2012/11/24 S崎君は遠くからの参加ですし、一泊二日でトレーニングする予定でしたので、初日は高麗駅にゆっくり到着の10:11。そこでさっそく衝撃の事態が判明! Y井君が翌日の日曜日に出勤しなければならなくなった、と! S崎君は家庭の都合があって今日一日で帰らなければならないことは分かっていましたし、W島さんは岩トレはせずにテントに泊まるだけだということも分かっていました。S子は今日は風邪でお休みですし。
「じゃあ、今日は泊まらずにみんな帰る?」と聞くと、「いやぁ、泊まりますよ」とY井君は言ってくれます。その言に甘えてテント泊も実行することになりました。
そんなことがあって岩場に着くと、案の定すいています。三連休の中日ですから、遠出している人が多いのでしょう。
道すがら、Y井君と話しをしながら歩いて来たのですが、ここでも衝撃の新事実が!(それはちょっと言い過ぎでしょうが、僕にとっては思いもよらないことでした。)Y井君はS崎君の会社の後輩、さらには高校の後輩でもあって、S崎君からは「ボルダリングはやっているようだけど、ザイルワークはぜんぜん知らない」との情報を与えられていました。ところが、聞いてみると、トップの確保はしたことがあり、それどころかリードだってしたことがあるとのこと。
あれあれ?! それじゃあ何にも教えることはないんでは? と一瞬思ったのですが、懸垂下降はしたことがない、セカンドの確保もしたことがないんだそうで、まあ、僕が教えてあげられることも残っていそうでした。
ついでながら、最後にもうひとつの衝撃をひとつ! そのリードしたことがあるというルートですが、東北の城ヶ崎と称される三崎海岸。ルート名は忘れましたが、高さ10mほどの5.11だったそうです。あれあれ! 僕なんかより完全にハイレベルなクライミング能力(ザイルワーク以外では)を持っているんだ! と言うことで、少々畏れおののきながらの岩トレ開始となった次第です。
▲まあ、何はともあれまずは懸垂下降のマスター。なおのことすいている女岩で練習スタート。S崎君があれこれと具体的に教えています。僕が教えることは「懸垂下降での失敗は死に直結する」という点。だから「慣れれば懸垂下降なんて簡単だけど、いつまでも絶対に慣れてはいけない」。11:35ころ。
▲懸垂下降の練習をするY井君。ピンと張ったザイルの他、もう1本ザイルがY井君と連結してますけれど、それは上でS崎君が確保してくれているザイルです。万が一、Y井君が懸垂下降に失敗した際に、落下することがないように支えてくれているのです。体勢などに関しては、Y井君を指導する点はありませんでした。11:40ころ。
▲懸垂下降しては歩いて上にあがって来る。そんなことを数回繰り返し、いよいよS崎君のザイル確保なしでの懸垂下降です。何の問題もありません。11:52ころ。
▲懸垂下降が出来るようになったので、さっそく男岩でリード、フォロウ、懸垂下降の練習です。男岩南面の右はじルートを僕がリード。ザイルの中間でY井君フォロウです。ヌンチャクの回収も知らなかったようです。終点に着き、セルフビレイを取り、僕のセルフビレイとセカンド確保のシステムを見て覚えます。
そして、懸垂下降。12:37ころ。
▲その後、男岩南面の易しいルートで同様のことを繰り返しました。3本目のルート登攀後、同ルートを懸垂下降するY井君です。14:20ころ。
▲いよいよ、Y井君のリードです。リードして登っていくこと自体には何ら心配はありません。登った後で、フォロウする僕とS崎君の確保がきちんと出来るかどうかが課題なのです。
男岩南面の左ルートをリードするY井君です。確保しているのはS崎君。14:29ころ。
▲よどみなく登っていくY井君です。ただ、運動靴のまま登っていたので「つま先が効かなくて緊張しました」とは言っていましたが。14:31ころ。
▲Y井君がセットしたビレイシステムです。2箇所でセルフビレイを取り、セカンド側のザイルを一度折り返すようにしてボディービレイしています。合格! 14:40ころ。
▲男岩南面右はじの凹角ルートです。今核心部を乗り越えたところ。4級くらいだと思います。リードするY井君にとってはまだまだ易しいルート。15:05ころ。
▲このルートを登りきると、ピンが2本打ってあります。でも、他のクライマーがすでに使用していました。Y井君が上からそのことを僕に言うので、「同じピンを使うしかないよ!」と言い返します。そして、上に着いてみると、こんな感じに。
同じピンを使うしかないのですが、他人のカラビナは使わない方がいいと思いますよ。我々がまだ登っている最中に、カラビナの持ち主が回収に来たら困りますからね。こんな時には狭い隙間にも入るテープシュリンゲなどを介してセットするのがいいと思います。15:17ころ。
▲Y井君3本目のリードルートは男岩西面の左ルート。アンダークーリングルートの左小凹角(4級+)から上部のレイバック気味に登るクラック(4級+)へ抜けるルートです。
写真は小凹角の核心部を抜けたところ。15:38ころ。
▲いよいよ上部核心部の真下に来ました。Y井君、力みのないスタティックなムーブで楽々と越えて行きました。さすがですね。15:41ころ。
▲Y井君が作ったビレイシステム。一応合格ですね。本人も分かっていたようですが、日和田では太いリングは懸垂下降用なのでなるべくそれ以外の用途には使用しない方がいいです。15:51ころ。
▲フォロウするS崎君。僕もそうでしたけれど、Y井君が見事にリードするので、彼に教えている立場の僕もS崎君もスムースに登らなければという、プレッシャーが結構かかるのです。僕はここのところクライミングしていますからともかく、久し振りのS崎君は大変だったのではないでしょうか。15:56ころ。
今日はこれで終了。Y井君は明日のお昼くらいには会社へ行かなければならないので、明日練習する時間はありません。残念ですが、今日一日でも出来て良かったと思います。
あとはダブルザイルのマルチピッチクライミングを経験するだけですね。色々と外岩を数多く経験すれば、すぐに僕なんかとは比べ物にならないレベルのクライマーになること請け合いです。
装備解除して、明るいうちに巾着田へ行きテントを張りました。この時期、巾着田キャンプ場は閉鎖していて、キャンプ禁止になっています。それでも何とかならないものかと巾着田管理協議会に電話して、テント泊可能な場所を教えていただきました。場所は秘密です。ただし、直火と車の乗り入れは禁止です。
テントを張ってからいつものうどん屋「庄平」に行き、なんと!最後の客になるまで居続けました。S崎君も遅くまで残ってくれました。
それからY井君、W島さん、僕の3人はテントへ戻ります。途中、コンビニで少しだけ飲み食いするのを仕入れ、再びテントの中で雑談。何を話したかは忘れてしまいましたけれど、楽しいひと時だったことだけは覚えています。就寝は夜中ごろ。
▲2012/11/25 テントを張った河原です。左のテントが僕のテント。実に長~く使っていて、四半世紀が経っているのです! テントの前では2人がパッキング中。9:42ころ。
右に見えているインディアンテントはtentipiという名のモノポールテント。遠くなのでちっちゃく写っていますが、結構デカイ! 中では薪ストーブが焚かれ、テントのてっぺんに延びている煙突からは煙が勢いよく出ています。風にも強いのだそうです。
この日は風もなく暖かい日でした。陽の高い時間に帰宅することになってしまいましたが、Y井君という新しい仲間を得たこと(すぐにさらなる高みへと羽ばたき離れていくでしょうけれど)と、泊まりの連チャンで日和田を楽しめることが分かったのが大収穫でした。