ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

初めてのルート「フレークルート(仮称)」を登攀しました

2012年11月06日 | 岩登りトレーニング

2012/11/4  今日もS子と二人で日和田での岩登りトレーニングです。前の週でS子の岩登り感覚を取り戻せたと思いますから、今日はそれをもう少しアップさせるのが目的です。
前回とほぼ同じ時刻に高麗駅到着。先週ほど人出は多くありません。「岩場も人出が少ないといいんだけどな~ぁ」と勝手に願うのですがどうでしょう?

岩場に着くと「うっひゃ~ぁ!」です。前回と同様の人の多さ。超大人数の団体さん、プロガイドが引き連れて来ているような講習会、がいます。支度が終わったばかりのようで、これからルートの取り付きへ散らばるのでしょう。まあ、こればかりは仕方ありません。
僕たちも先週と同じいちばん奥の場所で支度をします。そのうち、あの団体さんたちが全員女岩へ行きました。ちょっとですがホッとします。結局、この大グループは女岩から離れませんでした。男岩はあまり混むことなく、順番待ちもすることなく一日トレーニングが出来ました。

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▲まずは男岩南面の「左ルート」でウォーミングアップです。『関東の岩場』(白山書房・昭和60年発行)では3級+になっています。『日本100岩場②関東』(山と渓谷社・2000年発行)では5.6になっています。これは『関東の岩場』が正しいと思いますね。5.0~5.2だと思います。
それにしても5.6という評価はどこから出て来るのでしょうか。中央「クラックルート」のすぐ左のハングを抜けると5級-はありますから、それなら5.5です。でも、「左ルート」は一般的に初級の練習ルートといった位置づけですから、5.5のルートはあくまでも「左ルート」のバリエーションです。
いまS子がいる場所からは垂壁が2mほど続きますが、ガバホールドが豊富で思いの外易しい所です。10:52ころ。

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▲ウォーミングアップ2本目は男岩南面「クラックルート」。前掲書では4級+と5.5になっています。僕の感覚では4級-~4級、5.2~5.3くらいでしょう。
写真では青ヘルの人がアイゼン、手袋で冬壁登攀のトレーニング中です。アイゼンは危険なので、S子は下でしばらく待機することになりました。11:23ころ。

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▲今日は気持ちの良い無風快晴のクライミング日和です。岩場の上からは富士山も見えていました。そこを懸垂下降するS子です。11:41ころ。

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▲ウォーミングアップは2本で終わりにして、3本目からは本格的なトレーニングです。選んだルートは「右ルート」。前掲書では4級+と5.6です。ここは僕の感覚では4級+で正しいと思います。ですからデシマルでは5.4。ただし、右のカンテを使わないという厳密な条件下では5.5くらいはあるかもしれません。
このルートは3段のフェースになっています。写真ではS子が3段目の下に到達。3段目を登ろうとしています。12:18ころ。
右の(写真では左)カンテは使わないことにしていますから、手前に二つ見えるペツルのボルトのうち左のボルトの10センチほど左に小さなカチホールドが見えていますが、僕はそれになんとか指が届くのです。S子は身長が低いですから、到底届きません。途中の小さなホールドを中継して立ち込まなければなりません。一層難しくなりますね。
結局、S子はこのルート上手く登れませんでした。今後の課題です。
ただ一言、彼女の名誉のために付け加えておくと、S子がずっと若いころ、大怪我の後遺症もない時にはこのルートをリード出来ていたのです。身長が低いので(150cmもない)、僕などが絶対に使えないような極小ホールドを中継しながらリードしていましたよ。

ここで昼食タイム。

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▲昼食後の1本目は男岩西面左上部のクラックへ、アンダークーリングルート左の凹角から抜けるルート。このルートは昔から登られていますが正式な名前はないようです。南面同様、単純に西面の「左ルート」でいいのではないでしょうか? 前掲書では4級+と5.7になっていますが、4級+が正しいと思うので、5.4とすべきでしょう。
S子は下部核心部はスムースに突破しましたが、上部核心部(写真に写っているあたりから)ではザイルにぶら下がりました。前傾気味の腕に力がかかるムーブはまだ少し弱いようです。13:43ころ。

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▲5本目に登ったのはこの写真の中央やや左のルート。左に今日の3本目に登った3段フェースの男岩南面「右ルート」が見えています。そのフェースの右側壁(陰になった部分)、向きで言えば東壁、をフェース右縁のカンテ沿いに登ります。そして、上部では陽の当たっている、ちょうど三味線の撥(ばち)のような形をした岩を、その右縁エッジをがばっと掴んで豪快に登るルートです。
このルートは上部フレーク部分が「右ルート」のバリエーションとして紹介されたりもしていますが、下部のフェース側壁から登るルートとしてはどこにも出て来ません。僕も初めてリードしてみて、他のルートとは変わった特徴のあるルートだと感じました。独立させて「フレークルート」とでも名付けたらどうでしょうか。グレードは4級+、5.4です。ピンは側壁には3本のリングボルト、フレークには2本のハーケンが打たれています。
この写真を撮って(14:01ころ)、僕がリードしましたが、S子は下部3本目のボルトのあたりからフェースへ逃げ、上部フレークも左へ逃げました。前傾しているので、痛めている左肩に負担がかかるためです。

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▲6本目は男岩西面のステミングフェース。前掲書では5級と5.7になっています。5級で正しいと思いますから、5.6でしょう。
僕がリードしましたが、何度も登っているので、それほど難しくは感じません。写真のS子は核心部を越えた後です。核心部は前傾壁ですから、上からは見えません。14:58ころ。

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▲6本目で3時過ぎましたから、そろそろ帰ろうかなと考えていました。S子に「どうする?」と聞くと、「もう1本登りたい」と答えが。それがこのアンダークーリングルートです。
半年前のクライミングで何故か登れなかった悔しさを晴らしたい、ようなのです。前掲書では5級と5.7。これも5.6が妥当だと思います。
僕くらいの身長なら、出だしの唯一の核心部であるアンダーホールドを掴むのはそれほど困難ではありません。アンダーを掴んでしまえば、強引に体を引き上げることが可能。でも、S子の身長ではそのアンダーホールドを掴むために僕よりも高いスタンスまで体を引き上げておく必要があります。それがS子にとって難しくなる理由です。S子にとっては少なくとも5級+にはなるでしょう。
写真はそのアンダーホールドを掴んでいる状況です。腕も脚も前に伸びているのが見えますね。15:25ころ。

結局、僕たちの練習が終了した時にはほとんどのクライマーは帰ってしまっていました。今日は先週より早く終了して、連絡のいい電車でスムースに帰りたかったのに。やっぱり、乗りたい電車には間に合いませんでした。
16:11に乗りたかったのです。東飯能駅でJRに乗り換えるのですが、次の16:41は連絡が悪く、さらに後の17:12と同じになってしまいます。少し急いだのですが、駅が見えて来たのは16:20ころ。16:41に乗り、飯能駅で下車して打ち上げをすることも考えましたが、それも面倒。なので、以前一度だけ入ったことのある「むささび亭」というインドカレーの店に入ることにしました。チキンカレーセットとナンセット(ナンにナスカレーと豆カレーなどが付く)を食べました。メニューはそれだけですから、選ぶ手間はかかりません。カレーは美味しかったです。ただ、ビール以外にアルコール類がありません。僕はビールが苦手ですから、お酒抜きの打ち上げ。
17:12の電車に乗れたまでは良かったのですが、東飯能駅での乗り換えでJRに乗り遅れてしまいました。乗り換え時間が3分しかなかったのに、改札への階段から一番遠い車両に乗っていたせいです。僕の目の前で発車して行ってしまいました。あ~あ。残念!

それでも7時前には帰宅でき、家でS子と二人、アルコールでの再打ち上げです。ブロッコリー、えびせん、それに我が家としてはちょっと高級なチーズがあったので、ワインを取り出して打ち上げ。ワインは南アフリカ産です。立川伊勢丹のセールの時に大人買いをしておいたワインです。

S子にとっては今の不調から抜け出すきっかけが少しはつかめた今日の岩トレだったのではないでしょうか? 僕としては先週思い付いた「フレークルート」を実際にリード出来たことが収穫でした。