です。看板には右俣F1となっていますが、通しナンバーで説明します。

見た目よりもいやらしい登攀です。10:54と10:58ころ。

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▲F4です。水流左が容易に登れるようなのですが、この日の僕にはそれが見えませんでした。O橋君は最初そちらへ行こうとしていたのですが、僕のひと言で変更。11:07ころ。

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▲F4。右壁のバンド状が簡単に見えたのです。

ところがどっこい、フォロウしてみて分かったのですが、白い看板のあたり、意外とバランスが悪い。O橋君はそのまま滝の落ち口へのトラバースを試みたのですが、ハーケンに信頼を置けず、断念。11:13ころ。看板から右へ上がって、高巻くことにしました。

ここを高巻いている連中もいるようで、残置シュリンゲもあります。でも、前傾している斜面の木登りをしなければなりませんでした。結構、パワフルムーブ!

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▲ナンバーがあっていいほどの滝です。F4とF5の間にある無ナンバー滝。11:37ころ。

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▲F5は2段15m。写真は下段の滝です。上段の滝上部がチラッと見えています。11:39ころ。

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▲F5の上段。11:40ころ。

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▲大滝F6の全貌です。2段35mあります。この手前で小休止したので、時刻は12:00ころです。

ルートは幾つかあるようですが、一般的なルートしか登ったことはありません。他のルートはかなり奮闘的ルートなのではと思います。

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▲まずはすぐ上のテラスまで登って、1回ピッチを切りました。12:00と12:09ころ。

そのままピッチを切らずに終了点まで登っても構わないのですが、この滝を初めて登攀するO橋君にはルートファインディングが課題です。「登れるルート」ではなく、「一番容易なルート」を選択できなくてはいけません。

一般的ルートはO橋君が立っているテラスから左の壁を登って行きます。

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▲テラスからの2~3mはちょっと難しい所。左端を行くと一番楽かとは思いますが。ほとんど真上を向いてこの写真は撮っています。12:21ころ。

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▲大滝に着いたころには雨が降っていましたが、登攀途中には止み、薄日も射すようになっていました。大滝登攀終了点からは滝の落ち口へは嫌らしいトラバースをしなければならないので、普通、左を高巻きます。その高巻きは大高巻きとなって、僕たちはちょっと先に行き過ぎ、沢床へ降りるために懸垂下降が必要になってしまいました。

その時の写真がこれです。13:02ころ。薄日が射すことはあっても、霧は消えていませんから、フラッシュに霧の水滴が光ってしまっています。

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▲奥の二俣あたりから水はほとんど消え、源頭の様相を呈して来ます。後は稜線へ詰め上げるだけ。13:24ころ。フラッシュをOFFにしたので、こんな感じで写りました。

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▲13:33ころ、政次郎尾根の登山道へ出ました。藪漕ぎはありません。

戸沢までの山道はそんなに長く感じませんが、やっぱり戸川林道は長く感じますね。何回歩いても同じ感想。普通のスピードで歩いて、15:55のバスが見えて来たので、やっぱりラスト50mくらいは走ってしまいました。飛び乗った直後に発車!

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渋沢での馴染みのお店は『いろは』です。僕のお師匠さんはアルパインクライマーでしたから、奥多摩や奥秩父のような沢は嫌い。登攀的な滝が連続する丹沢によく連れて行ってもらったものです。そのお師匠さんから続いている『いろは』なんです。

渋沢駅北口が再開発されるまでは『いろは』は南口にありました。バスだって、南口から発着していたんですよ。僕は個人的にはその当時の『いろは』が大好きです。小さな敷地に小さなテーブルがたくさん並び、テーブル周りには小さな椅子が置いてあります。お客さん同士、肩や背中をくっつけあって狭い店の中に大勢のお客さんがひしめいていたものです。しかも、その大部分のお客さんは登山者ときますからね。

ですから、店のお姉さん(と言わないときつく叱られます)とは30年近い顔馴染みになります。お姉さん曰く「みんな、次々に死んで行っちゃって」。このお店には日本の登山史を飾っているクライマーも多く通っていたのでしょう。僕のことも「大きな怪我もなく続けているのは立派よね」と、褒めてくれました。

そして、会(僕が今春まで所属していた)のO原さん、O庭さん、K島さん等の現況を聞かれました。よく覚えて下さっていますよね。

そんな話で盛り上がったので、サービスをしてくれたのでしょうか。薩摩宝山のオンザロックが少し量が多かったような気がします。それを3杯だか4杯だか飲んで、美味しい料理も頂き、いい気分に。

帰りの電車は寝過ごしてしまうこともなく、無事家まで辿り着きました。