2016/4/16 三月にS君から久し振りに電話がかかってきました。四月になったらどこか雪山へ行きましょう! と。嬉しい申し出です。
それで選んだのが尾瀬からの平ヶ岳登頂。昔、S子と一度行ったことがありますが、いつかまたもう一度行ってみたいと思っていたコースです。
前夜、車でS君が僕の家まで迎えに来てくれました。車まで一緒に来てくれたS子も久し振りにS君の顔を見て嬉しそうです。
夜中に、戸倉に到着。テントを張って寝ました。
▲戸倉は快晴です。朝はS君が美味しいうどんを作ってくれました。写真の左に見ている白くなった山は標高1700~1900mくらいの山だと思いますが、雪が少ないですね。7:06ころ。
ところで、このころ大変な事態に直面していました。7時前に鎌田のタクシー会社に電話したのです。津奈木橋から鳩待峠へはまだしばらくマイカー規制がかかっているので、車は入ることが出来ません。津奈木橋周辺に駐車スペースがないかもしれませんから、戸倉からタクシーで入れるところまで入ろうとしたのです。
ところが、タクシー会社の人が冷たく言い放った言葉! 「車なんて戸倉から入れませんよ。ゲートが閉まっていますから」と。
このひと言で、僕たちの平ヶ岳登頂の目的はほぼ達成不可能となってしまいました。
まあ、平ヶ岳登頂は本当はその前から不可能になっていたのです。と言うのも、翌日の天候がかなり悪いらしく、ススヶ峰あたりにテントを張っても風雨が強くて大変そうですし、平ヶ岳までの行動時間も充分取れそうにありません。
ただ、それでもススヶ峰付近で幕営することは景色もいいですし、雪掘り名人のS君ですから、雪洞を掘ってその中にテントを張るという初めての体験もしたくてたまらなかったのですが・・・・
でも実は、タクシーや天候どころではない、ススヶ峰までも行けなくなった本当の理由があるのです。これは内緒です。笑ってしまうような理由なんですよ。
▲根性を決めて、戸倉から重たいザックを背負って歩き始めました。しばらくすると、タクシー会社の人が言っていたゲートが見えて来ます。ゲートを端っこから過ぎた場所で休んでいると、軽トラックのおじさんがゲートを開けようとしているではありませんか! 工事関係者のようです。内心、これは千載一遇のチャンスだ! と感じました。溢れんばかりの期待感を微塵も表情に出さず、おじさんに尋ねます。「乗せていただけませんか?」
「ああ、いいよ」
何と優しい方なんでしょう!
二人は軽トラの荷台の人となりました。7:35ころ。
▲なんと、津奈木橋の少し先まで載せてくれました。写真中央に車が数台見えていますが、そのあたりが作業の現場です。7:55ころ。
▲上州武尊山。8:36ころ。
▲だいぶん前に軽トラで抜いた自転車のスキーヤーが再び僕たちを抜いて行きました。スノーボーダーふたりも自転車で来ていました。この時季、車に自転車を積んでアプローチするのもありですね。8:40ころ。
▲鳩待峠の駐車場では整備や拡張工事が進められていました。8:47ころ。
▲鳩待峠です。この写真に写っているだけでも自転車が5台ありますね。8:49ころ。
▲いつもの鳩待峠なら峠の広場の端にも2~3mの雪の壁があって当たり前なのですが・・・・
今年は全然ありません。ここまでの道路にも、否、道路の端にも雪がまったくありませんでした。除雪作業の必要性がありません。8:49ころ。
▲鳩待峠でしばらくのんびりしていました。S子にも電話がつながったので、この雪の少ない驚きを伝えます。至仏山は純白からはほど遠く、黒い模様がポツポツと見えています。9:19ころ。
▲例年ならGWでも途中で一ヶ所くらいで木道の存在が分かる場所がありますが、今日は至るところで木道が見えていました。9:33ころ。
▲山ノ鼻直前で川上川を渡る橋です。S君が川に飛び込もうとしています? 10:19ころ。
▲ススヶ峰にテントを張ることを諦めた僕たちは、山ノ鼻で過ごすことにしました。山小屋関係者もまだ誰も入山していませんから、玄関前の庇付きスペースに陣取ります。11:12ころ。
▲こんな感じ。例年なら、GW中にも建物の軒の下に積もった雪を除雪の機械を使って吹き飛ばしています。でも、今年はもうそんな必要は一切ありませんね。11:14ころ。
最終的にどのような計画に練り直したかというと、今日は山ノ鼻にテントを張り、空身でススヶ峰までのピストン、明日は天候が回復したらそれから尾瀬ヶ原散策。そういうことですね。
▲これまで何度もGWに山ノ鼻には来ましたが、木道が見えていたことはありません。でも今年は4月中旬なのに・・・・ 11:23ころ。
▲川も猫又川の本流だけしか見えていませんでしたが、今年はたくさんの支流が見えています。山も真っ黒です。11:30ころ。
▲本流が西に迫って来ている箇所があるので、高巻きます。いつもと同じ場所だとは思うのですが、雰囲気が違いますね。11:46ころ。
▲柳平の中心付近でしょう。中央のなだらかな山がススヶ峰1953m。あそこまで登る予定です。11:53ころ。
▲ここまで幾つものスノウブリッジを越えたり、1回の徒渉もして、やっとススヶ峰への尾根末端に取り付くことができました。S君が登り始めています。
S子と一緒で重荷を背負っていても山ノ鼻からここまで2時間もかかっていません。ことしは空身にもかかわらず、ルートファインディングに時間を要し、2時間かかってしまいました。13:15ころ。
▲雪が少ないので低灌木がうるさくてしようがありません。13:21ころ。
▲1630m付近だと思います。左のポッコリと出たピークは景鶴山2004m、右のなだらかな山はカッパ山1822mです。カッパ山の山頂には丸い湿原がありました。もちろん積雪期ですけれど。13:57ころ。
▲左からカッパ山、八海山(背中アブリ山)1811.1m、1736mピーク。13:58ころ。
▲さすがのS君も久し振りの本格的登山、しかも山ノ鼻までは雪山幕営の重荷を背負っていたので、少々バテ気味です。いくら強い人でもブランクは大敵ですね。13:58ころ。
あと1時間も登れば、ススヶ峰には登頂できるでしょうが、時間的余裕がなくなりますから、ここで引き返すことにしました。
▲至仏山2228.1mです。手前の至仏山北尾根も登ったことがあります。14:36ころ。
▲来る時にはまだつながっていたスノウブリッジが途切れてしまっていました。15:00ころ。
▲同じ場所を来る時に写した写真。まだつながっているでしょ。12:34ころ。
▲大きなクマの足跡が付いていました。来るときにはなかった足跡です。僕たちの足跡を辿るように続いていました。我々の存在を気にしているのでしょうね。15:14ころ。
▲振り返ってススヶ峰を写しました。白いススヶ峰山頂のすぐ下の平らな辺りまで尾根を登ったのです。15:32ころ。
▲来る際にも徒渉しましたけれど、通常のGWの尾瀬では想像できないような状況です。実に雪が少ない! 15:52ころ。
▲テントに戻りました。16:13ころ。
夕方、イワツバメが山小屋の軒に興味を抱いて群れ飛んでいました。でも、山小屋は以前からイワツバメ除けの網を張っています。あのイワツバメたちはどこで営巣するのでしょう? 今晩はどんなところで体を休めるのでしょう?
アマツバメの話題に飛んだりします。アマツバメは営巣時以外はずうっと飛び続けるのだとか。寝ながら飛び続けるのだとか、S君が教えてくれます。
▲テントの様子です。男2人が狭いテントで過ごすのはけっこう大変なこと。でも、S君とは彼の話しが興味深いので楽しく過ごせます。19:52ころ。
フクロウが鳴いています。
山ノ鼻には他のテントは見当たりません。山小屋関係者も今日はいないようです。
このフクロウの鳴き声を聞いているのも僕たち二人だけです。
この日の夕食は僕が担当でした。豚肉に人参とオクラを加えた煮物だったように思います。まあまあの出来でした。他はそのまま食べられる惣菜とか、フリーズドライのパスタなど。食べることに気が行って写真を撮るのを忘れました。いつものことですが。
話題はなかなか尽きません。でも、初日の疲れもあって、就寝は22:20。