東京などの街では寒い一日だったようですが、天覧山は陽気溢れる心地よい一日でした。と言うのも、天覧山の岩場は山の南面にありますから、北風がいくら強く吹いても山で遮られるからなんです。太陽は一日中照っていましたから、ポカポカと穏やかなクライミング日和でした。
この日のHTさんの課題は2つ。トラバース岩往路の完成と鏡岩の安定的登攀。前回はいきなりトラバース岩で行なって、筋肉への急激な負荷が問題だと分かりましたから、最下部岩場10往復からスタート。前回、驚異的記録を出したので、この日からはタイムを取らないこととします。念のためにHTさんに「時間、計る?」と聞くと、「計らない」との答え。ただ、僕自身がまったく計らないのも寂しくて、「10往復でどれくらいかだけ計ろうよ」と言う始末。
2023年1月10日(火) 天覧山平日岩トレ№13
▲10:47。HTさん、のんびりとスタートしました。実にゆっくりした足運び、手さばき。でも、1往復目でも3分はかかっていません。意外に速い! 実にゆっくりと、進んでいるようなのに、速いんですね。
▲11:09。結果は24分54秒81、1往復平均およそ2分30秒ですね。理想的なウォーミングアップだと思います。
▲11:21。続いて、先日S藤さんに行なってもらった立ち込み課題をHTさんにもやってもらいました。HTさんは良いバランスで天覧山の幾つかのルートを登れていますから、この課題は問題なくクリアできると予想していました。ところが、思いのほか苦労しています。両手や片手では何とか出来るようになりましたが、2本指では困難です。1本指では出来ません。意外と脚だけの力で立ち込むというのは難しいのですね。「足で登る」とはよく言われる言葉ですが、脚の筋力が強いことも必要なんでしょうかね。他のメンバーにもやってみてもらおうかな、と思っています。
11時40分くらいだったでしょうか? トラバース岩へ上がって行きました。まずは僕が1往復。それからHTさんのトラバース片道(往路)完成へのトライが始まります。ムーブは全部できています。最初のころ関門だった4ヶ所も今では大丈夫です。でも、全部を繋げるとなると、少しのケアレスミスも許されません。
▲11:58。最初の数回のトライではケアレスミスを繰り返してしまいます。
▲12:09。でも、12時9分にとうとう左から右へのトラバース片道(往路)が成功! 素晴らしい! そのまま余勢をかって、右から左への復路にもチャレンジしてもらいます。上手くいけば一挙にトラバース1往復成功です。しかし、やっぱり途中で落下。まだ復路のムーブも詳細は知りませんから、当然ですよね。
▲12:18。それからは復路のムーブを教えてあげます。ムーブ自体は往路が出来ていますから、マスターするのは比較的容易です。
▲12:43。復路のの関門のひとつは、HTさんにとっての往路の第1関門だった最も高く上がっている箇所。スタンスの高さが1mはあります。ですから失敗して落下するのが怖いんですね。ここに来てから、さらに上部の大きなガバホールドを掴むのですが、その際に一方の手を離すのが怖いと言うんです。僕自身は怖いと感じたことがないので、理解しづらいのですが、少しでも落ちそうと感じていれば確かに怖いでしょうね。HTさんは一度ここで落下しました。僕が補助していますから、酷い落下にはなりません。一度落下して、HTさんはふんぎりが付いたようですね。それからは出来るようになりました。
▲13:58。ここからが復路のパワー系ムーブの始まりです。復路の方が少しは楽ですね。
▲13:58。HTさんにとって関門となったのは2ヶ所。最初の関門はコーナーでの立ち込み。スタンスは20~30cmほどホールドは高さ1mほどの箇所で、両腕でぶら下がっている状態から立ち上がって高い2mほどの場所のホールドを掴むんです。静かにスタティックに立ち上がる方法と、ホールドで反動を付けて立ち上がる方法があります。反動を利用した方が容易なんですが、疲労が進んでいると、上手く2mの高さのホールドを掴めないことがあるんです。スタティックな方が足場の工夫が必要ですが、確実なんです。写真はそのコーナーで立ち込もうとしている直前ですね
▲14:02。コーナーを立ち込んで、さらに少し上に行きます。この辺りは比較的容易です。ホールドがガバですから。
僕もHTさんの休息中に4往復しました。休み休みなら10往復も出来そうですが、30代の時のように10往復がウォーミングアップとはいきませんね。HTさんにはその域まで行って欲しいと思います。
▲14:57。途中、遅い昼食も食べました。筋肉の疲労を回復させるために長い休息も取りました。HTさんの頑張りには頭が下がりますね。休憩をして筋肉の回復をさせながらとは言え、トラバース岩に来て3時間もぶっ通しでトライし続けています。よく筋肉の持久力が続くもんだと感心します。
▲15:01。僕も気楽に1往復。往路のパワー系ムーブの箇所ですね。
▲15:01。パワー系ムーブの終了点、左手でアンダーホールドを掴んだところです。
▲15:13。さてさて、主役の登場。復路のパワー系ムーブがスタートする地点ですね。
▲15:16。ここもパワー系ムーブの箇所。何度も繰り返し練習していますね。
▲15:40。青空が広がり、トラバース岩は本当に心地の良い暖かな岩場です。
4時となり、西日もかなり傾いて来ました。僕は「今日は復路の完成は無理かもしれないな」と思い始めていました。でも、HTさんはそうではありません。
▲16:06。復路にチャレンジし続けています。パワー系ムーブの箇所を落下せずに通過して来ました。
▲16:08。すると、ついに16時8分、復路完成! 凄い! その後、1往復にもチャレンジしてみましたが、すでに1往復続く力は残っていませんでしたね。これで終了です。
▲16:10。獅子岩の天辺でストレッチするHTさん。達成感に満たされているんでしょうね。
▲16:32。もう終了したと思ったのに、まだやっているHTさんでした。
トラバース岩の往路と復路をそれぞれ成功させました。次回はそれを繋げるだけです。必ず1往復できると思います。
▲16:35。この日の富士山は目出度い富士山ですね。
この日はもうひとつの課題だった鏡岩の安定的登攀には時間を費やせませんでした。でも、充実した岩トレだったと思いますし、成果も大きかったですね。クライミングを継続すると、少しずつでも必ず前進することが嬉しいですね。一ヶ月前には出来るとは思えなかったことが出来るようになってしまいます。HTさんもW科さんもこのトラバース岩10往復が必ず出来るようになりますよ。これをウォーミングアップと位置付けるようになりますよ。
HTさんは翌朝早起きして、美ヶ原へ行きます。反省会は短く済ませなければなりません。で、『長門や』という居酒屋さんに入りました。それなりに食べたからでしょうね。『あきちゃん』よりも高くついてしまいました。時間は短かったのに。