ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

石津窪で滝の登攀トレーニング、続いて伝名沢をヤニラ沢から下降しました

2016年09月06日 | 沢登り/多摩川秋川盆堀川水系

2016/7/31  奥多摩の沢としては珍しくザイルを出して登攀する滝の多い、しかも短い沢です。別の沢の下降も抱き合わせで実践することが出来ますから、T口さんにとっても充実したトレーニングになると思い、提案したのです。

武蔵五日市駅からタクシーに乗りました。いつもなら棡葉窪出合近くの採石場前で降ろしてもらうのですが、運転手さんが「もっと行けるよ。まだ先まで」と、恐らくは親切心からなのでしょうが、結局、伝名沢出合の広場まで乗せて行ってくれました。
僕としては、ウォーミングアップのために少しは歩いた方がいいと思って棡葉窪出合までと考えていたのですが・・・・


▲石津窪出合で、沢装備を整えました。T口さんとS木さん。9:12ころ。


▲石津窪は何の変哲もない小さな沢です。25mの大滝があるとは想像できません。9:21ころ。


▲T口さんが滝を登って行きました。S木さんのためにザイルを出した方が良さそうなのですが、まあ、まだ最初ですし、S木さんと僕は右から高巻きました。9:26ころ。


▲小さいながらも、石津窪は岩盤の上を水が流れる沢です。小滝が次々と現れました。9:40ころ。


▲少し右に高巻き用でしょうか? 残置のロープがありました。その結び目にプロテクションを取りました。ザイル使用1回目。9:47ころ。


▲写真は撮り忘れましたけれど、この写真の滝のすぐ下に幅広の滝10mがあります。そこでザイル使用2回目。この写真はザイル使用3回目です。
ハーケンがT口さんの足元あたりにあったような記憶があるのですが、見つかりませんでした。A0用の残置ロープでプロテクションを取ります。4級+あったと記憶しているのですが、T口さんはスムースにリードしてしまいました。10:26ころ。


▲S木さんがフォロウします。今日の3人はほぼ同じくらいの身長なのですが、岩も沢も経験のまだ乏しいS木さんも簡単に登って行きました。10:32ころ。


▲25m大滝到着です。10:45ころ。


▲T口さんがリードします。ザイル使用4回目。画面下あたりで、本当は1本目のプロテクションが取れるのですが、T口さんはハーケンを見落としたようです。その後無事に画面中央付近でプロテクションを取りました。10:55ころ。


▲今日は普通の水流なので、あまり多くは流れていません。ひとつ前の写真ではT口さんは水流の右にいましたけれど、この写真では水流の中にいます。水量は少なめと言えど、水しぶきでけっこう濡れてしまいます。11:00ころ。

この滝のピッチグレードは3級。それほど難しくはないとは言え、ルートを探しながらですし、25mという高度感もありますから、登り切ると誰しもがそれなりに充実します。
ここでもT口さんは何の問題もなくリードしてしまいました。


▲続いて、S木さんのフォロウ。11:08ころ。


▲中間部ですが、わりと苦戦していますね。11:12ころ。


▲望遠で撮ってみました。階段なんですが、苔は生えていますし、なかなか踏ん切りも付かないようです。11:13ころ。


▲前の写真場所から3mは登ったでしょう。この辺りから水しぶきが気になりだします。11:19ころ。


▲水流を右から左へ渡りました。少し左へ行き過ぎかな? 11:23ころ。


▲最上部はほぼ水流沿いに登ります。11:27ころ。

S木さんは頑張りましたね。僕も自分で登ってみて分かったのですが、上部ではかなり水しぶきを浴びました。S木さんは上部でもかなり長く頑張っていましたから、僕の数倍も水を浴びたことでしょう。


▲大滝を過ぎても、小滝は連続しています。この小滝でも念のためにザイルを出しました。ザイル使用5回目。11:56ころ。

途中でちょっと休憩しました。


▲藤の蔓でしょうか? で、ザイルは出しませんでした。12:37ころ。


▲水流がほぼ消えているあたりで、お饅頭のように石を積んだケルンがありました。左の支尾根との距離もこれまでで一番近く、すぐ上がれます。ここで遡行は打ち切り、左の支尾根へ上がります。12:43ころ。


▲支尾根の最後の急登。12:48ころ。


▲749m標高点に着きました。ここから東へ30m少し下り、コル状の地点まで行きます。12:58ころ。


▲コル状の地点から北へと下って行きました。13:02ころ。

この沢の名前ですが、宮内敏雄氏の『奥多摩』では「ヤニラ沢」となっています。東京瓦斯山岳會編の『秋川の山々』では「鈴川」となっていて、「ヤニラ沢」はもう1本上流の支沢の名前になっています。「鈴川」の方が正しい気もするのですが(理由はありませんが)、宮内敏雄氏に敬意を払って、ここは「ヤニラ沢」としたいと思います。


▲藪が終わって、やっと沢地形らしくなりました。でも、まだ水は流れていません。13:19ころ。


▲水も少しですが流れています。13:32ころ。


▲普通の沢になってきました。沢を下るというのも、なかなか慣れないものです。13:34ころ。


▲最後はドボ~ンと、飛び降ります。13:45ころ。


▲滝を登るのとは、ちょっと勝手が違います。13:48ころ。


▲深いのかな? 浅いのかな? ちょっと不安です。13:56ころ。


▲途中で沢を林道が横切っています。林道の下を通過できない構造でしたから、いったん林道に上がります。14:04ころ。


▲林道から沢へと戻る途中。14:06ころ。


▲すぐに小滝も現われて、クライムダウン。14:11ころ。


▲なんだ~っ! これは! 14:21ころ。


▲ゴルジュの中でなかなかの美瀑が出現しました。懸垂下降で降ります。ザイル使用6回目。14:28ころ。


▲続いて、S木さんの番。懸垂下降の練習をまだほんの少ししかしていませんでしたから、案の定、振られてしまって体が横になってしまいました。時間をかけて、体を立て直し、順調に降り始めたのがこの写真。14:40ころ。


▲下ではT口さんが心配そうにザイルを手にまさかの場合に備えています。14:41ころ。


▲懸垂下降の支点にしたのは、なんと! この車の残骸の窓枠。他には手頃な支点がないのです。14:42ころ。

僕はこの車を支点に懸垂下降したのはこれで2回目です。他にも、この滝をリードしてこの車を支点に後続を確保したこともありました。


▲この滝の落ち口で咲いていたイワタバコ。14:44ころ。


▲上の滝が今懸垂下降した滝です。14:51ころ。


▲チェーンソー用の油なんでしょうか? 空き缶がそのまま打ち捨てられていました。15:05ころ。


▲堰堤を左岸から巻き降りました。15:11ころ。


▲ヤニラ沢出合は見落としてしまったのですが、もうここは伝名沢本流だと思います。15:27ころ。


▲伝名沢本流も以前、沢歩きしたことがあります。子供も連れて来れるような沢歩きが出来ます。15:38ころ。


▲伝名沢出合も近そうですね。15:50ころ。

出合にはすぐ到着し、沢装備を解除しました。


▲ 今朝タクシーを降りた伝名沢出合の広場です。16:15ころ。

沢戸橋まで歩くと、ちょうどバス到着の時刻の直前でした。バスに乗って『音羽鮨』へ。楽しいひと時を過ごしました。

ところで、下の写真を見てください。伝名沢出合到着直前に、マタタビの実がたくさんなっていました。しかも、虫こぶになっている実が多くあります。マタタビ酒にするには虫こぶの実の方がいいと聞いていましたから、喜んで採集。T口さんやS木さんも手伝ってくれました。

 
▲果実酒用ブランデーに氷砂糖。数ヶ月後が楽しみです。8月2日、製作。


盆堀川の右俣、千ヶ沢を沢歩きしました。最後の最後に驚きが待っていました!

2016年09月02日 | 沢歩き

2016/7/28  この山日記を書き始めたのはちょうど一ヶ月後の8月28日。書けないことはなかったのでしょうが、僕にとってはいろいろと多忙な日が連続していました。
と言うわけですから、一ヶ月前の記憶を呼び覚ましながらの記録です。

これまでS子と盆堀川に2度沢歩きに来ました。盆堀集落から棡葉窪出合付近までがまだ歩けてはいませんが、そこはまたの機会にして、今回は盆堀川が千ヶ沢(ちがさわ)や金堀沢と名前を変えるところから千ヶ沢を歩くことにしました。しかも、稜線までは行かずに、林道が終了する地点までとします。


▲棡葉窪出合付近まで武蔵五日市駅からタクシーで来ました。今日も遅い出発です。10:24ころ。


▲石仁田沢を過ぎてすぐ、対岸に支沢の流れが見えました。調べてみると、松株窪という名前のようです。刈寄山西の肩に上がることが出来るようです。10:50ころ。


▲二俣に到着です。ここで盆堀川はその名前を失います。右俣は千ヶ沢、左俣は金堀沢となります。11:00ころ。


▲千ヶ沢出合です。11:01ころ。

前回の終了点(装備解除地点)に降り、そこで沢装備を整えました。


▲沢歩き開始です。すると、いきなり小滝と釜が。小滝も1mはなく、釜も腰よりは浅いのでしょうけれど、最初から無理はしません。即、林道へ戻ると決定。11:50ころ。


▲林道から再び沢へ降りて来ました。11:56ころ。


▲今日はS子はストック持参です。でも、「木の枝の方がいいなぁ」と言っていました。11:57ころ。


▲小さな沢ですけれど、立派な渓谷美ですね。でも、箱庭みたいに小さいのです。12:00ころ。


▲こんなどれほどでもないような、小さな水の落ち込みを歩くのも楽しいのです。12:11ころ。


▲すぐ横を林道が通っているとは思えない、奥深い自然に見えますね。12:19ころ。


▲植物も呼吸をしています。その吐いた息の中の水蒸気が冷やされて水滴になったのですね。12:23ころ。


▲後ろを林道が通っています。こんなに近いのです。12:27ころ。


▲ここで休憩をゆっくり取り、ふたたびの出発。先を急ぐ旅ではありません。13:07ころ。


▲タマアジサイの花にヨツスジハナカミキリがとまっていました。13:14ころ。


▲ハナイカダの実は黒いんですね。13:17ころ。


▲スケールは小さいですが、岩盤の上を水がさらさらと流れています。13:19ころ。


▲穏やかな流れ。水面に覆っている森が映ります。13:21ころ。


▲ピンがなかなか合いません。タマアジサイの花です。13:29ころ。


▲流れに落ちたイワタバコの花が集まっていました。13:40ころ。


▲イワタバコの花の中にはもうひとつの花が。13:43ころ。


▲今日の最深部。13:49ころ。


▲石津窪出合です。13:54ころ。


▲なにやら奇妙なものが生えていました。調べてみると、どうやらシラウオタケと呼ばれるもののようです。地衣類なのかキノコ類なのか微妙なようですね。14:23ころ。


▲だんだんボサや倒木が多くなってきました。14:32ころ。


▲ここでまた休憩し、これから再再度の出発。あくまでものんびりと。15:01ころ。


▲倒木くぐりもけっこう体幹が鍛えられますよ。15:11ころ。


▲邪魔者がいっぱい。15:16ころ。


▲踏み抜かないよう、注意しながら。倒木の上を歩くのもけっこう疲れます。15:24ころ。


▲どっひゃー! まったく予期せぬものの出現です! 千ヶ沢にこんな大滝があるなんて! 15:24ころ。


▲ゆうに8mはありますね。流れの右が登れそうに思えます。でも、今日は登攀用ザイルもありませんし、何より心の準備がありませんから、登りません。15:26ころ。


▲大滝の右下ではカエルが岩を登ろうとしていました。15:30ころ。


▲滝の右を高巻くことにしました。15:37ころ。


▲高巻き上部は泥壁で足の踏ん張りが不安定でしたから、僕だけ先に登って上からS子のためにザイルを出しました。15:50ころ。


▲巻き終えて、大滝の落ち口へ目をやります。15:59ころ。


▲大滝出現の後なので、この千ヶ沢が少し立派に思えます。16:00ころ。


▲橋が見えて来ました。おそらく林道終点間近の橋でしょう。16:08ころ。

この橋の左手前から林道へ上がることにしました。


▲上がった林道で遡行終了です。装備も解除。16:29ころ。

念のため林道を奥に歩いてみると、案の定、すぐに終点でした。森林作業の方の車でしょう、1台停まっていました。


▲さあて、ぼちぼち帰りましょう。16:50ころ。


▲キツリフネ。17:13ころ。

いつも通り、『音羽鮨』で打ち上げをしました。

千ヶ沢は盆堀川よりも標高差がありますから、数10cmくらいの極小滝がそれなりにあります。沢歩きとはいえ、ミニ沢登りの感覚も味わえました。
しかも、最後に8mほどとは言え、千ヶ沢にしては大滝が出現! 充実したフィナーレでした。