2013/3/17 やっと本格的雪山へ行って来ました。でも、本格的と言っても標高は低く、歩く距離も実に短いものです。それでも雪国の山は本当の雪山だという感じがして嬉しくなりますね。
目指した山は前ノ山。ネットで調べても何にも分かりません。出て来る項目は関取の「前の山」ばかり。二万五千図を見る限りではなだらかな尾根で容易に辿り着けるピークのはずです。何の情報もない山でしたが、行ってみることにしました。
場所は越後湯沢駅の南南東、神立国際スキー場の西隣りです。標高は1079.3mの低山。
▲越後湯沢の駅からタクシーで国道17号線の八木沢トンネル手前まで入ります。スパッツを付け、道路脇の雪壁を乗り越えて、登山スタート。9:47ころ。
K嶋さん、顔を塗ってしまってごめんなさい。
▲向こうに見えているのが八木沢トンネルの入り口です。道路脇には除雪した雪が大量に積み上げられています。この雪は不規則な積まれ方をしていますから、硬かったり柔らかかったり、雪の下に空間があったりと、注意深く歩かないと意外と手こずります。9:47ころ。
▲除雪された雪が積もるエリアを出ると、締まった雪になると予想していました。何故なら、これから登る斜面は北面だからです。しかし、予想は外れ、ズボズボと深く潜ります。
それで急遽、ワカンを履くことに。10:05ころ。
▲たかだか標高差70mくらいの斜面でしたが、40分以上かかってしまいました。下でワカンを装着したりしましたし、思いのほか急な斜面で神経を遣ったせいでもあります。そのワカンも僕はすぐに外してしまいましたが、S子とK嶋さんは尾根に上がるまで装着していました。まあ、僕は少し早まった感は強かったですが・・・・
写真は尾根に出たところです。10:28ころ。
▲標高700m辺りでしょうから、雪が消えた山肌もありました。今後気温の高い日が続くようですから、一週間後にはこの辺も雪が少なくなって歩きにくくなっているのではないでしょうか? 10:46ころ。
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▲登って来た尾根を振り返りました。雪庇というか、南西側(写真では左側)に雪の吹き溜まりが積もっています。 左下方には清津川の流れ、後方の山は苗場山から延びる高石尾根の山々なのでしょうか。10:48ころ。
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▲尾根から南方向を望みました。写真中央に広い駐車場があって、車がびっしりと並んでいます。右上にちらっと見える「かぐらスキー場」の駐車場なのでしょう。10:54ころ。
▲尾根の形が少しまぁ~るくなってきました。僕はこんな雪山の景色が大好きです。11:08ころ。
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▲白くて丸い小さなピークからは目指す前ノ山が見えて来ました。11:08ころ。
▲S子がトコトコと先頭を歩いています。陽光輝き、空も青く透きとおった日でした。11:22ころ。
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▲後の風景も次第に広々としたものに変わっていきます。11:36ころ。
▲こんな散歩道のような穏やかな雪山も僕は大好きです。11:38ころ。
▲春山や夏の雪渓でよく見かけますから、僕は「雪虫」と単純に呼んでいたように思います。でも、一般的には雪虫と言うのはその群れをなして飛んでいる光景が雪が降っているように見えるアブラムシ科の昆虫を指すそうです。
写真のこの虫はクロカワゲラ科の昆虫。写真の虫の正式名は僕には分かりませんが、よく似ているセッケイカワゲラは「雪虫」として俳句の季語にもなっているそうですから、この虫を「雪虫」と呼ぶのもまんざら間違いではなさそうです。11:42ころ。
▲尾根自体の形が丸くなって来たのが分かるでしょうか? 木の生え方に偏りが無くなり、雪庇のような雪の吹き溜まりも消えています。11:50ころ。
▲S子が歩き始めの頃から「木の影が綺麗だね」と言っていました。僕は最初のうちは「それほどでもないよな」と思っていたのですが、僕をもうならせる見事な影模様が現われました。11:54ころ。
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▲そんな縞模様の中を進む二人。山頂は近いようです。11:54ころ。
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▲木々の枝の間から北方の山々がのぞいていました。越後三山だと思います。左のギザギザの山が八海山。八海山に重なって手前には金城山があるのだと思います。右に見える高くて白い山はおそらく中ノ岳ではないでしょうか? もうひとつの越後三山、越後駒ヶ岳がその二つの間に見えてもいいと思うのですが。11:55ころ。
▲ほぼ山頂です。先を行くS子。11:59ころ。
▲ほぼ山頂だった膨らみを少し左へさらに進みます。今度こそは本当に山頂です。12:03ころ。
▲前ノ山1079.3m山頂に到着しました。何の標識もない小さくて可愛らしい山頂。雪山のピークとしては理想的タイプのひとつですね。12:05ころ。
▲前ノ山山頂で休憩する二人。無風快晴、気温も高く、こんなにのんびり出来る雪山も滅多にないでしょう。12:08ころ。
▲前ノ山から白板山1248.4mへ続く尾根です。右の笠状のピークが白板山。白板山へもいつか登ってみたいものです。12:10ころ。
▲左の白板山のさらに左にのぞいている山が多分タカマタギ1529.2mでしょう。中央の白い山は日白(にっぱく)山1631m、さらにその右の奥に見える白い山は平標(たいらっぴょう)山1983.7mだと思います。12:10ころ。
▲山頂を12:30ころ後にしました。越後湯沢駅の前に聳える飯士(いいじ)山1112mがすぐ近くに見えます。12:35ころ。
▲二人の後方に見える山が前ノ山です。条件が悪ければ、登って来たルートを引き返す予定でしたが、こんなに申し分のない条件なので、もちろん予定通り進みます。まずは前ノ山から東へ標高差30mほど下降します。12:40ころ。
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▲すると、コル状の場所に送電線の鉄塔が立っています。予定ではこの鉄塔に沿って尾根を下降するつもりです。12:41ころ。
▲先ほど見えた鉄塔が左奥に見えます。左上の樹林の斜面をトラバースして来ました。右のなだらかなピークが前ノ山です。12:59ころ。
▲次の鉄塔からは尾根に乗りますが、それまでトラバースは続きます。転ぶとずいぶん下まで滑り落ちそうなので、少し緊張しています。13:05ころ。
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▲3本目の鉄塔は尾根に立っています。写真には写っていませんが、すぐそばの左に立っているのです。ここから飯士山の方角へ下山する予定。左に見えるのが飯士山。その右に八海山、中央には巻機山、いちばん右は柄沢(からさわ)山だと思います。13:11ころ。
▲眼下には神立国際スキー場が見えます。奥の山々は左から柄沢山、大源太山(上越のマッターホルンと呼ばれる尖った岩峰)、中央に朝日岳、黒い岩肌をさらしている足拍子岳が手前に聳え、そのすぐ右奥には武能岳、その右の立派な白い峰は茂倉岳、もっとも右の峰はおそらく谷川岳なのではないかと思います。13:12ころ。
お気づきのように、新たなることにチャレンジしました! パチパチパチ! 写真に文字を入れてみました。やれば何とか出来るものですね。
この山座同定が正しいかどうかは不明ですが、こんなことが出来るのも楽しいですね。朝日岳を指し示すのを忘れましたが、中央ですから分かりますよね。
▲当初の計画ではさっきの3本目の鉄塔から北東へ延びる尾根を下降する予定でした。ところが、下り始めがやたら急傾斜です。上から下を覗こうにも下が見えません。ほぼ垂直の雪壁が下降を阻んでいます。下るならザイルが要りそうです。でも、僕が持って来ている20mザイルで大丈夫でしょうか? 下まで何mあるのかすら分かりません。神立高原スキー場の西の縁を下る予定がここで崩れてしまいました。
そうなると、別ルートを検討するか、ここまで来たルートを引き返すかです。
地形図を見ると、北北西へ芝原峠までなだらかに下っている尾根があります。ここを下れそうです。13:21ころ。
▲下り始めると、こんな光景が現われました。いかにも雪山ですね。13:26ころ。
▲前方にどっしりとある山は越後湯沢駅の裏の山。大峰や1089.1mピークです。写真中央部少し先に芝原峠があります。13:36ころ。
この尾根をもう少し下った辺りの雪庇や尾根右手の雪面が崩れています。
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▲尾根東面が崩れていますから、西面を巻くことになりました。標高も低いので、今日の高温の影響で雪はグズグズです。時に予想外に足が潜ります。一歩一歩慎重に歩を進めないと、バランスを崩して転びそうです。僕はズボッといった際、足が攣りそうになり、右膝を少し捻ってしまいました。13:47ころ。
二日後の今も痛みがあって少々心配です。
▲雪崩れている尾根部分の“低巻き”が終了しました。14:03ころ。
▲低巻き終了後の尾根はルンルンです。14:17ころ。
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▲二万五千図の地形図で城跡記号のあるピークがここ。確かに、小さな山城くらいなら建てられそうな広さがあります。一段下がったすぐ右下にも広場がありました。14:32ころ。
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▲林道に出ることは地形図で分かっていましたが、ザイルで懸垂下降になるかもと覚悟していました。でも、写真のこんな感じで楽に降り立つことが出来ました。14:52ころ。
▲林道を芝原トンネル入り口まで歩きました。国道17号線はこの先でヘアピンカーブしていますから、ショートカットして雪原をまっすぐに下ります。再び出くわした国道に陸橋が架かっていました。有り難く使わせていただきましたが、降り口は2m以上の雪の壁。上にピッケルを突き刺し、それを頼りに無事降りました。
陸橋を渡ったところで電話してタクシーに来てもらいました。
越後湯沢駅東口(北口?)を出て、大衆食堂で鍋をつついて、僕とK嶋さんは「〆張鶴」を、S子は「八海山」を飲みました。
前ノ山は地元のタクシー運転手さんにも、食堂の若いころ登山をしていたというおばちゃんにも知られていない、目立たない低山です。こんな低山、素晴らしい雪山歩きが出来る低山をいっぱい抱えている新潟の雪国が羨ましいですね。